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カテゴリー「093 バロック」の108件の記事

2022年8月11日 (木)

イ短調op3-6

我が家の次女も長女も弾いた。ヴィヴァルディの「調和の霊感」op3の6番目。イ短調ヴァイオリン協奏曲だ。この第一楽章が古来ヴァイオリン習得の通過儀礼になっている。娘らに教える中で、私も弾いた。娘らは二人とも小学生だったが軽々暗譜した。

改めて聞くとよい曲だ。

我が家には下記の通りCDがある。

  1. 1962 I musici/Roberto MIcherucci(3:22)
  2. 1987 I solisti Veneti/Piero Toso(2:58)
  3. 1983 I musici/Pina Carmirelli(3:15)
  4. 1988 I solisti Italiano/Giovanni Guglielmo(3:13)
  5. 1997 Europa Galante/Fabio Biondi(2:26)
  6. 2004 Berliner Philharmoniker/Nigel Kennedy(2:36)
  7. 2014 L'arte dell'arco/Federico Guglielmo(2:40)

楽しい。古来ずっと1番目を聴いてきた。娘らにもずっと聴かせていた。5番目のビオンディは、爽快だ。イムジチ版より1分短い。

 

 

2022年8月10日 (水)

3曲1組

ヴィヴァルディの「調和の霊感」op3の話をする。全12曲を行きがかり上3曲ずつ4セットととらえる。

<1セット>

  • 1番 ニ長調 4つのヴァイオリンとチェロ
  • 2番 ト短調 2つのヴァイオリンとチェロ
  • 3番 ト長調 1つのヴァイオリン

<2セット>

  • 4番 ホ短調 4つのヴァイオリン
  • 5番 イ長調 2つのヴァイオリン
  • 6番 イ短調 1つのヴァイオリン

<3セット>

  • 7番 ヘ長調 4つのヴァイオリンとチェロ
  • 8番 イ短調 2つのヴァイオリン
  • 9番 ニ長調 1つのヴァイオリン

<4セット>

  • 10番 ロ短調 4つのヴァイオリン
  • 11番 二短調 2つのヴァイオリンとチェロ
  • 12番 ホ長調 1つのヴァイオリン

気が付くこと。

  1. 各セットの先頭は、必ず4本のヴァイオリン。全部違う調。
  2. 同じく2番目は2本のヴァイオリン。全部違う調。
  3. 3番目はヴァイオリン一本。全部違う調。
  4. 同一セット内で同じ調性はない。
  5. 同一セット内には長短が必ず含まれる。
  6. 合計すると長短6曲ずつ。
  7. 4セットすべて独奏楽器の組み合わせが違う。

とても偶然とは思えない。

 

 

 

 

2022年8月 7日 (日)

ラフォリアの流行

イベリア半島起源の舞曲「フォリア」が17世紀のイタリアで大流行した痕跡が我が家所有のCDにどれほど残っているのか検証してみた。

  1. 1490 作者不詳の「Folia」
  2. 1520  Juan Di Enzina
  3. 1553 Diego Rodrigez
  4. 1553  Diego Ortiz
  5. 1557  Antonio de Cabezon
  6. 1650  Andrea Falconiero
  7. 1659  Maurizio Cazzati
  8. 1664  Berardo Storace
  9. 1669  Giovanni Antonio Pandorfi
  10. 1671  Francesco Corbetta
  11. 1685  Arcangero Correlli op2
  12. 1700  Arcangero Correlli  op5-12
  13. 1701  Marin Marais
  14. 1705  Antonio Vivaldi op1-12
  15. 1709  Antonio Martin Y Coll

「おお」ってなもんだ。ドイツの作曲家がいない。ヴィヴァルディより200年少々さかのぼるとはイタリアおそるべし。

 

 

2022年8月 6日 (土)

ラフォリア

「ラ」は冠詞だから実態は「フォリア」で「Folia」と綴る。イベリア半島起源の舞曲だ。メヌエットやサラバンドと同じ舞曲の名前なのだが、長い間に短調主体の低音部の定型までも含んで定義されるようになった。「ラフォリアバス」という。

イ短調を例にとると「A→E→A→G→C→G→C→E」だ。

「ラフォリア」と明記されていなくても、ベースラインの進行がこの流れであるなら、聞き手はラフォリアを想起する。ましてや、シャコンヌやパッサカリアの低音進行がラフォリアバスだった場合は実質ラフォリアということになる。短調のシャコンヌやパッサカリアはひとまず疑ってかかるほうがいい。

17世紀イタリアで大流行し、たくさんの作曲家が作品を残している中、コレルリのop5-12がとりわけ名高い。

 

 

2022年7月25日 (月)

まさに醍醐味

店頭で手に取ったのは、単なる偶然だった。ストラディヴァリウスというイタリアのレーベルが珍しくて何の気なしだった。内容はヴィヴァルディのオルガン協奏曲だった。収録曲目を見て血の気が引いた。イタリア語はわからぬものの「RV265」と「BWV976」という記載が確認できた。

 

ヴィヴァルディの「調和の霊感」から12番ホ長調op3-12RV265を、バッハがチェンバロ独奏に編曲したものがBWV976である。ヴィヴァルディのオルガン協奏曲を集めたCDの余白に収録されている以上、チェンバロ独奏用の作品がオルガンで演奏されている可能性が高いとにらんで購入。

 

帰宅して再生するとあたりだった。まさにBWV976のオルガン盤である。第二楽章ラルゴをオルガンで聴けた。

 

