リンフォルツァンド意訳委員会
リンフォルツァンドは「rf」と略記される。大抵の音楽辞典には「その音を特に強く」と書かれている。スフォルツァンド「sf」との区別は難解である。両者はブラームスの楽譜上にも出てくるが、頻度としては圧倒的に「sf」が多い。「sf」と「rf」が混在するケースもある。
おそらくブラームスは書き分けていたと感じる。
こういう時イタリア語辞典を紐解いて、元の意味を当たると言われることがある。参考にはなると思われるが、ブラームスが両者の書き分けにあたってイタリア語辞典を確認していたかどうかは保証の限りではない。何らかの表現上の必要性に迫られたブラームスが、自分が知っている楽語の中からもっとも近似するものを選んで、元のイタリア語の意味にとらわれずに特定の意図で用いただけという可能性もある。
本日の提案は「大切に」だ。「とっておき」「ここが急所」という意味まで含む。
記号「rf」が付与された音を大切にせよという意味である。必ずしも音を強くする必要はない。その点が「sf」との違いだ。特段に大切な音に付いている。「sf」と同じという解釈を鵜呑みにして機械的に「強く」していしまうと、音楽が台無しということも起こる。今まさに出そうとしている音が大切だということが判っているかどうかは、必ず違いとなって現れると思う。
かつて私は「瞬間型マルカート」という提案をした。本日の提案はその概念を含みつつ、より一般化したものだ。「p espresivo」の瞬間型という可能性さえ考えている。
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