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カテゴリー「144 コラール」の27件の記事

2018年2月19日 (月)

四声体

4つの声部からなる楽曲のことか。各声部が対等であることが前提だ。つまりポリフォニーに特化した言い回しである。

作曲訓練の初期において、ブラームスは合唱曲を書くことを推奨していた。それを「キチンとした四声体で書かねばならないから」と理由付けている。「簡単ではないが、勉強になる」というニュアンスだ。

初期ブラームスの作曲キャリアはハンブルク女声合唱団向けの夥しい合唱作品で覆われている。多くは三声ないし四声だ。やがてそれらを混声四部合唱に編曲してWoO34やWoO35として出版している。

そういえばバッハが愛したフーガも、基本形は四声とされているようだ。四声が基本だからこそ、ニ声のインヴェンションや三声のシンフォニアに教育的意義があるのだ思う。

コラールの多くは四声体だという。専門の聖歌隊が歌っていた賛美歌を大衆に開放するにあたって、旋律や和声進行の簡素化を行うと同時に、旋律をソプラノに置いて会衆に歌わせるとともに、他の声部を聖歌隊に割り振った。おそらく、ドイツ合唱曲伝統の四声体は、コラールに由来するものと思う。

2018年2月18日 (日)

民謡と賛美歌

ブラームス本人が「民謡」を愛してたこともあってブログ「ブラームスの辞書」では、かつて民謡特集を展開したことがある。そして賛美歌に親しんでいる今、民謡と賛美歌は、庶民生活を両面から映す鏡だと実感し始めている。

賛美歌では取り上げられることのない個人の事情「恋」「失恋」「結婚」「別れ」「子供」「旅」「狩」「労働」「わらべ歌」などなどをいきいきと反映する民謡は、賛美歌とともに生活の両輪を形成していると感じる。いわば「聖と俗の両輪」だ。そこに学生歌を補助輪として加えてもいいだろう。これに加えるとすれば行進曲を含む「軍歌」くらい。

民謡同様、賛美歌もテキスト旋律とも作者がしばしば忘れられる。教会が関与し、印刷物として出回る分だけ民謡に比べれば記録に残る確率は高いが、作者不詳は珍しいことではない。

民謡と賛美歌の間では、しばしば旋律の相互乗り入れが起きる。「別テキスト同旋律」は賛美歌間では珍しくないが、民謡賛美歌間でも起きている。賛美歌を元にして別テキストをあてる替え歌は日常茶飯だったに決まっている。また市井に美しい旋律があれば、ふさわしいテキストを付与するのは賛美歌の常とう手段だ。

民謡ラブのブラームスが、そこに気づかぬはずはない。

2018年2月17日 (土)

8大コラール筆頭

「筆頭」とは、真っ先に記すべき人という意味で「第一人者」を指す。コラダスの分析から、バッハ、ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンの4名が素材として取り上げたコラール8作を8大コラールと認定したが、その8つの間には序列をつけず、原題のアルファベット順に列挙するにとどめた。

本日はその中から最高傑作を選ぶという話題だ。

話は遡る。コラダスは元のコラールのテキストをキーにしていたため、同じ旋律が2種類のテキストを伴っていた場合には2とカウントしていた。テキストのないオルガン作品のデータベースだから「別テキスト同旋律」は1とみなしたい。「別テキスト同旋律」がどれほどあるのか調べるうちにお宝情報に巡り合った。

「8大コラール」で冒頭に掲げた「罪びと我を罰したもうな」(Ach herr,mich armen stunder)の「別テキスト同旋律」作品に「心に願うは安き終わり」(Herzlich tut mich verlngen)があった。あまりの驚きにしばし立ち尽くした。

「心に願うは安き終わり」はブラームスの「オルガンのための11のコラール前奏曲」op122の9番と10番だ。

つまりつまり、バッハ、ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンとブラームスの5人が同じ旋律を採用していることに他ならない。ブラームスがこの事実を知っていたかどうかは不明だが、なんだか本当にうれしい。143曲中たった1曲だ。ブラームスのop122-10は、書籍「ブラームスの辞書」の見開きに手稿譜をデザインしてある特別な位置づけだ。その作品が、ドイツバロックの巨匠たちとブラームスの接点になっていた。

とっておきのワインを一本開けたいくらいの喜びだ。

2018年2月16日 (金)

