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    2012年3月28日から4月4日まで、次女の高校オケのドイツ公演を長男と追いかけた珍道中の記録。厳選写真で振り返る。

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    自分で買い求めて賞味したビールの写真。ドイツとオーストリアの製品だけを厳選して掲載する。

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カテゴリー「123 語彙」の75件の記事

2022年7月 3日 (日)

無意識の結晶

音楽作品は作曲家の創意の結晶である。これは疑えない。それが注文による作曲であったにしてもだ。もちろんその楽譜上に記載される楽語の選択も含めて、作曲家その人の意思の発露である。作品を世に問う手段としての楽譜出版の位置づけが重みを増せば増すほど、楽譜上に記される楽語の重要性もまた高まっていくことは確実だ。

さて、そうした作品がある程度たまってきたとして、作曲家はそれを手元において常に参照しただろうか。もっというならそこで用いられた楽語をカウント集計していただろうか。

おそらく答えは「No」だ。つまり作品自体はそこに書かれる楽語含めて意思の反映であるのに対し、作品群中の楽語の使用頻度までは意識されてはいるまい。250年後の極東日本の愛好家がまさか数えるとは思ってもいないはずだ。

だから楽語使用の頻度は、作曲家の無意識の反映だ。だからこそヴィヴァルディの「ALA」への固執は、個性の反映であると解し得る。

 

 

 

 

2022年6月28日 (火)

ヴィヴァルディの辞書の可能性

楽譜収集の難易度で言うなら、バッハもヴィヴァルディも大差ない。ブラームスに比べると入手困難だし、その数も多い。CDのブックレット頼りになんとかというレベルだ。

我が家のヴィヴァルディは器楽、コンチェルトやソナタに偏ったコレクションだが、数が多いのでデータベースとしては役立つ。バッハのヴァイオリン協奏曲は片手で足りる数だし、チェンバロ協奏曲まで入れたとしても両手両足の範囲内だ。イムジチのボックス1個で150もの協奏曲がそろうヴィヴァルディは大変ありがたい。

ヴィヴァルディの器楽作品のCDがコンプリートできたら、下記のような弱点はあるにせよ、そのブックレットを分析するだけでかなりな情報が得られるはずだ。

  1. 曲全体の調はわかるが楽章毎の調は不記載のこともある。
  2. 楽章ごとの拍子はほぼ書いていない。
  3. 楽章冒頭のテンポはわかるがダイナミクスは絶望。
  4. 楽章途中のテンポ変更は完全に網羅されない。

テンポ表示に現れる楽語の分析はできるものの、調性や拍子、ダイナミクスとの相関をあきらめればそこそこ楽しめる。

 

 

 

 

 

 

2016年10月 9日 (日)

語彙の確認

作曲家たちは自作の楽譜上にイタリア語起源の音楽用語を書くとき、ネイティブのイタリア人にその単語のイタリア語本来の意味や用法を確認しているのだろうか。ほとんどこれは愚かな質問だ。そんなことはしていないだろう。

おそらくブラームスは、その初期の段階から音楽用語として定着したイタリア語をドイツ人教師から教えられたはずだ。イタリア語本来の意味や用法に言及されることなく、既にドイツで音楽用語として定着済みの意味を言い含められたハズだ。

ブラームス作品の楽譜上にはイタリア語然とした音楽用語が満ちあふれているが、イタリア語辞典で元の意味を調べることに過剰な期待をしない方がいい。鵜呑み厳禁の参考情報程度に捉えるべきだ。ブラームスのイタリア語力にはあまり期待してはいけない。イタリア語として正しい言い回しかどうかには無頓着だった可能性が高い。イタリア語本来の用法とのズレは、楽譜上での分布や用法の分析を通して推定するしかない。

「ブラームスの辞書」はそうしたズレの推定をする助けになりたいと思っている。

2016年9月18日 (日)

オルトラーナ

「Ortorana」と綴るイタリア語で「菜園風の」という意味。さすがにこれは音楽用語にはなっていない。「Allegro ortorana」などという発想記号があったら楽しいとは思う。ローマ時代の貴族は自宅に菜園があり、そこで取れた野菜を食していた。サラダの起原を調べると出てくる話だ。

イタリアレストランのメニューで「Pizza Ortorana」とあれば「菜園風ピザ」を意味し、野菜が載ったピザが供される。つまり「Pizza con verdura」の気取った言い回しということだ。この「con」は音楽用語でもおなじみだ。

