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カテゴリー「094 ドイツバロック」の26件の記事

2019年8月30日 (金)

風の変わり目

記事「本質への手順 」が、風の変わり目だった。

誰の言葉だったか、「ブラームスの中に過去500年のドイツ音楽が投影されている」という言葉がある。ブログ「ブラームスの辞書」を長く続けている身としては、知識としてその言葉を知っていたことは知っていた。ブラームスは19世紀末の欧州楽壇で、その作品に宿る個性により確たる地位を築きながら、同時に古楽譜の収集や、先輩作曲家の研究などそのキャラクターを通じてドイツ音楽500年の集大成と位置付けられた。

が、今思うと上辺だけだった。「過去500年のドイツ音楽」など、話が大きすぎて頬ばりきれていなかった。この度の「バロック特集」を開始した時点でさえ、特集の意図として「過去500年のドイツ音楽」を探査の対象としてはいなかった。その証拠に、ブラームスと直接関係のないバッハネタの発信を「脱線」「逸脱」と称し、言い訳を添えていた。「バロック特集」開幕に先立つ13年の間、そちらに踏み出そうともしなかった。今思うとはずかしい。

記事「本質への手順」ではそれら「脱線」「逸脱」こそが本質に迫るための適正な手順なのではないかと自問した。効果はてきめんだ。こちらがそう変わってみると、ブラームス作品の聞こえ方が一皮むけた。

ブラームスの視線はバッハより200年さかのぼった先までも見据えていた。それに気づかせてくれたのは、バッハだと断言できる。

2019年6月19日 (水)

偶然と必然と

2016年秋に時計を戻す。記事思い付きのスランプに見舞われ、備蓄が800を割り込むという非常事態からやっとの思いで脱したころ。2018年がバッハ生誕333年だということを切り口に元日からバロック特集を立ちあげると決めた。当時バッハ記事の備蓄はおよそ40本。この状態でバロックを年間企画にすると発起した。やがて、生誕340年のヴィヴァルディも視野に入れると決めた。そうでもしないと年間企画にならないからだ。その調子でドイツバロックにまで拡張を試みた。みるみる記事を稼ぎ、2018年では収まらなくなった。2019年8月までの会期延長を決定した。これが2017年末くらいだ。

2018年春に3度目のドイツ旅行を企画し、その報告記事がバロック特集と拮抗しないよう、訪問目的を、バッハ、テレマン、ブクステフーデ、パッヘルベルの墓参と定めた。真夏の旅行だから、演奏会全滅を覚悟での決定だったが、代わりに主要な教会でのオルガンコンサートに狙いを定めた。

結果、オルガン音楽に目覚めた。

必然と偶然がまじりあいこの先10年の音楽との接し方を決めることが出来た。ブラームスへの熱意そのままにである。

 

 

 

 

2019年4月19日 (金)

ト長調二重協奏曲

春秋社刊行の「バッハ キーワード辞典」の322ページ。第33章が「演奏者」と題されて立ち上がる。バッハ本人の演奏者としての切り口が、丁寧に掘り下げられる。この中の324ページから「共演」と銘打たれて「バッハと誰かさんの合奏」が取り上げれられる。325ページ中段から興味深い記述がある。

1709年ワイマールでの出来事だ。同地宮廷オルガニストだったバッハをピゼンデルが訪問した。ドイツ人最高のヴァイオリニストを迎えてバッハとアンサンブルを楽しんだとされている。演目が「テレマンの2つのヴァイオリンのための協奏曲ト長調」だと断言されている。

バッハとビゼンデルがソロを務めるテレマンの二重協奏曲とは相当なご利益だ。

さてとばかりにテレマンの作品目録をあたると途端に狼狽する。

  1. TWV52:G1
  2. TWV52:G2
  3. TWV52:G3

テレマンが残した2つのヴァイオリンのための協奏曲でト長調のものが上記の通り3つ存在するからだ。我が家にCDがあるのはこのうち上記3番目だけだ。どの曲か特定出来たら話が盛り上がるのにもったいない。24歳のバッハと21歳のピゼンデル、はたしてどちらが1番ヴァイオリンを担当したのか。

2019年3月27日 (水)

ドンキホーテのブルレスケ

「TWV55:G10」を背負うテレマンの組曲。「Burlesque de Quixotte」という。「ブルレスケ」は「おふざけ」「滑稽」くらいの意味。

  1. 序曲
  2. ドンキホーテの目覚め
  3. ドンキホーテの風車攻撃
  4. ドゥルシネア姫によせる愛の溜息
  5. かつがれたサンチョパンサ
  6. ロシナンテのギャロップ
  7. サンチョのロバのギャロップ
  8. 眠りにつくドンキホーテ

ドンキホーテの愉快な一日をトレースしているとも思われる。ガリヴァーやドンキホーテなど文学作品を題材に求めた描写音楽が巧みだ。

2019年3月22日 (金)

