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    2012年3月28日から4月4日まで、次女の高校オケのドイツ公演を長男と追いかけた珍道中の記録。厳選写真で振り返る。

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    自分で買い求めて賞味したビールの写真。ドイツとオーストリアの製品だけを厳選して掲載する。

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カテゴリー「084 お盆」の44件の記事

2020年7月16日 (木)

お盆のファンタジー41

さて腹が減ったころだ。長男がかねて用意のランチを持ってきた。

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ザウアークラウトとソーセージのサンドイッチだ。パンはライ麦のあくまでもドイツ風。「東京千駄木の鴎外先生の旧居跡にあるカフェの名物です」という説明の終わる前にもうかぶりついたブラームスさんだ。鴎外先生は「千駄木?」と懐かしそうだ。「はい。私は小倉のお宅にも、ミュンヘンの下宿にもお邪魔したことがあります」というと、「そりゃ熱心な」と。

さっき帰っていった。

「今年は音楽の話にならなかったな」「でも満足だ」「いただいた歌集からいくつかに曲が付けられるかもしれない」「できたらリモートで送るから」とはしゃぐブラームスさんだった。

 

2020年7月15日 (水)

お盆のファンタジー40

5杯目を飲み干してブラームスさんが「ところで源実朝って誰じゃ?」と聞いてきた。鴎外先生が「いかんいかんまだ説明出来とらん」と頭を掻く。「あなたを生涯の作曲家と決めて40年、このほどようやく生涯の歌人を決めました」「それが源実朝です」と即答する私。

「いやいや実朝某を私になぞらえているのでな」とブラームスさんが身を乗り出す。歌人と作曲家を紐付けた試みのことだ。

  1. 大伴家持   662 バッハ
  2. 紀貫之      718 モーツアルト
  3. 源俊頼     1055 ハイドン
  4. 藤原俊成  1114 ベートーヴェン
  5. 西行        1118 シューベルト
  6. 藤原家隆   1158 ショパン
  7. 藤原定家  1162 ワーグナー
  8. 九条良経  1169 メンデルスゾーン
  9. 後鳥羽院  1180 シューマン
  10. 源実朝     1192 ブラームス
  11. 藤原為家  1198 チャイコフスキー
  12. 後嵯峨院  1220 ドヴォルザーク
  13. 京極為兼  1254 ドビュッシー
  14. 伏見院     1265 マーラー
  15. 足利義政  1436 シェーンベルク

「日本の有名歌人たちの位置づけを急ぎ飲み込むにはうってつけの資料だな」とブラームス先生。「ブラームス先生が遅れてきたロマン派である点やバッハ先生への傾倒、シューマン先生との関係、ワーグナー先生の位置づけ、もろもろ全て熟考の成果です」と私がどや顔気味にまくしたてる。「ブルックナー先生やリスト先生にあてていたら、その歌人の位置づけはすぐにばれますよね」と付けくわえた。

「シューマン夫人やマーラー夫人がいないのが残念だ」とブラームスさん。「いやいやそうは申しても」と鴎外先生が割って入る。「女流歌人の位置づけは女流作曲家の位置づけよりも格段に高いんじゃよ」と。「そういえばわしが曲をつけた詩人は男性ばかりだった」とブラームスさんが感心しきりだ。

私が次女に合図を送った。次女がいそいそと二人に包みを差し出す。「開けてください」と私。

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「令和百人一首書籍版をマスクのお礼に差し上げます」と次女が高らかに言い放つ。「表紙は源実朝なんですよ」と付け加えた。

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ぴったりサイズの特製ケース入りだ。パラパラとめくっていた鴎外先生が奥書きを見て驚いた。「10部印刷なのか?」と。「製版代もばかにならんじゃろ」と出版事情にも詳しいブラームスさんが割って入る。「まあオンディマンド印刷ですわ」と私。限定10部の1番を鴎外先生に用意しましたと。「わしのは7番になっとるわい」とブラームスさん。「一応お誕生日に合わせました」と控えめなどや顔の私。