「Allegro con brio」や「Andate con moto」などに見られる。

2015年4月25日 (土)

3つの口

「お袋」「胃袋」「堪忍袋」をもって「3つの袋」と称し、結婚披露宴のスピーチに盛り込まれることが多い。今や有名になり過ぎたが面白い。本日のタイトル「3つの口」はこれに類する話である。

「3つの口」とは私のブログ運営の心得である。

1つ目は「切り口」だ。ブラームスネタに限るという大前提は譲れぬとして、ブラームスに関する話題の着眼が新鮮であれと常に自分に言い聞かせている。この着眼がつまり「切り口」である。作品解説やお奨めCDなどの切り口では、独自性を発揮しにくいと考えている。

2つ目は「語り口」だ。新鮮な切り口で取り上げた話題も、ふさわしい言い回しを得て初めて説得力を持つと考える。個々の記事の中の構成はもちろんのこと、前後の記事との連携もここに加えて良い。

最後3つ目は「減らず口」。ことブラームスに関しては「一言多い」くらいがちょうど良い。2033年5月7日までの継続を考えた場合、どんな些細なネタにでも飛びつかざるを得ない。普通なら1本の記事でおさまるネタでも、何とか膨らませて数本の記事にするためには、「沈黙は金」などとカッコをつけている場合ではない。

「切り口」「語り口」「減らず口」の口3つ。

スペシャルコンサートまであと14日。

2013年6月 3日 (月)

トロッポ考

サッカーの結果を報じる欧州の地元紙の見出しは、センスがあって面白い。「言い得て妙」な見出しに頻繁に出会う。本日はそうした話の一つ。

バイエルンミュンヘンの優勝で幕を閉じた12-13欧州チャンピオンズリーグ。ベスト32でバルセロナとACミランが準々決勝進出をかけて対戦した。ファーストレグ、ミランは劣勢の予想を裏切ってホームで2-0の勝利。ひょっとすると大金星かもと、胸をときめかせての臨んだセカンドレグだがカンプノウで0-4と完敗し、合計スコアで逆転されて敗退した。殊勲者はメッシ。神業的な先制ゴールを含む大活躍だった。

翌日イタリアの新聞コリエレデッロスポルトの見出しは「Troppo Messi」となっていた。愛読するサッカー雑誌では「あまりにもメッシ」と和訳されていた。「Troppo」を「あまりにも」と訳している。いやはや名訳である。

ブラームス作品の楽譜上に現れるときは大抵「non troppo」としての登場だ。語幹に据えられる単語の意味が極端に受け取られないような効果がある。「troppo」単独なら「余剰」「過剰」となるが、これが「non」で打ち消されているという構造だ。

関心していたら準々決勝でもまた同じ用法が見られた。バイエルン対ユヴェントスの対戦。こちらは大方の予想通り2戦とも2-0でバイエルンの完勝。その2戦目の翌朝の新聞ガゼッタデロスポルトの見出しが「Troppo Bayern」となっていた。「あまりにもバイエルン」ではなくて「バイエルンは強過ぎた」という訳だった。

両方とも自国クラブの敗退を報ずるイタリア紙だ。イタリア語とりわけ新聞一面の見出しにおいてはポピュラーな表現なのだと思う。

バイエルン・ミュンヘン、3冠。

2012年9月18日 (火)

「tranquillo」異聞

欧州各国のサッカーリーグが開幕するこの時期、長男は決まって選手名鑑を買い求めて、隅々まで熱心に目を通す。不意に私に質問をしてきた。「スイス人なのに名前がイタリアっぽい選手がいるけど?」という内容。

「スイスは、ロマンシュ語、ドイツ語、フランス語、イタリア語が公用語になっているから、イタリアっぽい名前の人がいても不思議じゃない」と答えて一件落着だったのだが、たとえばどんな名前と聞いた私に指し示した名前を見て、今度は私がぎょっとした。

<トランキッロ・バルネッタ>Tranquillo Barnetta

  • チーム名 ドイツブンデスリーガのシャルケ
  • スイス代表 ディフェンダー
  • 背番号27

カタカナで「トランキッロ」と書かれると判らないが、元のスペルを見て愕然とした。音楽用語の「Tranquillo」そのままだ。音楽用語では「静まって」と解される。ブラームスもしょっちゅう使っていた。音楽用語がそのまま人名に転用されている例は大変珍しい。