そりゃあもう絶句。「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」をシュプラーコラールBWV645で初めてオルガン曲として聴かされて以来の衝撃と申すべきか。いやはや敬虔。ヴィヴァルディにも編曲したバッハにも宗教的な意図なんざあったはずはないのだが、賛美歌風だ。これを教会で聴かされたら神様を信じてしまう。

2022年7月 6日 (水)

バロック世界の境界

バロック組曲に採用されている舞曲を概観してきた。その配置について考察を重ねてきたが、下記の通り知名度の割に話題にならない舞曲もある。

  1. クヤヴィアク
  2. サルタレロ
  3. ソウセツカー
  4. タランテラ
  5. チャルダッシュ
  6. ドゥムカ
  7. トレパック
  8. フリアント
  9. フリスカ
  10. ポルカ
  11. ボレロ
  12. マズルカ
  13. ラッサン
  14. レントラー
  15. ワルツ

ハンガリーやチェコなど東欧系は落選が多い感じがする。バルトークで名高いルーマニア舞曲も全滅だ。当選はポロネーズくらい。バロック舞曲に採用されるされないの基準はどんなものだったのだろうか19世紀になって、上記の舞曲はさまざまな形で知名度を上げたが、バロック時代にはまだ「知る人ぞ知る」状態だったと解したい。人の住むところ踊りがあり舞曲があることを思うとバロック舞曲に採用されるにはそれなりの理由があるはずだ。一方採用された側にも濃淡がある。

バッハは欧州各国の作品を吸収したとされているが、現代の国名で言うなら、イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、イギリスあたりがバロック世界の構成員だったと想像する。

 

 

 

 

 

 

 

 

2022年7月 3日 (日)

無意識の結晶

音楽作品は作曲家の創意の結晶である。これは疑えない。それが注文による作曲であったにしてもだ。もちろんその楽譜上に記載される楽語の選択も含めて、作曲家その人の意思の発露である。作品を世に問う手段としての楽譜出版の位置づけが重みを増せば増すほど、楽譜上に記される楽語の重要性もまた高まっていくことは確実だ。

さて、そうした作品がある程度たまってきたとして、作曲家はそれを手元において常に参照しただろうか。もっというならそこで用いられた楽語をカウント集計していただろうか。

おそらく答えは「No」だ。つまり作品自体はそこに書かれる楽語含めて意思の反映であるのに対し、作品群中の楽語の使用頻度までは意識されてはいるまい。250年後の極東日本の愛好家がまさか数えるとは思ってもいないはずだ。

だから楽語使用の頻度は、作曲家の無意識の反映だ。だからこそヴィヴァルディの「ALA」への固執は、個性の反映であると解し得る。

 

 

 

 

2022年6月29日 (水)

バッハのALA

ヴィヴァルディのコンチェルトに「Allegro」「Largo」「Allegro」という3楽章構成がやけに多いと書いた。じゃあバッハはどうなのかというのは自然な展開だ。そもそもバッハのコンチェルトはヴィヴァルディほど多くない。

BWV1055のチェンバロ協奏曲が、疑似ALAに相当するくらいしか見当たらない。楽章冒頭の発想記号なしというケースも大変多い。緩徐楽章に「Largo」系の用語が出るには出るが、「Allegro」にサンドされない。

 

 

 

 

2022年6月27日 (月)

Largo代替

ヴィヴァルディの協奏曲において第1楽章や第3楽章において優勢な「Allegro」の代替にどんな用語が使われているかを調べたばかりだ。ほぼ「Presto」だと推定できる。しからば第2楽章で「Largo」の代わりになっているのはどんな用語か調べた。それぞれの用語のプレーンばかりではなく含むケースも全部カウントした。

  1. Adagio      21曲
  2. Andante 16曲
  3. Cantabile 2曲
  4. Grave  10曲
  5. NO INDICATION  2曲

全部で51曲だ。ラルゴとその仲間たちで88曲あったから、ラルゴ主体は動じないが第1楽章や第3楽章における「Allegro」への固執っぷりに比べれば数段自由。ここで注目は「Andante」だ。ヴィヴァルディが「Andante」を遅い概念だと思っていた証拠だ。「急緩急」の中間楽章に据える以上遅い概念でなければならぬ。

ブラームスの器楽曲では数の上で「Adagio」と「Andante」が拮抗する。「Grave」や「Largo」は少数派である。

2022年6月25日 (土)

Allegroのディテイル

記事「疑似ALA」の中で、「Allegro」や「Largo」のヴァリエーションを話題にした。本日はこのうち「Allegro」について少し深める。

  1. Allegro assai
  2. Allegro ma non molto
  3. Allegro ma poco
  4. Allegro molto
  5. Allegro non molto

疑似ALAに抽出した「Allegro」の変化形は上記の5種類だ。つまりヴィヴァルディはこれらを使い分けている。上記1と4はアレグロを煽ると思われる。2.3.5はアレグロを抑制していると受け取れる。面白いことに煽り型の1と4はブラームスに実例がある一方、抑制形の2.3.5はブラームスに実例がなく、書籍「ブラームスの辞書」に収載されていない。

「Allegro molto」と「Allegro non molto」の違い「non」の有無をヴィヴァルディは意識しているということだ。「Allgro ma non molto」と「Allegro non molto」では「ma」一個の出し入れだ。

「ヴィヴァルディの辞書」が書けそうな気配が立ち込める。

 

 

 

 

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