ハンブルク愛

弦楽合奏用の舞曲の集合体が「シンフォニア」と命名されることがテレマンの作品の中で見かける。本日話題の2曲もそのパターンだ。

一つ目は「ハンブルクの潮の満ち干」というタイトル。ハンブルクの海の描写だが、同地の海上保安隊の発足100周年記念の作曲という機会音楽でもある。

今一つが「アルスター」という題名。こちらはハンブルク郊外の湖の名前だ。

テレマンがハンブルクで活躍した作曲家であるから、とても自然だ。ブラームスがこれらを知らなかったとは考えにくい。ブラームスはハンブルクの名誉市民に選ばれたとき、当時のハンブルク市長に作品を献呈したことがあるけれど、ここまであからさまなハンブルク愛の発露はなかった。

何よりも洒落て気が利いた小曲の集まり。バッハと同時代を生きながらどうしてどうして曲想は対極にある。

 

 

2019年2月16日 (土)

Pro arte Antiqua Praha

パッヘルベルの室内楽全曲を収めたCDがある。

生前出版の室内楽すべてに加え、没後出版の3曲が収まっている。冒頭に来るのは没後出版ながら代表作のニ長調カノンだ。

4声のパルティー全6曲に、5声のパルティート長調が続く。

ほんっとに美しい。

1994年の録音。演奏しているのが、Pro arte Antiqua Prahaという団体。ヴァイオリン2、ヴィオラ2、チェロ1、チェンバロ1という編成だ。ニ長調カノンではヴィオラ奏者一人がヴァイオリンに回る。名前の通り、全員がチェコ人で、収録場所もプラハである。プラハはパッヘルベルの本拠地ニュルンベルクからアウトバーンで3時間程度直線距離で250kmくらい。

20170824_073457

2019年2月10日 (日)

カノンのC

断固カノンのツェーと読みたいところである。パッヘルベルのカノンの話である。あの名高いカノンはニ長調であるから、調号としてシャープが「F」と「C」に付与された結果、「Fis」と「Cis」を発することを厳に求められる。

ところが、押しつまった44小節目が3拍を数えるころ第一ヴァイオリンに16分音符の「C」が現れる。「ナチュラル」が与えられるということだ。

20170919_214545
連続する4つの16分音符のうちの2個目と4個目だ。それを皮切りに46小節目の1拍目にもあられる。やがてはお決まり通り第一ヴァイオリンを模倣するセカンド、サードにも伝播する。

そして49小節目の末尾には8分音符に出世を遂げる。

20170919_214604

音楽的に、いやいや和声学的にこの「C」がなんと位置付けられているかは知らんが、身をよじらんばかりのパワーを感じる。味付けの仕上げに一つまみ加えられるスパイスと申すか、極上のアロマホップを添加するかのようと申すか、ただただ言葉は不完全だ。

遠い昔、大学オケのヴィオラアンサンブルのためにパート譜を写譜したとき、ナチュラルを書き込む指が震えた。

2018年10月11日 (木)

シュッツ

ハインリヒシュッツは1585年10月18日、バッハのちょうど100年前に黒ビールで名高いケストリッツで生まれた。シャイト、シャインらとともにドイツ初期バロックの「3S」と称えられる存在だ。1621年にドレスデンの宮廷楽長となり同地で1672年に没した。作品は声楽曲中心で器楽曲や室内楽は見かけないが、声楽曲は現代合唱団の主要なレパートリーになっている。

ブラームスはバッハにも劣らず尊敬していた。合唱曲とりわけドイツレクイエムの着想に影響を与えたと目される。

バートケストリッツ訪問の目的地の一つがシュッツハウスだ。醸造所からわずか150m。迷う余地のない道のり。

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楽器や楽譜中心の丁寧な展示だ。

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彼の父親は同地で宿屋を経営していた。黒ビールのケストリッツァー社の操業はシュッツの生まれる42年前である。父親の取引先だった可能性もある。

ビールとバロックが混在する街。

2018年8月24日 (金)

旅のテーマ

20180411_074932

過去2回のドイツ旅行では鉄道の利用は下記の通り限定的だった。

  1. 前々回 ニュルンベルクとレーゲンスブルク往復
  2. 前回 ニュルンベルクとミュンヘンの往復

前回のハイライトだったプラハには鉄道を用いず、ニュルンベルクからバスを使った。だから今回は3度目の正直で鉄道にこだわった。かといって目的もなくただ鉄道に乗るだけでは芸がないので、「音楽」と「ビール」を切り口にした。そのことを端的に現すのがこの画像だ。

2018年7月22日 (日)

虫のCD

なぜ虫のCDというのかは、以下の画像で明らか。

20180429_181644

木村理恵さんのドイツバロックのヴァイオリンソナタ集だ。時代的にバッハに先行する人々の作品が集められている。

ワルターやクリーガー、エルレバッハ、ブクステフーデなど濃いメンツだ。

とても気にいっている。

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