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カテゴリー「094 ドイツバロック」の41件の記事

2021年2月16日 (火)

ノーインジケーション

「No Indication」だ。バッハやヴィヴァルディに限らずバロック時代の作品を収めたCDのブックレットを眺めているとよく見かける。楽章ごとにトラックがあてがわれている中、楽章冒頭にテンポを指定する用語が配置されていないことがあるからだ。

ブラームスにおいては楽章冒頭に「Allegro」「Andante」など楽語が配置されるのが普通だ。むしろ必須でさえある。ベートーヴェンやモーツアルトにしても同様だ。

ところが、バロックになるとかなりな数の「無表示」が存在する。無表示とまでいかなくても、表示がテンポや表情の指定になっていないケースもある。「Allmande」「Corente」「Sarabando」など、舞曲名称だけでテンポ指定がない場合もある。各々の舞曲には慣習に由来する標準的なテンポがあり、その慣習から逸脱する場合に限って、テンポ用語が付与されるのかとも推測するが不可解。

思い当たることと言えば、バロック時代には作曲と演奏が未分化だったことだ。作曲家自身が演奏する場合、テンポ表示など書かなくてもわかるのだ。けれどもこの解釈は「それなら全部書かなければいい」という指摘に反論できない。

譜面をよくみれば非常識なテンポになるはずがないという類の確信の存在、いわば「音楽的な常識」が透けて見える。「コンチェルト」の体裁が「急緩急」の3楽章形式として確立して以降、テンポ表示はますます不要になった感がある。直感で申し訳ないが、コンチェルトの第一楽章に「無表示」が多い気がしている。

ブログ「ブラームスの辞書」としては無表示は困る。作曲家の意思表示としての音楽用語を分析することこそが、「ブラームスの辞書」という発想の根源だからだ。無表示はお手上げとも映るが、無表示の出現状況を作曲家別、曲種別に集計すると何かわかるかもしれないとは思うが未着手である。

 

 

2021年1月25日 (月)

蘭学事始

オランダと言えば、サッカーくらいしか思い浮かばぬ脳みそだった。ブラームスが自作の演奏にと訪れたことがあるにはあるが、どう眺めてもメジャーな位置づけにはない。

ところが、ところが、バロック特集がマメにオルガン音楽に言及するせいもあって、オルガンが脳内シェアを増している。北ドイツのオルガン事情を調べ、代表的オルガニストや作曲家をたどっていくと、最後はオランダに引き寄せられる。いわゆるバロックオルガンの保存っぷりで言うならオランダは群を抜く。第二次大戦で連合国側に回ったために、都市部への爆撃を免れたことも多分に影響しているだろう。手許のいくつかのCDはオランダに現存する歴史的オルガンの演奏が収録されている。それらのブックレットを読む際にはオランダ語の知識が要る。オランダ語独特な「a」が連続するスペリングや、「j」の用法などだ。慣れぬうちは面食らう。「kerk」がオランダ語で「教会」の意味だと分かった時は、一瞬で靄が晴れた感じがした。

オランダ語も少しはかじってみようと思う。

 

 

2021年1月 8日 (金)

今のお気持ち

かるた特集にバッハを取り上げたところで、一連のバロック特集が一段落した。終わりという訳ではないが一区切りだ。

「今のお気持ちは?」と誰も訊いてくれそうもないので自分から切り出す。

中学高校と6年のめり込んだベートーヴェンは、大学2年の夏に台頭したブラームスに代わられてから、脳内マインドシェアを極端に落とした。同時にワーグナーやリスト、ブルックナーなどにも共感しにくい脳味噌になった。

今回は違う。バッハを筆頭とするバロック、とりわけドイツバロックの諸家についての情報に浸されようともブラームスの位置づけは微動だにしない。逆に、そうしたドイツ音楽の歴史に深く触れた後、ブラームスへの愛情が深まったと断言する。

バッハだけを聴いてバロックを知った気になっていたことが白日の下にさらされたようで恥ずかしい。

つまりは一歩ブラームスに寄り添えたということだ。

2021年1月 5日 (火)

クリスマスマニア

バロック特集のおかげで、すっかりクリスマスに関する認識が変わった。

こてこての日本人である私は、クリスマスは12月25日できっちり終わって、およそ一週間後には、初詣も解禁される。かと思うと、ほどなく、ヴァレンタインの喧騒に巻き込まれるという希薄な宗教意識の中に生きてきた。バロック特集の仕込みに着手した時点でさえ、大差なかった。

ところが、バッハを筆頭にドイツバロックに深く触れるうちに、やがてルターに興味が広がり始めた。信仰の対象としてではなく、知的興味の対象として「宗教改革」に親しんだ。

クリスマスプレゼントをもらう立場ではなくなって以来、興味が薄れてきていたクリスマスが、みるみる脳内シェアを上げた。ドイツバロックの作曲家たち、とりわけ教会オルガニストたちは、クリスマスを題材にさまざまな作品を残している。教会歴上のイベント毎にふさわいい音楽が規定されてきた。クリスマスはその代表格だ。

 

 

 

 

2020年12月24日 (木)

ドイツバロック聖なる音楽

またとない企画CD集だ。クリスマス音楽でたどるドイツバロックの150年という触れ込み。7枚組とはいえ6000円とは、微妙だが踏みとどまれずに購入。

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プレトリウス、シュッツ、ブクステフーデ、トゥンダー、ヴェックマン、シャイデ、ヘルマンシャイン、シャイト、ハッマーシュミット、パッヘルベル、ゼレ、そしてバッハ。彼らが入れ替わり立ち代わり現れてはクリスマスの物語を奏でる。全部再生すると7時間を超える。