コラダスの狙い

バッハ、ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンのオルガン作品に取り上げられたコラールを抽出しデータベース化を試みて、これを「コラダス」と名付けた。表向きの理由は、ブラームスの最後の作品「オルガンのための11のコラール前奏曲」op122を心から味わうためだ。バロック音楽の伝統に根差した「オルガンコラール」というジャンルに自ら身を投じたブラームスの意図をより立体的に理解するため、飛び込んだその先の世界について知識を蓄積しようとする狙いだ。

バッハだけを探求の対象としてもいいのだが、複数の作曲家に対象を広げたほうが普遍性が高まると思った。ここまでは表向きの理由だ。

地味な狙いもある。

ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンは日本語で読める書物が極端に少ない。ネットの寄与は高まってはいるものの、まだまだ限定的だ。その一方でバッハにはかなりな情報がある。オルガンコラールの原曲について調べるとき、バッハと共有するコラールならば、バッハ関連書籍の情報が流用可能だ。完全ではないことを承知の上で参考にするには十分の重複がある。

2018年2月15日 (木)

8大コラール

「コラダス」収載の143コラールのうち、バッハ、ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンの4名すべてが素材として採用しているコラールを「8大コラール」と位置付ける。オリジナルタイトルのアルファベット順とする。

①罪びと我を罰したもうな 

 
Ach   Herr, mich armen Sünder

 <BWV742/BuxWV178/P95/TWV31:21>

②アダムの堕落 

 
Durch   Adams Fall ist ganz verderbt

 <BWV637,705/BuxWV183/P103,104,105/TWV31:25>

③天よりみそなわし 

 
Gott der   Vater wohn' uns bei

 <BWV748/BuxWV190/P171,172/TWV31:41>

④キリスト、神のひとり子 

 
Herr   Christ, der einig Gotts Sohn

 <BWV7601,698/BuxWV191,192/P181,182/TWV31:31>

⑤呼びまつるイエスよ 

 
Ich ruf   zu dir, Herr Jesu Christ

 <BWV639/BuxWV190/P45,205,206/TWV31:19>

⑥来ませ聖き御霊 

 
Komm,   heiliger Geist, Herre Gott

 <BWV652/BuxWV190/P199,200/TWV31:5>

⑦天なるみ父よ 

 
天なるみ父よ

 <BWV636,682,683,760,761,762/BuxWV219/P122/TWV31:1>

⑧朝に輝く妙なる星よ 

 
Wie   schön leuchtet der Morgenstern

 <BWV739,763,764/BuxWV223/P501,502/TWV31:37>

以上だ。各々の作曲家の作品目録番号を添えておいた。同一のコラールを用いて、華麗なる4名がどのどのように料理するのか聴き比べが楽しい。

2018年2月13日 (火)

コラダス集計速報

さて、オルガンコラールの原曲となったコラールのデータベース化が一段落した。バッハ、ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンのコラールとの関わりがわかってきた。結果は下記の通りである。母数はバッハ93曲、ブクステフーデ36曲、パッヘルベル95曲、テレマン23曲だ。

  1.   3曲/テレマンだけが採用している。
  2. 33曲/パッヘルベルだけが採用している。
  3.   1曲/パッヘルベルとテレマンが採用している。
  4.   7曲/ブクステフーデだけが採用している。
  5.   0曲/ブクステフーデとテレマンだけが採用している。
  6.   6曲/ブクステフーデとパッヘルベルが採用している。
  7.   0曲/バッハだけが採用していない。
  8. 30曲/バッハだけが採用している。
  9.   3曲/バッハとテレマンが採用している。
  10. 29曲/バッハとパッヘルベルが採用している。
  11.   8曲/ブクステフーデだけが採用していない。
  12.   5曲/バッハとブクステフーデが採用している。
  13.   0曲/パッヘルベルだけが採用していない。
  14. 12曲/テレマンだけが採用していない。
  15.   8曲/全員採用している。

分類番号5、7、および13はゼロだった。量的にバッハとパッヘルベルが均衡し、ブクステフーデとテレマンが均衡していることから見て、予想通りの結果だ。

これから、折に触れてコラールネタを発信する。

2018年2月12日 (月)

大胆な断言

昨日紹介した「パイプオルガン入門」という書物の91ページ中ほどやや下に驚くべき記述があった。正直凍った。

パッヘルベルを紹介する文脈の中で、バッハやブクステフーデのオルガンコラールは教会で演奏して会衆に聴かせる目的ではなくて、弟子たちへの作曲の手本として書かれたものだと断言している。それに引き換えパッヘルベルは実際の演奏と紐付いていたとよどみがない。

