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カテゴリー「094 ドイツバロック」の32件の記事

2020年11月11日 (水)

BWV1029トリオソナタ版

BWV1029は、ヴィオラダガンバのためのソナタト短調だ。オリジナルの編成以外にもチェロやヴィオラで演奏されることがある。

このほど興味深いCDを発見した。ヴァイオリンとガンバと通奏低音だ。平たくいうとガンバソナタのトリオソナタ版ということになる。ヴィオラやチェロにはたくさんのCDがあるけれど、これは貴重だ。Carla Marottaという女流ヴァイオリニストで、もちろんバロックヴァイオリンだ。通奏低音を受け持つのはチェンバロとファゴット。

何よりもブクステーフーデのトリオソナタとチェンバロ組曲の余白に収められているので、バッハの売り場ではなく、ブクステフーデの棚にあった。ブクステフーデのCDを探していて発見したということだ。有難み三割増しだ。

よい。本当に癒される。オリジナルのトリオソナタかというくらいなじむ。

ト長調BWV1027とニ長調BWV1028もききたい。

 

 

2020年10月27日 (火)

リーガとウニオン

1618年から1648年まで、主にドイツを舞台に繰り広げられたカトリックとプロテスタントの争いが三十年戦争だ。典型的な後世のネーミング。1618年にプラハで始まった時には、当事者たちも周囲も「三十年戦争が始まった」とは思っていない。1648年に終わってみて、思えば1618年に始まった戦争だと総括した結果「三十年戦争」と命名された。

東軍対西軍の図式ではない。プロテスタント側を「ウニオン」といいカトリック側を「リーガ」という。「リーガ」の正式名は「Katholische Liga」という。ドイツサッカー国内リーグは「Bundesliga」の「リーガ」だ。

さて、その三十年戦争が終結した時点で、ドイツ国内におけるカトリックとプロテスタントの勢力図がかたまった。日頃「ドイツの作曲家」とひとくくりにされている作曲家たちを、出生地をキーにカトリックとプロテスタントに分類してみた。

<ウニオン>プロテスタント同盟

  1. シャイデマン
  2. シュッツ
  3. ブクステフーデ
  4. エルレバッハ
  5. パッヘルベル
  6. テレマン
  7. バッハ
  8. ヘンデル
  9. シューマン
  10. メンデルスゾーン
  11. ブラームス

<リーガ>カトリック同盟

  1. シュメルツァー
  2. ビーバー
  3. ハイドン
  4. モーツアルト
  5. ベートーヴェン
  6. ウェーバー
  7. シューベルト
  8. ワーグナー
  9. ブルックナー
  10. リヒャルト・シュトラウス
  11. マーラー

出身地がカトリックの領域で、没地がプロテスタントの領域である場合、またはその逆のケースなど厳密さに欠けるがそこはお遊びだ。このメンバーでサッカーをしたらどちらが強そうかなど、話題には事欠かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年10月25日 (日)

働き口

バロック時代の音楽家の働き場所は、およそ2つに分類できる。毎度毎度のおおまかな話である。

  1. 王侯貴族に雇われる
  2. 教会で働く

このうち王侯貴族に雇われるについては、宮廷楽団の団員、宮廷付き作曲家、家庭教師などなど考えられる。どれほど小さくても宮廷は宮廷ということになるなら、中央集権で王様が1人よりも、各地に小国が分立している方が働き口は多くなるに決まっている。

ということはだ。

三十年戦争によって、神聖ローマ帝国を構成する小国に主権が認められたのは追い風だ。ドイツ中に小さいながらも宮廷があり、そこには音楽家にとっての就職口があったはずだ。楽団を抱えるほどの宮廷かどうかはともかく、作曲家や演奏家あるいは教師までも含む音楽家には、一定の需要が発生したはずである。

このことがドイツバロック音楽の発展にどう寄与したのか興味深い。

2020年10月24日 (土)

ウエストファリア条約

三十年戦争の講和条約、1648年10月24日に締結されたから、本日は372年メモリアルデーである。

三十年戦争は、ドイツの国土が荒廃したという意味では、第二次世界大戦と双璧をなす。1600年からおよそ150年間と定義されるバロック時代のうち、初期バロックと呼ばれる最初の50年間は三十年戦争と重なる。

神聖ローマ帝国の衰退が決定づけられたほか、19世紀にビスマルクが統一するまで続くドイツの小領邦体制が始まる。ドイツ内部のカトリックとプロテスタントの線引きもおよそ確定する。ナポレオンが踏みにじるまで欧州の秩序はこれにて固まることになる。