時間のあるときに少しずつゆっくりと。

 

 

 

2020年12月15日 (火)

バロックのクリスマス

2014年発売のRIAS KAMMERCHOR演奏による「Stille Nacht...」とタイトルされたCD。音源は1972年から1986年にかけてなのだがリマスタリングされたのが2014年だという。アカペラ基本ながら、ときどきコントラバスが加わるという渋い編成だ。テキストはドイツ語かラテン語。

構成は以下の5部分からなる。

  1. ルネサンスから前期バロックまで13曲
  2. ロマン派 3曲
  3. 各国の民謡から20世紀の作曲家による編曲 8曲
  4. 20世紀の作曲家による作品 9曲
  5. きよしこの夜

いやはや興味深い。まずは落ち着いて順序だてて説明する。一部を構成する作曲家は下記の通り。

  1. Adrian Willaert 1490-1562
  2. Thomas Stoltzer 1475-1526
  3. Ludwig Senfl 1490-1543
  4. Michael Praetorius 1571-1621
  5. Leonhardt Schroeter 1532-1601
  6. Sethus Calvisius 1556-1615
  7. Johann Crueger 1598-1662
  8. Johannes Ecard 1553-1611

バッハやヘンデルに先行するドイツの作曲家たち。ブラームスの目尻が下がるメンツだ。

第2部ロマン派の部にハインリヒヘルツォーゲンベルクがいた。ライプチヒバッハ協会の設立発起人の一人なのだが、作品にについてブラームスはダメ出しの連発で、なかなかCDにありつけなかったがこんなところでとうとう発見だ。

とりわけ楽しい3部。フランス、オランダ、ポーランド、スウエーデン、ユーゴスラヴィア、スペイン、スイスの民謡を1937年に編曲したもの。

20世紀の作品が9曲続いた最後に大定番の「きよしこの夜」がおかれているのだが、編曲者を見て驚いた。オイゼビウス・マンディチェフスキーだ。ブラームスの弟子。ウィーン楽友協会の司書を務めた音楽家で作曲家でもあった。

ヘルツォーゲンベルクとマンディチェフスキー、ブラームスのお友達が2人も紛れ込んでいた。

 

 

 

 

2020年12月14日 (月)

プレトリウスのクリスマス

プレトリウスのクリスマスミサ。バッハより114歳年長の作曲家。立派な構成の堂々たるミサ。教会で行われるクリスマスのミサがそのままという感じ。

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最後に「In dolci jubilo」の大合唱が現れる。感動的だ、

2020年12月13日 (日)

シュッツのクリスマス

まずは画像から。

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シュッツのクリスマス物語。キリストの生誕を歌で辿るものだ。福音史家、天使、東方の博士、羊飼い、ヨゼフなどおなじみのメンバーが入れ替わり立ち代わりでにぎやかだ。

さて余白のプレトリウスが興味深い。4曲のうち先頭に「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」がある。たまらん。

 

2020年12月 3日 (木)

ブクステフーデのSleeper's Awake

バッハのカンタータ「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」BWV140の初演日が、とても珍しい三位一体節第27の主日だった周辺を調べて興味深いCDを入手した。

ドイツ語原文で「Wachet auf,ruft uns die Stimme」というカンタータをブクステフーデも作っていた。「BUXWV100」と「BUXWV101」の2作だ。後者には偽作説も取り沙汰されている。

バッハのBWV140は、下記の7曲からなりたつ。

  1. Coro Wachet auf,ruft uns die Stimme
  2. Recitativo
  3. Aria
  4. Choral  Zion hort
  5. Recitativo
  6. Aria
  7. Choral  Gloria sey dir gesungen
これに対してブクステフーデの2作は、どちらも下記の構成だ。
  1. Coro Wachet auf,ruft uns die Stimme
  2. Choral  Zion hort
  3. Choral  Gloria sey dir gesungen

バッハの構成からレチタティーヴォとアリアを除いた形だ。

ブクステフーデがリューベックのマリア教会のオルガニストだった時代に演奏されたものと思われる。1668年から1707年の在任中、復活祭が3月26日以前だった年は、4回だけだ。1674年、1690年、1693年、1704年である。このうちのいずれかまたはすべてで演奏されていた可能性が高い。

 

 

 

 

2020年11月11日 (水)

BWV1029トリオソナタ版

BWV1029は、ヴィオラダガンバのためのソナタト短調だ。オリジナルの編成以外にもチェロやヴィオラで演奏されることがある。

このほど興味深いCDを発見した。ヴァイオリンとガンバと通奏低音だ。平たくいうとガンバソナタのトリオソナタ版ということになる。ヴィオラやチェロにはたくさんのCDがあるけれど、これは貴重だ。Carla Marottaという女流ヴァイオリニストで、もちろんバロックヴァイオリンだ。通奏低音を受け持つのはチェンバロとファゴット。

何よりもブクステーフーデのトリオソナタとチェンバロ組曲の余白に収められているので、バッハの売り場ではなく、ブクステフーデの棚にあった。ブクステフーデのCDを探していて発見したということだ。有難み三割増しだ。

よい。本当に癒される。オリジナルのトリオソナタかというくらいなじむ。

ト長調BWV1027とニ長調BWV1028もききたい。

 

 

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