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    2012年3月28日から4月4日まで、次女の高校オケのドイツ公演を長男と追いかけた珍道中の記録。厳選写真で振り返る。

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    自分で買い求めて賞味したビールの写真。ドイツとオーストリアの製品だけを厳選して掲載する。

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カテゴリー「084 お盆」の32件の記事

2017年7月16日 (日)

お盆のファンタジー29

そろそろお暇をと言いながらブラームスが話題を変えてきた。「今日は大切な日なんだろ?」と。ウインクをかましてきた。「へ?」という反応のシベリウスさんを横目にブラームスさんが続ける。「来年またニュルンベルクに来てくれるための大事なミーティングがあるはずだったな」と。「わしの作品はプログラムにないようだが」

これからみんなで出かけて資料のセットを手伝うと言い出した。5月の演奏会でもパンフはさみを手伝ったから手慣れたもんだよと。昼間の出発なので送り火はなしということで話しがついた。

2017年7月15日 (土)

お盆のファンタジー28

乾杯をきっかけに、話はバッカナールに切り替わった。

口火を切ったのはシベリウスさんだ。「あのバッカナールは、コンサートの締めくくりというほかにも特別の気迫を感じたが」と素直な問題提起だ。「あれはな」とすっかり身内スタンスでブラームスさんが、説明にとりかかる。「コンクール曲と言ってな、秋のコンクールの演目じゃ。生徒たちが1年間丹精をこめた曲ということになる。昨年は、イタリア奇想曲、その前はレプレリュード、その前が謝肉祭だったろ」と。

「うちの娘はその前でボロディンでした」と私が付け加えると、ブラームスさんは、「その前はショスタコ某だった。わしの作品はかすりもせんがな」と自嘲気味だ。「それは先生の作品だと出番のない生徒が出るからですよね」とひとまず慰めるシベリウスさんだが、乙女たちの気迫の理由はその歴史にある。伝統のコンクール曲だとみんなの意見が一致した。

指揮者の病気はオケの一大事で、一時はどうなるかと思ったら、「指揮なしバッカナール」で入学式を切り抜けるとは、発想が新しいなとブラームスのドヤ顔が止まらない。「ナマで聴きたかった」とシベリウスさんも興味津々だ。あの曲が指揮なしでも演奏できるほど、完成してるってことなんだが、あれを切り抜けて一段とアンサンブルの精度が高まったとブラームスさんは慎重に断言した。

清冽な弦のピチカート一閃から難儀なオーボエのドソロが始まって、険しい道を上り詰めたところ中間部の清らかな景色こそがバッカナールの白眉だ。そこを際立たせるために周囲の部分が逆算されているという構想が素晴らしいとシベリウスさんがブラームスさんに同意を求めた。テンポもダイナミクスも全て計算ずくで配置されているのだろうが、聴いている限りはとても自然じゃなとブラームスさん。最後にテンポを煽るところは、わかっていても感動させられます。術中にはまる感じ。3時間30分のコンサートの最後に、あの煽りについていく余力が素晴らしい。

二人ともすっかり盛り上がって私の出る幕はない感じ。

2017年7月14日 (金)

お盆のファンタジー27

そやった、そやったと、後ろにいる紳士を紹介してくれた。シベリウスさんだ。「3年連続でチャイコフスキーを取り上げて、今やお家芸だなと、思っていたら、フィンランディアがあるんで、誘ったんだ」とブラームスの説明はいつも大げさだ。

「とにかくすごいから、と半ば強制でしたからね」と、シベリウスさんが握手の手を差し伸べながら切り出した。「おかげさまで、あの曲は世界中で演奏されていますが、珍しい合唱付きで楽しめました」と満足げだ。「だろ、だろ」とブラームスがはやしたてる。「フィンランド語だったのには驚いたよ」とはブラームスさんの第一声だ。「合唱抜きになれている耳には別物に聞こえました」と私。「本来は合唱ありなんですわ」とシベリウスさんも打ち解けはじめた様子。「歌った生徒は赤いネクタイでしたが、担当別に色分けでしたか?」とシベリウスさんからやけに細かい質問があった。「いやいや、あれは一年生の色だよ」と、私を遮って訳知り顔のブラームスさんがピタリの説明をしてくれた。

日本では4月が新入生の季節だと、ブラームスさんがシベリウスさんの耳元で教えている。「そうなんです」「あの合唱は入部まもない1年生のデビューです」と私が念押しした。フィンランド語1ヶ月で特訓したのですね」と、察しのいいシベリウスさんだ。