2012年8月22日 (水)

師団長のための独和辞典

ビスマルクを中心に据えてドイツ史の周辺を徘徊していると、戦争の話題が何かと多くなる。師団、軍団、旅団、連隊の意味について触れておく。時代により国により差があるのでプロイセン陸軍の歩兵についての意味合いを述べる。

<部隊>

  1. 軍 数個軍団の集合
  2. 軍団 Armeekorps 2個師団。これに砲兵、騎兵、通信兵、予備兵なども加える。
  3. 師団 Division。2個旅団。ここに工兵、衛生兵、主計も加わりおよそ12000名。Divisionは音楽用語にもなっている。おおむね中将以上が指揮する。
  4. 旅団 Brigade 2個連隊。少将以上が率いる。
  5. 連隊 Regiment 4個大隊。少佐以上が率いる。
  6. 大隊 Batallion 4個中隊。大尉が率いる。
  7. 中隊 Kompanie 4個小隊。中尉が率いる。コンパと語源は同じか。
  8. 小隊 Zug 少尉に率いられるおよそ40名の兵士。

<階級>

  1. 元帥 Feldmarschall
  2. 上級大将 Erzgeneral
  3. 大将 General
  4. 中将 Generalleutnant
  5. 少将 Generalmajor
  6. 大佐 Oberst
  7. 中佐 Oberstleutnant
  8. 少佐 Major
  9. 大尉 Hauptmann
  10. 中尉 Oberleutnant
  11. 少尉 Leutnant

  • 日本語の大中小に相当する語が含まれているわけではない。日本語はシンプルだが、ドイツにもそれ相応の理由があるのだと思う。
  • 2012年3月 4日 (日)

    無修飾センプレ

    楽語「sempre」は「常に~で」と解されて疑われない。大学祝典序曲166小節目に奇怪な用例がある。有名なファゴットのソロによる「新入生の歌」が始まった後、10小節で追いかける第一オーボエのソロ。その立ち上がりに「sempre」が単独で置かれている。

    いわば「何も修飾せぬsempre」だ。

    我が家のスコアだけではなくて、大学祝典序曲の初版にも存在するから由緒正しい「無修飾センプレ」だ。常に何だというのだろう。

    大学祝典序曲最大の謎。

    2012年1月 1日 (日)

