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カテゴリー「084 お盆」の37件の記事

2018年7月15日 (日)

お盆のファンタジー34

ブラームスさんお手製のCDをさっそく聴こうという話になったと思ったら、娘たちが部屋に入ってきた。何かと思えば手にワインを持っている。ブラームスさんが持参したワインを冷やしておいたとか。パパにばれないように野菜庫の奥に入れて大根でかくしておいたと娘が言っている。やけに早い登場はそういう工作のためだったそうだ。

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サプライズのつもりらしい。決勝戦を見ながらとも思ったが、特製CDを聴きながらも悪くあるまい」と自慢気に話すブラームスさんだ。

あんたの慰労だと薦めてくれた右側のアイスワインは絶品だった。

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ご覧の通りのゴージャスな色合い。

2018年7月14日 (土)

お盆のファンタジー33

「忘れていた」と言い訳しながら、CDを1枚出して「私からの贈り物だ」と付け加えた。ジャケットには手書きで「お疲れ様」と書いてある。収録は下記の通り。

  1. 2013年 マスカーニ 「カヴァレリアルスティカーナ」間奏曲
  2. 2011年 ラヴェル 「ラヴァルス」
  3. 2012年 ショスタコーヴィッチ 交響曲第5番第4楽章
  4. 2013年 ブラームス ピアノ五重奏曲 第3楽章
  5. 2014年 ドヴォルザーク 序曲「謝肉祭」
  6. 2015年 リスト 交響詩「レプレリュード」
  7. 2016年 マーラー 交響曲第5番よりアダージェット
  8. 2017年 サンサーンス 「バッカナール」
  9. 2018年 Rコルサコフ 「スペイン奇想曲」
  10. 2017年 シベリウス 「フィンランディア」合唱付き。
  11. 2013年 シェーンベルク レミゼラブルより「民衆の歌」

作曲家が重複しないように工夫したとどや顔。2013年はあなたの室内楽だがと水を向けると、もじもじと「気に入らんか?」と私の顔を覗き込んできた。「だから代わりにレミゼを最後に入れておいた」とは、空気の読める男だ。「ありがとう」と言って全力で手を握り返した。

まさに現代のピエタだとブラームスさんがため息をつく。このレベルがずっと維持されているとは驚きだとも付け加える。

全てお見通し、毎度のことながら目端の利くブラームスさんだ。

2018年7月13日 (金)

お盆のファンタジー32

六重奏の話は、自作だということもあって、それはそれは控えめな喜び方だった。話の一段落を待って、「ところで」と話を変える。「DUK77ってなんだ?」

は?

という私の顔つきをうかがって、さらにたたみかける。「羽田空港で写真撮影のときに見かけた」と言っている。

先般のドイツ公演の際に、裏方でがんばったOGチームの名前だと説明した。現役の生徒たちだけでは、公演の運営に手が回らず、国内での演奏会のようなクオリティにならないから、有志を募って現地裏方を募集したんだ。「フットボールのチームかと思った」と切り返すブラームスさんだが、総勢11名だったということもお見通しのようだ。「何人か青いネクタイの生徒がいただろ?」一部は演奏の手助けもしたと説明した。

「それにしても天国から直行の我々とちがってお金もかかるんだろ?」と心配顔のブラームスさん。「後輩の演奏会を助けたいというピュアでまっすぐな気持ちの現れです」と答えておいた。ついでにノイシュヴァンシュタイン城にも立ち寄る強行軍だったと付け加えたら、「ああ知っているよ」と言っている。なんでも「神様お天気センター」にお願いして現地に雪を降らせたとどや顔だ。

もはや「子供たち」「生徒」といういい方は似合わない立派なレディーたちだなと、意見が一致した。

2018年7月12日 (木)

お盆のファンタジー31

「それにしても」と、ブラームスさんは話を切りだした。

「ニュルンベルクでの六重奏は素晴らしかったな」

次女の後輩たちのドイツ公演に先立って、ニュルンベルク市庁舎を表敬訪問した際に、弦楽器のトップ奏者6人がブラームスさんの変ロ長調六重奏曲の第一楽章を披露したことを言っているのだ。

「お聴きいただけたのですね?」と言い終わる前に「ブッルルァーーヴォ」と、巻き舌をやけに強調して言い放った。あんたの娘さんたちの五重奏を思い出したよと言って乾杯のしぐさ。

