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カテゴリー「119 テキスト」の43件の記事

2014年12月24日 (水)

コーヒー見つけた

ブラームスの声楽作品のテキストに「コーヒー」が出てくる。おそらく一箇所だ。「49のドイツ民謡集」WoO33の27番。以前に「雪山讃歌」と似ていると指摘した作品。

一人の乙女が3人の男から意中の人を選ぶ筋書き。一人目は左官、二人目は大工、結局三人目の軽騎兵を選ぶ。軽騎兵は当時としては、あこがれの職業。最後に乙女が軽騎兵を選ぶのは、ベタな展開だが致し方あるまい。その男が毎日早起きしてコーヒーを飲むと歌われる。

バッハの名高い「コーヒーカンタータ」ほどの重要な位置付けではなくて単なる小道具だが、正規の歌曲には出現しないので貴重。

2012年3月20日 (火)

クォドリベート再考

バッハの「ゴールドベルク変奏曲」の第30変奏が気に入っていると何度も書いてきた。さまざまな旋律が同時に鳴らされるという特異な形式が、「Quodlibet」(クォドリベート)と呼ばれている。「みんなで一緒に」程度の意味だ。

昨今ずぶずぶとはまっている学生歌だが、そのキッカケともいえる「ガウデアムス」のテキストを調べていて驚いた。4番の歌詞だ。

Viva academia,vivant professors 大学万歳、先生万歳

Viva academia,vivant professors  大学万歳、先生万歳

vivat membrum quodlibet,vivant membra quaelibet 同胞万歳、すべての同胞万歳

semper sint in flore 永久に栄えあれ

semper sint in flore 永久に栄えあれ

3行目に「quodlibet」が出てくる。和訳と無理にこじつけると「全ての」くらいの意味に落ち着けそうだ。あるいはその前行と前々行の大学や先生をも含めた「全て」の意味かもしれない。

出てくる単語が「そういえばわかるような気がする」というスペリングなのが笑える。特に4、5行の「sempr」は、音楽用語の「sempre」と関係があるに違いない。

2012年3月18日 (日)

tenerae amabiles

大学祝典序曲のラストを飾る学生歌「Gaudeamus」はラテン語の歌詞を持っている。大抵は4コーラスだ。各々のコーラスの意味は下記の通り。

  1. 青春時代を楽しめ
  2. 大学に栄光あれ
  3. 乙女たちよ健やかなれ
  4. 祖国よ永遠なれ

その3番目は婦人礼賛のテキストだ。「乙女たちよたおやかで愛らしくあれ」と歌われるその場所こそが本日のタイトル「tenerae,amabiles」だ。ブラームス愛好家は「ハハーン」となる。「tenerae」は「teneramente」、「amabiles」はもっとストレートに「amabile」を思い浮かべるに決まっている。インテルメッツォop118-2冒頭に鎮座する「Andante teneramente」は至高の指定で一般に「優しく」と解される。ヴィオラソナタ第2番の冒頭とイ長調ヴァイオリンソナタに「Amabile」があって「愛らしく」と訳される。

音楽用語はイタリア語だから中にはラテン語の語彙がストレートに反映していることがあっても不思議は無い。語源学的には興味深いが、ブラームスが楽譜上に「teneramente」や「Amabile」と記すときに、こうした語源的由来を考慮したかどうかは不明。慎重な取り扱いが必要だ。

2012年3月17日 (土)

ラテン語

ローマ帝国の公用語だ。その後も教会や学問の世界で使われ続けたが、公用語として使われることは無くなった。19世紀まで欧州では初等中等教育の中にラテン語の授業があったという。

クラシック音楽の世界ではしばしば遭遇する。ミサ曲のテキストはラテン語であることが多い。ブラームスにもけして多くはないがラテン語歌詞を持つ作品もある。

昨今のめり込んでいる学生歌にも、ラテン語の歌詞が見られる。代表格「ガウデアムス」の他にも「エルゴ・ビバムス」などが名高い。ドイツ語の歌詞の中にラテン語やイタリア語が混入するチャンポンも見られる。一般人にはなじみの薄いラテン語の歌詞で歌うことが一体感の醸成に役立っていたのかもしれない。

学生歌の歌詞以外にも、学士会関連の語彙にはラテン語起源のものが目立つ。たとえば「Corona」だ。「日輪」の意味がある他、音楽用語として「フェルマータ」の意味が派生しているけれど、学士会用語としては「ご一同」の意味だ。酒宴への参列者一同を表している。「Hoch Corona」と言えば「一同起立」あるいは「乾杯」の意味だという。見事なチャンポンだ。

学生歌には独唱と合唱で交互に歌う曲がある。それらの楽譜や歌集の中、合唱で歌う部分に「Corona」と書かれていることがある。器楽で言う「Tutti」みたいなものだろうが、実に収まりが良い。

2012年3月14日 (水)

美しい整合性

昨年9月16日の記事「未刊の民謡たち」を思い出して欲しい。マッコークルに記載された民謡の手書き譜は、ほとんどが刊行されていない作品のものだった。それでも何とか手掛かりがないかと考え我が家所有の民謡のCDの中に収録されてはいないかマッチングしてみると4曲がヒットした。あの日はそれをじっと喜ぶだけで終わっていた。列挙した4曲の中の1番目に「Alles schweige! Jeder neige」があった。

これは歌い出しの部分だ。この作品のタイトルを見て驚いた。最近滅多に驚かない癖がついているのだが、これには参った。

「Der Landesvater」だった。「国の親」と訳される学生歌だ。大学祝典序曲に引用されている学生歌の一つだ。手書きされた時期は1870年代の終わり頃らしい。大学祝典序曲の作曲時期と近い。民謡としては、未刊行なのも道理である。大学祝典序曲のための準備の一環だったと考えたい。