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2020年7月14日 (火)

お盆のファンタジー39

乾杯のジョッキをあっという間に飲み干したブラームスさんが待ちかねたように口を開く。「道中音楽の話が全く出なかった」「興味深い日本のポエムの話ですっかり盛り上がった」鴎外先生も遅れて飲み干して加わる。「私の作品を選んでくれてありがとう」どうやら「令和百人一首」のことを言っているらしい。「31音の短詩とは優雅なことだ」「賛美歌にも同一の音節構造を持つテキストに旋律を共有させる仕組みがあるけれど日本のは繊細だな」とブラームスさんが得意げに話す。「和歌を選んで配置することも十分に芸術ですね」と鴎外先生がポツリとつぶやいた。「道中2人で全百首を味わってきたよ」というとブラームスさんが「いやはや楽しい」と満足気だ。

「それにしても和歌の伝統とはさすがだな」とブラームスさんが溜息をつく。「少なく見積もって1200年も同一の詩型が維持されているとは」どうも道中の鴎外先生の講義はそうとうな細部にまで及んでいたようだ。

鴎外先生はやっと「選んでいて楽しかったろう」と少し話題を変えた。「はい」と私。「時代順の配列」「日本史と和歌史のバランス」「本歌取りの優先的採用」と続けても鴎外さんはうなづくばかり。「加えて和歌へのリスペクト」とブラームスさんと鴎外さんが同時に口走ったのには驚いた。驚いてばかりもいられないので「同時に古典へのリスペクト」と私が切り返すとブラームスさんは立ち上がって私をハグしてくれた。鴎外先生は笑いながら「ディスタンス、ディスタンス」と言っている。

「ブラームス先生を筆頭とする欧州の古典音楽の作曲家たちの話題なら一晩中語っていられるのだから、自分の国の歌人についてそれが出来ないのは文化的に恥ずかしい」というと鴎外先生は小さくガッツポーズを作ってくれた。「古今の優秀な作品に数多く触れてそれについて語れることは生涯の宝になる」「これらを出来るだけ暗記しておいて、ふさわしい場面で思い出せることが人生を豊かにする」などと巨匠二人の前で調子に乗ってしまった。

「古典古典古典じゃな」と鴎外先生がポツリとつぶやく。「古典を知り尽くした上でないと乗り越えることも出来ん」「壊すべき古典のない無手勝流では、やがて廃れる」と堰を切ったようだ。「陸軍用語の前衛、フランス語でいうアヴァンギャルドは、芸術用語としては危うい」「軍隊用語なら奇襲を受けぬよう本体に先行する小隊の意味で、本隊は必ず前衛の後を追うものだが、芸術は単なる異端との境目が曖昧だ。用心せねばな」と陸軍ネタにはやけに明るい鴎外先生だ。「だからじゃ」とブラームス先生が割り込む。「わしがドイツバロックにのめり込むのも同じ理屈だよ」「未来の音楽には興味はなくて、ただ未来に残る音楽を書きたいと思ったら歴史を顧慮せざるを得ぬ」「わしなんぞはけして筆頭ではないんだよ」

 

2020年7月13日 (月)

お盆のファンタジー38

いやいやさすがに今年は来ないかと思ったら、悠然とやってきた。二人連れだ。二人ともマスクをしている。ブラームスさんが「俺は煩わしいから、いやだと言ったんだが、連れが厳しくてな」と後方の紳士を紹介してくれた。「ベルリンの森です」といって手を差し出してきた紳士は、森鴎外先生だ。道理でマスクにうるさいわけだ。「何しろ軍医殿だからな」とブラームスさんは神妙にしている。母が消毒用アルコールを二人に差し出した。ブラームスさんは「感染症と言えばコレラだな」と訳知り顔だ。1848年にパンデミックがハンブルクを襲ったことを指しているようだ。「20世紀に入ってからはスペイン風邪などもあった」と鴎外先生が付け加えた。