出発前に私も聴かせてもらったと言うと、どうだった?と聞き返してきた。「あれは私があなたの大ファンだと知っての贈り物代わりの演奏だったんですよ」と私。

折り目正しいテンポ、制御されたフォルテ、端正なフレージング、乙女らしいみずみずしさ、どれをとっても極上じゃなとブラームスさんは満足気だ。コンミスの腕前はRコルサコフで実証済みだが、取り囲む5人の温かみのある音が印象的だった。立ち上がり、チェロとヴィオラの音色で引きこまれた。とくに第一チェロは、只者ではあるまい。6度連鎖の小結尾主題を余裕しゃくしゃくで弾かれて、はっとした。ヴィオラ2本で効かせる急ブレーキからヴァイオリンデュエットに至る流れは、心憎いばかりじゃ。再現部で、伴奏に回るコンミスの難儀なオクターブは、さすがじゃな。コーダのピチカートによるレントラーには「終わらないでくれ」と思ったなどと、もうとどまることを知らない。

時間をかけたらもっとよくなりますねと私が水を向けると、いずれは全曲が聴きたいと真顔で乗り出してきた。

「その時は一度練習を見てもらえませんか?」と頼んでみた。「何度でもオーケーだ」と言って勢いよくジョッキを空ける上機嫌のブラームスさんだった。

2018年7月11日 (水)

お盆のファンタジー30

やけに早い到着のブラームスさんだ。今年は連れがいないそうだ。

「そんなことより、今年の日本は地震やら水害やらで大変らしいな」と心配顔だ。「こっちはサッカーが決壊しているがね」と自虐ネタも忘れない。ドイツ代表の惨状と、ハンブルガーSVの初降格を肴に飲もうと思ってきたらしいが、水害が気の毒でと気乗りしない様子である。神妙な顔をしている。

以前にイタリアでひどい目にあったから他人ごとではないと言いながら、仲間から預かってきたという義援金を懐から取り出した。

こういうところは律儀である。

2017年7月16日 (日)

お盆のファンタジー29

そろそろお暇をと言いながらブラームスが話題を変えてきた。「今日は大切な日なんだろ?」と。ウインクをかましてきた。「へ?」という反応のシベリウスさんを横目にブラームスさんが続ける。「来年またニュルンベルクに来てくれるための大事なミーティングがあるはずだったな」と。「わしの作品はプログラムにないようだが」

これからみんなで出かけて資料のセットを手伝うと言い出した。5月の演奏会でもパンフはさみを手伝ったから手慣れたもんだよと。昼間の出発なので送り火はなしということで話しがついた。

2017年7月15日 (土)

お盆のファンタジー28

乾杯をきっかけに、話はバッカナールに切り替わった。

口火を切ったのはシベリウスさんだ。「あのバッカナールは、コンサートの締めくくりというほかにも特別の気迫を感じたが」と素直な問題提起だ。「あれはな」とすっかり身内スタンスでブラームスさんが、説明にとりかかる。「コンクール曲と言ってな、秋のコンクールの演目じゃ。生徒たちが1年間丹精をこめた曲ということになる。昨年は、イタリア奇想曲、その前はレプレリュード、その前が謝肉祭だったろ」と。

「うちの娘はその前でボロディンでした」と私が付け加えると、ブラームスさんは、「その前はショスタコ某だった。わしの作品はかすりもせんがな」と自嘲気味だ。「それは先生の作品だと出番のない生徒が出るからですよね」とひとまず慰めるシベリウスさんだが、乙女たちの気迫の理由はその歴史にある。伝統のコンクール曲だとみんなの意見が一致した。

指揮者の病気はオケの一大事で、一時はどうなるかと思ったら、「指揮なしバッカナール」で入学式を切り抜けるとは、発想が新しいなとブラームスのドヤ顔が止まらない。「ナマで聴きたかった」とシベリウスさんも興味津々だ。あの曲が指揮なしでも演奏できるほど、完成してるってことなんだが、あれを切り抜けて一段とアンサンブルの精度が高まったとブラームスさんは慎重に断言した。

清冽な弦のピチカート一閃から難儀なオーボエのドソロが始まって、険しい道を上り詰めたところ中間部の清らかな景色こそがバッカナールの白眉だ。そこを際立たせるために周囲の部分が逆算されているという構想が素晴らしいとシベリウスさんがブラームスさんに同意を求めた。テンポもダイナミクスも全て計算ずくで配置されているのだろうが、聴いている限りはとても自然じゃなとブラームスさん。最後にテンポを煽るところは、わかっていても感動させられます。術中にはまる感じ。3時間30分のコンサートの最後に、あの煽りについていく余力が素晴らしい。

二人ともすっかり盛り上がって私の出る幕はない感じ。

2017年7月14日 (金)