ブラームスにまつわる調べ物をしていて、この種の思いがけない整合性に出会うのは快感だ。

2012年2月18日 (土)

何千回も挨拶を

昨日の記事「物はついで」で述べたように、「シューマン合唱曲全集」のテキストの歌い出しをチェックしていて思わぬお宝を発見。1月28日の記事「シューマンの学生歌」で取り上げたシューマン作曲の学生歌のうちの一つ「So sei grusst vieltausendmal」を発見した。CDのジャケットや説明書では「Fruhlingsgruss」とされたいたから気付かなかった。アカペラの混声四部合唱の格調高い作品だ。

「シャウエンブルク学生歌集」にも収録されている由緒正しい学生歌だ。

ロベルト・シューマンはライプチヒにおいて学士会のメンバーだった。曲の成立はおそらく1840年代後半だが、学生歌のノリは熟知していたと解される。

2012年2月17日 (金)

物はついで

あまり突き詰めるともはや「ブラームスの辞書」ではなくなってしまうから、どこかで歯止めはかけねばならないが、どうにも止まらぬ性格だ。

「シューマン合唱曲全集」に「野ばら」があったり、ブラームスの「死に神」WoO34-13と同じテキストの作品があったりと退屈しない。既に作成済みの「ミンダス」を頼りに、「シューマン合唱曲全集」の中の作品をマッチングしてみた。シューマンが自らの合唱曲の中に、ドイツ民謡のテキストをどれほど取り入れているかが判る。

  1. Es ist ein Schnitter 先の「死に神」だ。
  2. Es war ein Konig
  3. Es wollt ein Madchen fruh aufsthen
  4. Im schatten des Waldes,im Buchcen gezweig 「流浪の民」だった。
  5. Sah ein Knabe ein Roslein stehn 「野ばら」だった。

全91曲中で5曲は少ない感じだ。「流浪の民」が一部の民謡系CDで民謡扱いなのが効いている。

メンデルスゾーンやシューベルトあたりで調べると面白そうだ。

2012年2月14日 (火)

鹿狩

中世ドイツにおける狩は、いやいや19世紀においてさえしばしば貴族のたしなみだったという。彼らが狙う獲物の代表が鹿だ。ドイツ語で「Hirsch」(ヒルシュ)という。多くの場合、鹿は「Schwarzbraun」と形容されている。「黒褐色の鹿」だ。男性名詞である点にさえ目を瞑れば「つぶらな瞳」「黒褐色の毛」「か細い足」を持つ鹿は、しばしば若い女性を象徴することとなる。一方貪欲にどこまでも鹿を追い詰める狩人は、つまり男性を象徴するのだ。

ブラームスの「少女はばら色の唇」WoO33-25は、恋人を象徴する5つの色がまばゆい民謡だが、そこで「Scwarzbraues Magdelein」は、黒褐色の(髪を持つ)女と表現されていて、鹿を形容する言い回しと一致する。

一方「おいらは鹿を討つ」(Ich schiess den Hirsch)というドイツ民謡では勇壮な1,2番の歌詞が3番では、瞬時に恋の胸のうちを明かす歌詞に転ずる。

「Schwarzbraun」と形容されるものがもう一つある。「Bier」だ。まさに「Das schwarzebraunen Bier」というタイトルの学生歌がある。「Schwarzbraun」という切り口で「鹿」「女」「ビール」という具合に容易に連想が発展する。そのせいでもなかろうが、狩をテーマとする民謡の多くが、学生歌に転用されている。私にも覚えがある。学業そっちのけで音楽に打ち込んでいたというのは表向きで、実は女性との語らいやコンパが楽しみでもあった。現代日本ではキャンパスの鹿狩どころか、狩人が草食化してしまっているらしい。

しかし本日に限って黒褐色といえばチョコレートがふさわしい。

2012年2月13日 (月)

びっくりの続き

もはやブリリアントには驚かされるまいと心に決めているが、相変わらず小出しにされている。先般買い求めた「シューマン合唱曲全集」4枚組の3枚目に軽いサプライズだ。

「Romanzen und Baladen fur Chor Heft Ⅱ」op75の1曲目に「Schnitter Tod」があった。これは昨日の記事「死神」で言及した作品だ。ブラームスのWoO34-13が学生歌に採用されていると驚いた。その同じテキストにシューマンが曲を付けていたということだ。

同テキスト異曲にはもはや驚いてもいられない。

2012年2月 6日 (月)

狐の騎行

「Fuchsritt」の訳語。「騎行」といえば「ワルキューレ」を思い浮かべる人も多かろうが、こちらは学士会用語だ。新入生つまり「Fuchs」(きつね)が馬に乗るということだ。大学入学を志すものは、大学のある街まで馬車でやってくる。わが国の受験テーマとして名高い「Das Fuchslied」の1番の歌詞は「向こうの山から何が来る」という問いかけで始まる。向こうの山から来るのが「狐」だという流れになっている。

Brandungという酒宴がある。準会員として2学期を経過した「Fuchs」たちが召集される。上半身裸になり、背もたれを前にして椅子に跨り、けたたましい音を立てて会場内を行進する。これがすなわち「狐の騎行」だ。このとき全員で唱和する歌こそが「Das Fuchslied」(新入生の歌)である。

この後逆さづりにされたり、顔に墨を塗られたりと、さんざんな目に遭う。そしてこの酒宴により準会員は晴れて正会員になるのだ。

「大学祝典序曲」op80の157小節目「Animato」において、まさにこの「Das Fuchslied」が引用される。

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