「合唱もなのだが…」とシベリウスさんが、遠くを見るような目で切り出す。「管楽器の和音の作り方がダイナミクスにかかわらず丁寧で感心していたところです」と。「打楽器も、キレより丁寧さを感じました」と続ける。「まあでも、カバレリアルスティカーナの弦がベースだよな」とはしべリウスさんさすがの着眼だ。「難儀な小序曲を、演奏会の先頭にケロリと持ってきてしまう余裕感も素晴らしい」「ソロを受け持つ生徒が指揮者ではなくてダンサーを見ていたよね」「指揮者はダンサーに背を向けているから、踊りと合うかどうかはプレイヤーが頼りだな」などど丁々発止だ。ブラームスさんが「忘れてならんのはコントラバスじゃよ」とドヤ顔で割り込む。カバレリのピチカートでは奏者全員が指揮者ではなくトップを見てた。このオケには目に見えぬアイコンタクトの網が縦横に張り巡らされてのですね」とシベリウスさん。

「楽器始めて1年少々の子もいますよ」とブラームスが話題を変える。「音楽に心を込める点で世界一でしょう」と私が持ちかけても真顔でうなずく二人だった。

「ビューロー、ニキッシュ、フルトヴェングラーとマエストロは、綺羅星のごとくだが、彼らは、誰が振ってもうまいオケをひきいているからな」とはブラームスの持論だ。苦笑いしながらもうなずくシベリウスさん。そもそも15~16の乙女たちメンバーが毎年半数入れ替わる上に、入部して楽器を始める子が大半って、ビューローに教えたらのけぞっていたよ。元々プロ集めてそこそこのオケならだれでも振りよるわい。毎年1から種まいて、一定の収穫を期待される。

ビールを持って娘たちがはいってきた。

2017年7月13日 (木)

お盆のファンタジー26

いつにもましてやけにドヤ顔のブラームスがやってきた。ドヤ顔の理由はすぐに明らかになった。年末年始のあんたらのドイツ旅行の時、4日連続の好天を用意したと言っている。「神様お天気お願いセンター」のドイツ支部とチェコ支部にかけあったらしい。

ハンブルクほどではないけれど、ニュルンベルクやミュンヘンのバイエルンやプラハでも、冬の好天は難しいからなと、訳知り顔である。快晴を4日続けたことに加えて気温もあまり低くなることがないように頼みこんだそうだ。だから言わんこっちゃない。その反動で、あんたらの帰国後には極端な低温になってみんな往生したと恩着せがましい。

2016年7月15日 (金)

お盆のファンタジー25

ブラームスさんとマーラーさんは子供たちが手に持っていた小箱が気になると口をそろえている。「あれは何が入っていたんだ?」と。

「あ~はいはい」と私が娘たちに合図した。次女がキッチンにお土産袋を取りにもどった。私が「スペシャルコンサートに臨む子供たちに保護者たちが用意した差し入れだと説明した。

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ドイツ公演を経験した子供たちは、旅行中何回かプレッツェルを食べた。そのことを演奏会前に思い出してもらうためのサプライズだと説明した。キイチゴのジャムパンとプレッツェルの組み合わせで、恐らく東京一のプレッツェルだと付け加えた。

ブラームスさんとマーラーさん用に一箱ずつ用意しておいた。箱もロゴもおしゃれな上に、味も最高だから道中腹の足しにするよう持たせた。たった今帰って行った。

2016年7月14日 (木)

お盆のファンタジー24

勢いに任せてさんざん盛り上がっているうちに、どうやらマーラーさんもブラームスさんも5月のスペコンにも来ていたことがわかってきた。何故わかったかというとブラームスさんがこう切り出したことがきっかけだった。

「あの日ヴィオラのトップを務めた生徒さんは、アダージェットの後、おかしな動きをしていたね」。マーラーさんは「そうそう、バッハ、アダージェットと演奏し終えたあの時、未完成にむけてメンバーが配置換えをしたときだ」「ヴィオラのトップの少女は配置換えの必要もないのに立ち上がって後方に歩いて行った」と、やけに確信に満ちた口調で私に念を押してきた。

なんということだ。

二人とも知っていたのか。

「たしかに」と私。長女が私にハンカチを差し出す。

5月スペコンの冒頭2曲。ヴィオラのトップ奏者は自分の楽器をスペアの位置において、私が貸していた楽器を弾いた。「主よ人の望みのよろこびよ」と「アダージェット」だが、本当は「アダージェット」を私の楽器で弾くためだったと、事の次第を説明した。