「そんなところで立ってないでこっちで喉の消毒をしよう」と私が招き入れた。鴎外先生はドイツ語堪能なので道中話が弾んだようで、ブラームスさんが感染症にもやけに詳しくなっている。「あんたの家族は大丈夫か」と心配顔だ。「なんとか」と答えると頷きながら「土産だ」と言って紙包みを差し出す。次女がそそくさと開けると中身はマスクだった。「天国は密なのだが誰もしていなくてな」と。「全部布製手作りだから」とやけにどや顔だ。家族全員の分が揃っていると母が涙目でお礼を言っている。娘たちは「マスクかわいい」といって盛り上がっている。食事などのために一瞬はずしたマスクをおしゃれに収納できるケースには感心しきりだ。なんでもマスクに直接触れずに脱着が可能だとか。

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さあさあ「うがいうがい」と長男がビールを持って入ってきた。ブラームスさんは「ご家族お揃いか」と嬉しそうだ。私が「いやいやこれこそが在宅ですよ」と説明すると鴎外先生が感心しながらブラームスさんに説明している。さてとばかりに鴎外先生とブラームスさんがマスクをはずすと長女が笑った。「お二人とも立派な髭なので」と珍しそうだ。

「ホッホコローナ」とブラームス先生がジョッキを手に立ちあがった。「御一同起立」を意味する学士会用語だ。勢いにつられて母まで立ち上がった。鴎外先生の「プロジット」の声が高らかに鳴り響いた。

2019年7月16日 (火)

お盆のファンタジー37

凄い演奏だった。「墓参御礼のカノン」のことだ。あれから次女を交えてビールそっちのけで夜半まで弾きっぱなしだった。バッハさんと次女はときどきパートをチェンジしている。「実はサードも面白いからな」と訳知り顔のバッハさんだ。通奏低音のパッヘルベルさんは、楽譜を見ていない。そりゃまあ本人だし。繰り返すたびに毎回違うけど大した説得力だ。パッヘルベルさんがトイレにたった隙に、ブラームスさんがチェンバロを弾いてくれた。ブラームスさんリアライゼーションのカノンだ。パッヘルベルさんと細かいところが違うけれど、思った以上に普通だった。「本人前にしとるからのお」としおらしいブラームスさんを、バッハさんが「よかよか」とほめていた。次女いつの間にかファースト弾いてた。

こちらから、5人にお礼を用意していた。「オルガン自由曲頭出し」CD集だ。全17枚組を5名に進呈する。

  • ブクステフーデ 4枚組
  • パッヘルベル 6枚組
  • テレマン 1枚組
  • バッハ 6枚組

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先輩4名を差し置いて「やべえ」としきりに驚いているのはブラームスさんだ。次女が「ブラームスさんのオルガン作品が入ってなくてすみません」と謝ると「ワシのガラクタなんぞに用はない」といつもの謙遜ぶりだ。「現代日本でCDの音源があるものとならざるを得ずテレマンさんが少なくてすみません」と私が説明した。「未発見作品が全て見つかったらテレマンさんが最多になるはず。今度ワシの手持ちを送るから」「シュピッタの所にはブクステフーデさんのがもっとあるはず」とブラームスさんが真顔でつぶやく。「CDあるんか」と突っ込むのはやめておいた。当のテレマンさんは「なあにお三方は教会オルガニストだから」と冷静に応じている。

「道中聞きながら」と大切そうに抱えて、さっき帰っていった。

2019年7月15日 (月)

お盆のファンタジー36

令和改元の話が一段落すると、ブクステフーデさんが「ところで墓参のときについてきたネコはいったい何者だ?」と訊いてきた。セバスチャンのことだ。ペットボトルホルダーの意味を説明し、ツアーペットからブログペットに昇格したと説明した。次女が私の部屋から連れてきて差し出しながら「名前はセバスチャンです」と紹介すると、バッハさんが飲みかけのビールを吹いた。