信仰が音楽に多大な影響を与えたことを考えると、作曲家の基盤がカトリックなのかプロテスタントなのかには一定の顧慮が必要になる。

2020年10月17日 (土)

さすが本場

「ボヘミアのバッハ」ことゼレンカの代表的な室内楽が「6つのソナタ」だ。

  1. ヘ長調
  2. ト短調
  3. 変ロ長調
  4. ト短調
  5. ヘ長調
  6. ハ短調

調性のバランスが考慮されていない感じがかえって新鮮だ。たった6曲なのに同じ調が2組もある。フラット系の調ばかり6曲が並ぶ。

1955年に初めて出版されて脚光を浴びた。バロック時代の代表的曲種「トリオソナタ」は「ソプラノ音域」の旋律楽器2つに、通奏低音と決まっている。通奏低音は、奏者が1名と決まっているわけではなくて、チェンバロを中心に、チェロ、コントラバス、ファゴット、ガンバ、テオルボなどから1つまたは2つ以上が参加する。旋律楽器は、おおむねヴァイオリン、オーボエ、フルート、リコーダーの中から適宜だ。起用楽器は演奏者の判断である。

それでもまあ、オーボエ奏者ハインツ・ホリガー版のCDがスタンダードな位置にあった。

このほどうれしい発見があった。チェコの団体「プロアルテアンティクアプラハ」の演奏だ。先般の記事「Pro arte antiqua praha」で、彼らの演奏するパッヘルベルの室内楽の素晴らしさに言及したがゼレンカもまた魅力的だ。パッヘルベルで聴かせてくれた水もしたたるばかりのヴァイオリンの音色が、また再現される。こりゃあまぐれではない。特筆すべきは彼らが採用する編成だ。ヴァイオリン2本と、チェロとチェンバロだ。

旋律楽器2本にヴァイオリン2本をあてがうとは。ホリガー版に慣れた耳にはとても新鮮だ。でも本当にヴァイオリンが美しいから、ほどなくオーボエのことなんか忘れてしまう。

2020年9月20日 (日)

続ヨハンだらけ

黙って以下のリストをご覧いただく。

  1. Johann Heinrich Schmelzer
  2. Johann Philipp Krieger
  3. Johann Jakob Walther
  4. Johann Pachelbel
  5. Johan Sebastian Bach
  6. Johan Georg Pisendel
  7. Johan Jakob Froeberger
  8. Johan Matheson
  9. Johan Hermann Schein
  10. Johan Schopp
  11. Johan Urlich Steigleder
  12. Johan Crueger
  13. Johan Vierdanck
  14. Johan Rosenmueller
  15. Johan Ksaper Kerll
  16. Johan Jakob Loewe
  17. Johan Christoph Pezel
  18. Johan Christoph Bach
  19. Johan Adam Reincken
  20. Johan Fischer
  21. Johan Theile
  22. Johan Michael Bach
  23. Johan Schelle
  24. Johan Philipp Krieger
  25. Johan Kasper Ferdenando Fischer
  26. Johan Kuhnau
  27. Johan Sigismund Kusser
  28. Johan Jakob Fux
  29. Johan Speth
  30. Johan Christoph Pepusch
  31. Johan Bernard Bach
  32. Johan Ludwig Bach
  33. Johan Christian Schieferdecker
  34. Johan Valentin Rathgeber
  35. Johan Christian Schickhardt
  36. Johan David Heinichen
  37. Johan Gottfried Walther
  38. Johan Friedrich Fasch
  39. Johan Tobias Krebs
  40. Johan Christoph Foerster
  41. Johan Samuel Endler
  42. Johan Melhoior Molter
  43. Johan Christian Hertel
  44. Johan Pfoeffer
  45. Johan Joachim Quanz
  46. Johan Adolf Hasse
  47. Johan Agrell
  48. Johan Gottrieb Graun
  49. Johan Adlf Scheibe
  50. Johan Ludwig Krebs

バロック作曲家をウィキペディアで検索し、「Johan」で始まる作曲家を一覧にした。ドイツ語圏作曲家で「ヨハン」のつく人が多いとわかる。バッハの息子たちの中にもいるが、バロックに該当しないから漏れている。この現象は特に作曲家に限ったことではないと知りつつ、思い余って記事にした。

2019年8月30日 (金)