「そりゃあいい話だ」とブラームスさんとマーラーさんが同時に叫ぶ。「だってトップのその生徒さんだって大切なマイ楽器なのだろ。大切な引退公演の冒頭、マイ楽器を持たずにあんたのヴィオラを手に入場したってことだろ」とブラームス。「我々ピアニストはホール備えつけの楽器を弾かねばならない宿命だが、オケのメンバーはみな、マイ楽器をそれはそれは大切にしている」と。

「そりゃあ、あんたに対する最上の敬意と感謝の表れに違いない」とはマーラーさんだ。「誰の発案か知らないが、どんなパートだろうと、トップが本番でアクシデントもないのにスペア楽器を弾くなんて、本人以前に、他のメンバーや指揮者が許さんだろ」「つまり他のメンバーも趣旨に賛同していたってことだよ」

「どおりで、すごいアダージェットなわけだ」「ただの厳しい練習だけでは絶対にたどりつけない音楽だった」「何かを背負っていなければ絶対に届かない世界」「出番のない管楽器奏者たちもみなヴィオラトップ奏者の意思を認めていた証拠だ」とまくしたてるブラームスさんの横で、固まっているマーラーさんを見ていたら、マーラーさんは慌てて奥様にラインで話を知らせたと言ってスマホを見せてくれた。

ブラームスさんはそれを聞いて「わしもクララに知らせよう」と言ってスマホを取り出した。

2016年7月13日 (水)

お盆のファンタジー23

「ところで」とブラームスが話題を変えてきた。

「ニュルンベルク公演の時、ロビーでCDが売られていたね?」と。

私が「はい」と答えると「2枚組3種類全部買ったよ」と言って見せてくれた。2010年、2012年、2014年のニュルンベルク公演のライブだ。

「お買い上げありがとうございます」と私が言うと、次女が「2012年は私がセカンドで参加していました」と名乗り出た。「スプリンクラーの暴発の年です」と付け加えることも忘れない。

「思いだしたぞ」とブラームス。「オルガンの独奏もだが、ショスタコ某の交響曲がすごかったな」。学校のオケということで毎回必ずメンバーが完全に入れ替わってしまうのに、醸し出されるトーンがいつも同じなのは「伝統の力」としか説明がつかんな」と独り言が止まらぬブラームスさん。

「ということは」と唐突にマーラーさんが割り込む。

「つまり2018年には今回のアダージェットのCDが販売されるということだな?」

「おお、鋭い」とブラームスさんが機敏なリアクションをかます。

「先行予約には何か特典がないのか?」とか「せめてコンミスの生サインがほしい」とか、単なるミーハーが止まらぬ感じになってきた。

「妻の誕生日プレゼントにしたいので、くれぐれも内密に」と言いながらマーラーさんが私に20ユーロを差し出した。

2016年7月12日 (火)

お盆のファンタジー22

「それにしてもあのイタリア奇想曲はやばいな」とはブラームスの独り言だ。「あのあとチャイコフスキーさんから「昨年の白鳥湖に続いてまたやってくれたな」とラインが入ってきたらしい。「第一部のラストでしかないというのに、あれよあれよと人々が立ち上がったのは前代未聞だ」とマーラーさんもうなずく。「妻も椅子を蹴って立ち上がっていた」と付け加えるマーラーさんを遮るように「もしテロでキャンセルになっていたら市民の暴動がおきていたかも知れんな」と真顔のブラームスさんだ。

市民全員でサプライズを仕掛けた感じがしたとマーラーさんがしみじみと一杯目を飲み干しながらつぶやく。「はい」「乙女たちはあれで涙腺が完全に決壊でした」と私も飲み干す。「あなたは乙女たちにヴィオラを貸していたのか?」と訳を知しったふうなブラームスさんがドヤ顔で尋ねてきた。

「古い話で恐縮だが」と私が切り返す。

「大学4年の最後の演奏会に備えて私は楽器を買った」「そこで演奏したのがマーラーさんの第五交響曲だったんですよ」「千葉県初演ですわ」「私はヴィオラ、亡き妻はセカンドヴァイオリンで、最初で最後の共演でした」「アンコールは第四楽章つまりアダージェットだよ」「そりゃあすごい演奏だったから、やがてうまれた最初の女の子にあなたの奥様の名前をいただいた」

「今では弾くことのないその楽器を乙女たちのオケに貸していたおかげで、あのニュルンベルクのステージにスペア楽器として置かれていたんだ」

マーラーさんは長女からビール瓶を受け取ると私に酌をしてくれた。

「あのステージに連れて行ってくれたこともだが、あんたの楽器が一年間どんだけ大切にされていたかわかるな」とマーラーさんが私に一気飲みを促す。

2016年7月11日 (月)