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「一人旅の退屈を紛らせてくれたし、みなさんのお墓で写し込むことで、確かに私が現地を訪れた証拠になります」と私が付け加えた。「ケラーで支払いをするときセバスチャンを含めてツザーメンというと受けが取れました」「みなさんの墓参を1度の旅行で達成するために知恵を絞りました」「その一つがセバスチャンです」

「それではセバスチャン閣下に墓参のお礼をしよう」とテレマンさんが切り出した。バッハさんが「貴殿の家にはチェンバロがあったはずだ」と言っている。たしか前回、電子ピアノでチェンバロの音が出ると説明していた。「酔いが回る前にな」とテレマンさんが促すとおのおの何か取り出している。私の「カノンニ長調を5人で演奏する」とパッヘルベルさんが宣言した。「日本で超有名ときいたんでな」と。

何やらもじもじとブクステフーデさんが困った顔をしている。「わしはヴィオラダガンバで通奏低音を弾きたいのだが…」と小声だ。困惑の意味がわかった。彼がガンバを弾くとヴァイオリンが一人足りなくなるからだ。「道中ブラームスさんにヴァイオリンを弾くよう説得したのだが色よい返事がなくてな」とブクステフーデさんが訴える。ブラームスさんはにやりとしながら「いやいやここには可憐なヴァイオリニストがおるのでな」と次女を指さした。

チェンバロはパッヘルベルさん。ブクステフーデさんがガンバ。バッハさんとテレマンさんと次女がヴァイオリンだ。緊急会合の結果、テレマンさんが第一ヴァイオリンで、次女がやはりセカンド。バッハさんがサードを弾くときまった。気の早いパッヘルベルさんがAを鳴らしている。次女が急いで2階にヴァイオリンを取りに走った。

感動的。やけに早いテンポ。

「この日のために何回かトマス教会に集まって練習した」「練習中は私がセカンドを弾いたよ」とジョッキ片手のブラームスさん。「ご息女は飛び入りの割には溶けているな」「楽譜よりテレマンさんをガン見している」とほめてくれた。

2019年7月14日 (日)

お盆のファンタジー35

さすがのブラームスさんも今年ばかりはツアーコンダクターに徹したようだ。盆灯を待ちかねたように5名が立て続けに我が家にやってきた。ブラームスさんは手早く紹介してくれた。

ブラームス:「こちら最年長のブクステフーデさん」

ブクステフーデ:「ディートリヒと呼んでくれ」

ブラームス:「こちらはニュルンベルクのパッヘルベルさん」

パッヘルベル:「大ヨハンと呼んでくれ」

ブラームス:「こちら同郷のテレマンさん」

テレマン:「フィリップと呼んでくれ」

前に一度来たことがあるバッハさんはブラームスさんが紹介する前に「最年少のバッハです」と私に手差し出した。さすがのブラームスさんもこのメンバーの中では使い走り状態だったと見えてしきりに汗を拭いている。無理もない。

まずブクステフーデさんが「昨年は墓参ありがとう」と切り出した。昨年8月のドイツ旅行で、4名の墓参りをしたことに感謝してくれた。

玄関先の話し声を聞いて母が出てきた。「立ち話してないで中に入ってもらいなさい」といつもの仕切り癖が出ている。リフォームしたばかりのリビングに座ってもらうと、次女がビールを注いだ。乾杯の発声はブラームスさんに促されたパッヘルベルさんだ。

「プロジット」

一気飲みが終わったところでテレマンさんが私に「ところで今年、日本ではカイザーが交代したのか」と尋ねてきた。ドンピシャの時事問題である。「イエス」というと「カイザーではなくテンノーだと」とブラームスさんがしたり顔で割り込んできた。「日本は選挙で皇帝を決めたりせんようだ」と付け加える。選帝侯のことを言っているのだろう。「日本ではおよそ200年ぶりの生前退位です」「30年前の改元では、昭和天皇の崩御とセットだったから自粛ムードも目立ったけれど、今回はお祝い一色でした。慣れない10連休で大変でした」と、いつの間にか次女が説明している。前回の改元の時には生まれていなかった次女だが堂々たる講釈だ。「改元関連テレビ番組が盛んに放映される中、皇室の歴史を振り返る番組ではバッハさんの作品がBGMになっていました。」といちいち細かい。