    学士会用語辞典

    昨年12月6日から学生歌関連ネタ連ねている。記事の下調べの過程で学士会独特の語彙群の存在に気付いた。以下興味深いものを列挙する。

    • Aktiver  現役学士会員のこと。
    • Alter Herr  学士会の古参会員。寄付がバカにならないらしい。
    • Band  飾帯。公式行事参列の際、着用が義務づけられる装飾品。準会員は2色、正会員は3色で学士会毎に異なる。ブラームスが着用の仕方を間違えたこともある。
    • Bemooster Bursche 万年学生。「Bemooster」は「苔むした」という意味がある。とりわけ勉学の不振により卒業を持ち越し続ける学生を指すらしい。耳が痛い向きも多かろう。留年が1度や2度ではないニュアンスだ。
    • Bestimmugsmensur  決闘。決闘規定に基づいてスポーツとして行われる決闘だが怪我をすることもあったらしい。
    • Bierbiebel   直訳としてビールの聖書。酒宴必須アイテム学生歌集のこと。
    • Bierfamilie 学士会内派閥のこと。
    • Bierkomment 酒宴作法。
    • Biermensur ビールの競い飲みのこと。そういえば大学オケにパート対抗一気飲み競争があった。
    • Biermimik 酒宴で行われる余興のこと。これも大学オケにたくさんあった。
    • Biermusik 酒宴で学生歌が歌われる際の伴奏。
    • Biername 学士会会員間で用いられる個々人の愛称。性格、信仰、容姿、専攻などが巧妙に反映される。
    • Biersohn 学士会内では後見役の先輩を選ぶことがある。「私は誰それのビアゾーン」だと言う。
    • Bierstrich 酒宴作法上の軽微な違反。1回につきビール1杯分の現金徴収が課されららしい。
    • Bierwart ビール管理係。アルコール飲料の発注管理を司る。幹事から司会進行を抜いた感じ。
    • Bierzeitung 直訳「ビール新聞」、狐の集いの議事録程度のノリ。我がオケにも「週間暴露」というゴシップ系の新聞があった。
    • Blume ビールに泡がたっている状態。乾杯の際にBlume状態になっていないことは、重大な作法違反らしい。
    • Bundeslied 学士会会歌。比較的有名な学生歌や民謡に独自の歌詞をつけた物が多い。一般に「Bundes」は「連邦の」という形容詞だから、「連邦の歌」と誤解されかねない。
    • Bursch 学士会正会員。
    • Burschenlied 学生歌。
    • Charge 学士会役員。「シェルジェ」と発音するらしい。普通は団長Senior、副団長Consenior、教育長Fuchsmajor、書記Schriftfuher、会計Kassierの5役。私は4年の時Seniorだったということだ。フランス語起源。
    • Corona ご一同の意味。ラテン語起源。
    • Couleur クラブカラーのこと。学士会の一体感と信条固持のために用いられる。フランス語起源だ。
    • Couleurcafe 学士会員が朝食をとるカフェ。朝食そっちのけでインヴェーダーゲームだった。
    • Coluleurdame 学士会員と交際中の女性のこと。私の周囲にはたくさんいた。
    • Duell 決闘。規定にのっとり行われるスポーツとしての決闘とは区別される私怨を晴らすための決闘。
    • Dutzkomment 学士会員相互が年齢、社会的身分に関係なく「Du」と呼び合うことを定めた規定。
    • Ex 一気飲み開始の合図。一気飲みが作法違反のペナルティとして課される場合、年長学生が、右手親指を下に向ける仕草で合図する。ローマ皇帝ネロの死刑執行の合図が起源とも言われているらしい。
    • Extrinken 一気飲みのこと。私のいたオケでもやっていた。やたらに早いホルン吹きがいた。
    • Fuchs 直訳なら狐だが、学士会準会員のこと。まれにFuxと綴られる。
    • Fuchsmajor しばしば「狐長」と訳される。学士会5役のうちの「新人教育係」のこと。
    • Fuchsenstall 酒宴における準会員の着座位置のこと。直訳なら「狐小屋」。
    • Fuchsenstunde 新人を対象とした作法教育の集い。
    • Fuchsritt 直訳なら「狐の騎行」だ。新入学士会員総出の出し物。我がオケにもあった。1年生は全員参加の芸が課された。その出来映えで1年生のノリを推し量った。
    • Fuchsenschwanz 直訳なら「狐のしっぽ」。新人教育係が着用する15cmほどの装飾品。本当に尻につけたらしい。
    • Inaktiver 正会員の身分を保持したまま、公式行事への参列を免除された状態。OBばかりではなく、試験や論文作成のために現役が認定されることもある。私のいたオケでもしばしば見かけた。一部の学部では常態化していた記憶がある。
    • Kanne 銀製のビールジョッキ。500cc入る。ペナルティとしての一気飲み一回分の定量だったらしい。さすがドイツだ。我がオケではコップでやっていた。
    • Karzer 学生牢。学内裁判の結果有罪と認定された学生が収監される。
    • Kassier 会計。学士会5役のひとつ。
    • Keilkommissar 学士会入会勧誘係。4月の学内で自然に湧いていた。
    • Kneipe 学士会の酒宴形態の総称。演説、講演、歓談、余興が学生歌の唱和を挟みながら進行する。目的により多彩なバリエーションがある。女性の参加が認められないという。ドイツ語の一般的な意味は居酒屋だ。
    • Komment 学士会における諸作法の明文規定。
    • Kommers 学士会主催の大規模な酒宴。我がオケにもあった。新人歓迎コンパ、夏合宿打ち上げコンパ、クリスマスコンパ、卒業生追い出しコンパなどだ。
    • Landesvataer 直訳なら「国の親」だ。学士会最重要儀式の名であり、同名の学生歌が大学祝典序曲に引用されている。
    • Pennalismus 新人いじめ総称。
    • Salamander 火中に棲む両生類という意味ならブラームスの歌曲がある一方で、学士会最重要の作法を意味する。「乾杯と三本締め」の性格を併せ持つ。これを仕切れることは相当の名誉らしい。
    • Schlager 学士会用の儀礼険のこと。
    • Senior 現役学士会の団長。もちろん学士会5役の筆頭だ。
    • Silentium 酒宴進行上静粛が要求される場面またはその指示のこと。ラテン語起源だが「サイレンス」と通ずる。
    • Trauerkneipe 同僚会員の死を悼む酒宴のこと。

    あけましておめでとうございます。

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