お盆のファンタジー21

ブラームスが連れてきたのはまたまた紳士だった。「フランスに勝っていたら決勝戦を観に行く予定だったのだが」と憮然とした表情のブラームスの後から、静かに入って来たのはグスタフ・マーラーだった。私のメガネを見て同じだといってブラームスが笑っている。

娘たちは今年も「だあれこの人」というリアクションだ。長女を紹介するとマーラーさんの目がひときわ輝いた。「妻と同じ名前なのか?」と訊いてきた。長女はこっくりとうなずく。「幼いころはなじめなかったけど、今はとても気にいっています。自己紹介すると一度で覚えてもらえます。就活の面接者に音楽愛好家がいて、貴殿の妻の名前だと悟られたことから話が30分続いたこともありました。小さいころから父に由来を聞かされてきたので、スラスラと答えることが出来ました」と嬉しそう。

オケをやっていた次女は、「指揮もなさるのですか?」などと怖いもの知らずの質問をしている。マーラーさんは余裕をかましながらニコニコとうなずいている。「3月には、あなたの後輩たちがニュルンベルクに来てくれたね」と早々と核心話を切り出した。次女は「今年はテロもあって心配しましたが、何とか開催できました」といつになく控えめ。マーラーさんは「ブラームスから絶対に聴きに来い」としつこくさそわれていたらしい。「遠い日本から高校生が来る。しかも女子ばかりということで妻も誘って出かけたよ」とマーラーさんは遠くを見つめるような目でつぶやく。「会場入りする人波を見て、半信半疑だった妻の顔つきがかわった」「堅実でクレバーな演目の中にアダージェットが無理なくおかれているのを見てうれしかった」などと話があふれ出す。「バッハからアダージェットを経て未完成に至る流れは実に端正だ」とブラームスが割り込んできた。

長女がビールを取りにキッチンに走る。

「すごいアダージェットだった」「これが10代半ばの乙女たちなのか」ビールも入っていないのにマーラーさんは矢継ぎ早だ。「見ての通り、高い音をはずしませんねとか、指が回りますねとか、重音がはまりますねとかいう切り口の曲ではないからな」と口を挟まずにはいられないブラームスさんだ。「出番がない管楽器奏者たちが定位置に座ったままという緊張感も音楽のうちだった」「自信に満ちたというにはあまりにエレガントなアダージェットだった」というブラームスの言葉にマーラーさんはすでに涙目だ。

「おまちどうさま」と長女がビールを持ってきた。次女がブラームスに長女がマーラーさんに酌をしている。注ぎ終わるかどうかというところでブラームスさんが「乙女たちのアダージェットに乾杯」と宣言した。

2015年7月16日 (木)

お盆ネタ20本

ブラームスが知人を連れてお盆に我が家にやってくるというコンセプトの記事が昨日で20本に達した。

  1. 2007年 バッハ
  2. 2008年 シューマン夫妻
  3. 2009年 ヨアヒム
  4. 2010年 ドヴォルザーク
  5. 2010年 ドヴォルザーク。ブラームスの携帯電話ネタ。
  6. 2011年 ジムロック 地震お見舞いネタ。
  7. 2011年 ジムロック 「ブラームスの辞書」版権譲渡ネタ前編。
  8. 2011年 ジムロック 「ブラームスの辞書」版権譲渡ネタ後編。
  9. 2012年 ビューロー 「ニュルンベルクコンサート」ネタ
  10. 2012年 ビューロー 「ふるさと」ネタ。
  11. 2012年 ビューロー 
  12. 2012年 ビューロー
  13. 2012年 ビューロー
  14. 2012年 ビューロー
  15. 2013年 ブラームス単独 真冬の来訪。ふくだもなネタ。
  16. 2013年 ボロディン 36代をねぎらう。
  17. 2014年 ドヴォルザーク ドヴォ8、謝肉祭
  18. 2014年 ドヴォルザーク 
  19. 2014年 ドヴォルザーク
  20. 2015年 チャイコフスキー

その間我が家を訪れたのは9名だ。申し上げるまでもないが全部私の創作である。詳細はこちら

ブログ「ブラームスの辞書」の当面のゴール2033年5月7日までおよそ20年。2010年から年に2本以上が続いている。この調子で行くとかなりな本数を稼げる予感。

同時に本日はブログ開設以来ちょうど3700日の節目にあたる。

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ブラームスの辞書写真集

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    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
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