お盆のファンタジー27

そやった、そやったと、後ろにいる紳士を紹介してくれた。シベリウスさんだ。「3年連続でチャイコフスキーを取り上げて、今やお家芸だなと、思っていたら、フィンランディアがあるんで、誘ったんだ」とブラームスの説明はいつも大げさだ。

「とにかくすごいから、と半ば強制でしたからね」と、シベリウスさんが握手の手を差し伸べながら切り出した。「おかげさまで、あの曲は世界中で演奏されていますが、珍しい合唱付きで楽しめました」と満足げだ。「だろ、だろ」とブラームスがはやしたてる。「フィンランド語だったのには驚いたよ」とはブラームスさんの第一声だ。「合唱抜きになれている耳には別物に聞こえました」と私。「本来は合唱ありなんですわ」とシベリウスさんも打ち解けはじめた様子。「歌った生徒は赤いネクタイでしたが、担当別に色分けでしたか?」とシベリウスさんからやけに細かい質問があった。「いやいや、あれは一年生の色だよ」と、私を遮って訳知り顔のブラームスさんがピタリの説明をしてくれた。

日本では4月が新入生の季節だと、ブラームスさんがシベリウスさんの耳元で教えている。「そうなんです」「あの合唱は入部まもない1年生のデビューです」と私が念押しした。フィンランド語1ヶ月で特訓したのですね」と、察しのいいシベリウスさんだ。

「合唱もなのだが…」とシベリウスさんが、遠くを見るような目で切り出す。「管楽器の和音の作り方がダイナミクスにかかわらず丁寧で感心していたところです」と。「打楽器も、キレより丁寧さを感じました」と続ける。「まあでも、カバレリアルスティカーナの弦がベースだよな」とはしべリウスさんさすがの着眼だ。「難儀な小序曲を、演奏会の先頭にケロリと持ってきてしまう余裕感も素晴らしい」「ソロを受け持つ生徒が指揮者ではなくてダンサーを見ていたよね」「指揮者はダンサーに背を向けているから、踊りと合うかどうかはプレイヤーが頼りだな」などど丁々発止だ。ブラームスさんが「忘れてならんのはコントラバスじゃよ」とドヤ顔で割り込む。カバレリのピチカートでは奏者全員が指揮者ではなくトップを見てた。このオケには目に見えぬアイコンタクトの網が縦横に張り巡らされてのですね」とシベリウスさん。

「楽器始めて1年少々の子もいますよ」とブラームスが話題を変える。「音楽に心を込める点で世界一でしょう」と私が持ちかけても真顔でうなずく二人だった。

「ビューロー、ニキッシュ、フルトヴェングラーとマエストロは、綺羅星のごとくだが、彼らは、誰が振ってもうまいオケをひきいているからな」とはブラームスの持論だ。苦笑いしながらもうなずくシベリウスさん。そもそも15~16の乙女たちメンバーが毎年半数入れ替わる上に、入部して楽器を始める子が大半って、ビューローに教えたらのけぞっていたよ。元々プロ集めてそこそこのオケならだれでも振りよるわい。毎年1から種まいて、一定の収穫を期待される。

ビールを持って娘たちがはいってきた。

2017年7月13日 (木)

お盆のファンタジー26

いつにもましてやけにドヤ顔のブラームスがやってきた。ドヤ顔の理由はすぐに明らかになった。年末年始のあんたらのドイツ旅行の時、4日連続の好天を用意したと言っている。「神様お天気お願いセンター」のドイツ支部とチェコ支部にかけあったらしい。

ハンブルクほどではないけれど、ニュルンベルクやミュンヘンのバイエルンやプラハでも、冬の好天は難しいからなと、訳知り顔である。快晴を4日続けたことに加えて気温もあまり低くなることがないように頼みこんだそうだ。だから言わんこっちゃない。その反動で、あんたらの帰国後には極端な低温になってみんな往生したと恩着せがましい。

2016年7月15日 (金)

お盆のファンタジー25

ブラームスさんとマーラーさんは子供たちが手に持っていた小箱が気になると口をそろえている。「あれは何が入っていたんだ?」と。

「あ~はいはい」と私が娘たちに合図した。次女がキッチンにお土産袋を取りにもどった。私が「スペシャルコンサートに臨む子供たちに保護者たちが用意した差し入れだと説明した。

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ドイツ公演を経験した子供たちは、旅行中何回かプレッツェルを食べた。そのことを演奏会前に思い出してもらうためのサプライズだと説明した。キイチゴのジャムパンとプレッツェルの組み合わせで、恐らく東京一のプレッツェルだと付け加えた。

ブラームスさんとマーラーさん用に一箱ずつ用意しておいた。箱もロゴもおしゃれな上に、味も最高だから道中腹の足しにするよう持たせた。たった今帰って行った。

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