パッヘルベルのエアフルトのプレディガー教会オルガニスト就任の契約書の中に、会衆の歌うコラールをオルガンによって先導することと明記され、即興ではなく事前の作曲が必須という条件が添えられている。

だからパッヘルベルには大変短くて収まりのいいオルガンコラールが多いと結ぶ。

オルガンコラール、特にコラール前奏曲は、音取りをかねたオルガンによる先導だと思い込んでいたが、どうやらすべての作品が実用品という訳ではなかった。会衆の先導よりも弟子の教育という目的が勝っている場合もあるということだ。

断言があまりにサラリとしているのは、私の早とちりを見過ごすかのようだ。

2018年2月 8日 (木)

バッハのコラールを歌う

またまた書籍のタイトルだ。キリスト教新聞社刊行の「バッハのコラールを歌う名曲50選」という。昨日紹介した「コラール・ハンドブック」と甲乙つけがたい。

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「コラールの名曲を歌ってしまいましょう」というコンセプトで貫かれている。どちらも歌いやすい楽譜付きだけれど、コラールハンドブックは網羅性が売りで総数150だ。こちらは50曲に絞ってある代わりに曲目ごとの解説が細かい。本当に詳しく書いてある。コラダス収載の143曲のうち、33曲が載っている。反対に言うと50曲のうち三分のニがコラダスに載っているということだ。

そして2枚のCDで収載されているコラールがオルガン演奏で聴ける仕組みだ。4200円だがコストパーフォーマンスはよい。

2018年2月 7日 (水)

コラール・ハンドブック

書籍のタイトル。2011年春秋社刊行だ。大村恵美子&大村健二著。

20180203_170734
ただただ素晴らしい本だとしか言えない。

このたびの「コラダス」の企画を思い立ったのはこの本のおかげだ。著述の主体はカンタータに採用されたコラールを網羅することにあるものの、オルガンコラールと共通することが多く、索引情報が本当に素晴らしい。「同一旋律別テキスト」の紐付けが完璧だ。バッハは同じ旋律でもテキストが違う場合に、オルガンコラールに転写する際にキチンと反映させているから、この情報は貴重だ。

2018年2月 6日 (火)

分類の手法

記事「コラダス」で、バッハ、ブクステフーデ、パッヘルベル、テレマンのオルガンコラールの元になったコラールをデータベース化したと書いた。本日はその方法を紹介する。

まずはこの4名をアルファベット順に並べる。結果は下記の通りとなる。

  1. Bach
  2. Buxtehude
  3. Pacchelbel
  4. Telemann

もしそのコラールに4名すべてがオルガンコラールを残していたら、「1111」と略記する。先頭の「1」がバッハを現し、2番目の「1」がブクステフーデを現し、以下パッヘルベル、テレマンと続く。その作曲家が取り上げていない場合は「0」を据える。

もしそのコラールをバッハしか採用していない場合「1000」となる。採用の有無を「1」「0」で現わし、桁数が作曲家を示す。「1」と「0」だけで構成されるこの4桁の数値を2進法の数値とみてこれを10進法に換算する。

  1. 0001 テレマンだけが採用している。
  2. 0010 パッヘルベルだけが採用している。
  3. 0011 パッヘルベルとテレマンが採用している。
  4. 0100 ブクステフーデだけが採用している。
  5. 0101 ブクステフーデとテレマンだけが採用している。
  6. 0110 ブクステフーデとパッヘルベルが採用している。
  7. 0111 バッハだけが採用していない。
  8. 1000 バッハだけが採用している。
  9. 1001 バッハとテレマンが採用している。
  10. 1010 バッハとパッヘルベルが採用している。
  11. 1011 ブクステフーデだけが採用していない。
  12. 1100 バッハとブクステフーデが採用している。
  13. 1101 パッヘルベルだけが採用していない。
  14. 1110 テレマンだけが採用していない。
  15. 1111 全員採用している。

本データベースの抽出条件として、「この4名の少なくとも一人が採用しているコラール」ということなので、「0000」はあり得ない。よって考えられる組み合わせは上記15種類となる。

この手法で143のコラールをひとまず分類する。

結果はおいおい。

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