風の変わり目

記事「本質への手順 」が、風の変わり目だった。

誰の言葉だったか、「ブラームスの中に過去500年のドイツ音楽が投影されている」という言葉がある。ブログ「ブラームスの辞書」を長く続けている身としては、知識としてその言葉を知っていたことは知っていた。ブラームスは19世紀末の欧州楽壇で、その作品に宿る個性により確たる地位を築きながら、同時に古楽譜の収集や、先輩作曲家の研究などそのキャラクターを通じてドイツ音楽500年の集大成と位置付けられた。

が、今思うと上辺だけだった。「過去500年のドイツ音楽」など、話が大きすぎて頬ばりきれていなかった。この度の「バロック特集」を開始した時点でさえ、特集の意図として「過去500年のドイツ音楽」を探査の対象としてはいなかった。その証拠に、ブラームスと直接関係のないバッハネタの発信を「脱線」「逸脱」と称し、言い訳を添えていた。「バロック特集」開幕に先立つ13年の間、そちらに踏み出そうともしなかった。今思うとはずかしい。

記事「本質への手順」ではそれら「脱線」「逸脱」こそが本質に迫るための適正な手順なのではないかと自問した。効果はてきめんだ。こちらがそう変わってみると、ブラームス作品の聞こえ方が一皮むけた。

ブラームスの視線はバッハより200年さかのぼった先までも見据えていた。それに気づかせてくれたのは、バッハだと断言できる。

2019年6月19日 (水)

偶然と必然と

2016年秋に時計を戻す。記事思い付きのスランプに見舞われ、備蓄が800を割り込むという非常事態からやっとの思いで脱したころ。2018年がバッハ生誕333年だということを切り口に元日からバロック特集を立ちあげると決めた。当時バッハ記事の備蓄はおよそ40本。この状態でバロックを年間企画にすると発起した。やがて、生誕340年のヴィヴァルディも視野に入れると決めた。そうでもしないと年間企画にならないからだ。その調子でドイツバロックにまで拡張を試みた。みるみる記事を稼ぎ、2018年では収まらなくなった。2019年8月までの会期延長を決定した。これが2017年末くらいだ。

2018年春に3度目のドイツ旅行を企画し、その報告記事がバロック特集と拮抗しないよう、訪問目的を、バッハ、テレマン、ブクステフーデ、パッヘルベルの墓参と定めた。真夏の旅行だから、演奏会全滅を覚悟での決定だったが、代わりに主要な教会でのオルガンコンサートに狙いを定めた。

結果、オルガン音楽に目覚めた。

必然と偶然がまじりあいこの先10年の音楽との接し方を決めることが出来た。ブラームスへの熱意そのままにである。

 

 

 

 

2019年4月19日 (金)

ト長調二重協奏曲

春秋社刊行の「バッハ キーワード辞典」の322ページ。第33章が「演奏者」と題されて立ち上がる。バッハ本人の演奏者としての切り口が、丁寧に掘り下げられる。この中の324ページから「共演」と銘打たれて「バッハと誰かさんの合奏」が取り上げれられる。325ページ中段から興味深い記述がある。

1709年ワイマールでの出来事だ。同地宮廷オルガニストだったバッハをピゼンデルが訪問した。ドイツ人最高のヴァイオリニストを迎えてバッハとアンサンブルを楽しんだとされている。演目が「テレマンの2つのヴァイオリンのための協奏曲ト長調」だと断言されている。

バッハとビゼンデルがソロを務めるテレマンの二重協奏曲とは相当なご利益だ。

さてとばかりにテレマンの作品目録をあたると途端に狼狽する。

  1. TWV52:G1
  2. TWV52:G2
  3. TWV52:G3

テレマンが残した2つのヴァイオリンのための協奏曲でト長調のものが上記の通り3つ存在するからだ。我が家にCDがあるのはこのうち上記3番目だけだ。どの曲か特定出来たら話が盛り上がるのにもったいない。24歳のバッハと21歳のピゼンデル、はたしてどちらが1番ヴァイオリンを担当したのか。

2019年3月27日 (水)

ドンキホーテのブルレスケ

「TWV55:G10」を背負うテレマンの組曲。「Burlesque de Quixotte」という。「ブルレスケ」は「おふざけ」「滑稽」くらいの意味。

  1. 序曲
  2. ドンキホーテの目覚め
  3. ドンキホーテの風車攻撃
  4. ドゥルシネア姫によせる愛の溜息
  5. かつがれたサンチョパンサ
  6. ロシナンテのギャロップ
  7. サンチョのロバのギャロップ
  8. 眠りにつくドンキホーテ

ドンキホーテの愉快な一日をトレースしているとも思われる。ガリヴァーやドンキホーテなど文学作品を題材に求めた描写音楽が巧みだ。

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