 

2018年7月15日 (日)

お盆のファンタジー34

ブラームスさんお手製のCDをさっそく聴こうという話になったと思ったら、娘たちが部屋に入ってきた。何かと思えば手にワインを持っている。ブラームスさんが持参したワインを冷やしておいたとか。パパにばれないように野菜庫の奥に入れて大根でかくしておいたと娘が言っている。やけに早い登場はそういう工作のためだったそうだ。

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サプライズのつもりらしい。決勝戦を見ながらとも思ったが、特製CDを聴きながらも悪くあるまい」と自慢気に話すブラームスさんだ。

あんたの慰労だと薦めてくれた右側のアイスワインは絶品だった。

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ご覧の通りのゴージャスな色合い。

2018年7月14日 (土)

お盆のファンタジー33

「忘れていた」と言い訳しながら、CDを1枚出して「私からの贈り物だ」と付け加えた。ジャケットには手書きで「お疲れ様」と書いてある。収録は下記の通り。

  1. 2013年 マスカーニ 「カヴァレリアルスティカーナ」間奏曲
  2. 2011年 ラヴェル 「ラヴァルス」
  3. 2012年 ショスタコーヴィッチ 交響曲第5番第4楽章
  4. 2013年 ブラームス ピアノ五重奏曲 第3楽章
  5. 2014年 ドヴォルザーク 序曲「謝肉祭」
  6. 2015年 リスト 交響詩「レプレリュード」
  7. 2016年 マーラー 交響曲第5番よりアダージェット
  8. 2017年 サンサーンス 「バッカナール」
  9. 2018年 Rコルサコフ 「スペイン奇想曲」
  10. 2017年 シベリウス 「フィンランディア」合唱付き。
  11. 2013年 シェーンベルク レミゼラブルより「民衆の歌」

作曲家が重複しないように工夫したとどや顔。2013年はあなたの室内楽だがと水を向けると、もじもじと「気に入らんか?」と私の顔を覗き込んできた。「だから代わりにレミゼを最後に入れておいた」とは、空気の読める男だ。「ありがとう」と言って全力で手を握り返した。

まさに現代のピエタだとブラームスさんがため息をつく。このレベルがずっと維持されているとは驚きだとも付け加える。

全てお見通し、毎度のことながら目端の利くブラームスさんだ。

2018年7月13日 (金)

お盆のファンタジー32

六重奏の話は、自作だということもあって、それはそれは控えめな喜び方だった。話の一段落を待って、「ところで」と話を変える。「DUK77ってなんだ?」

は?

という私の顔つきをうかがって、さらにたたみかける。「羽田空港で写真撮影のときに見かけた」と言っている。

先般のドイツ公演の際に、裏方でがんばったOGチームの名前だと説明した。現役の生徒たちだけでは、公演の運営に手が回らず、国内での演奏会のようなクオリティにならないから、有志を募って現地裏方を募集したんだ。「フットボールのチームかと思った」と切り返すブラームスさんだが、総勢11名だったということもお見通しのようだ。「何人か青いネクタイの生徒がいただろ?」一部は演奏の手助けもしたと説明した。

「それにしても天国から直行の我々とちがってお金もかかるんだろ?」と心配顔のブラームスさん。「後輩の演奏会を助けたいというピュアでまっすぐな気持ちの現れです」と答えておいた。ついでにノイシュヴァンシュタイン城にも立ち寄る強行軍だったと付け加えたら、「ああ知っているよ」と言っている。なんでも「神様お天気センター」にお願いして現地に雪を降らせたとどや顔だ。

もはや「子供たち」「生徒」といういい方は似合わない立派なレディーたちだなと、意見が一致した。

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ブラームスの辞書写真集

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    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
2020年11月
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