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カテゴリー「157 メヌエット」の4件の記事

2015年7月19日 (日)

メヌエットのテンポ

アクセス解析を見ていて興味深い現象に出会うことがある。今日の話題もそれだ。どうも「メヌエット」「テンポ」というキーワードでたどり着かれることが多い。メヌエットの適正なテンポを求めてネット検索をしていると想像出来る。

ブログ「ブラームスの辞書」に関する限り徒労に終わる。ブラームスは「メヌエット」の適正なテンポを、既に明らかで説明不要と位置づけている。作品冒頭のテンポ指示で「メヌエットのテンポで」「Tempo di menuetto」あるいは「Quasi menuetto」と謳うことはあっても、それ以上深入りして説明することはない。メヌエット自体にはけしてテンポの指示をしていない。メヌエット以外の曲が、たまたまメヌエットのテンポを必要している場合のみ「メヌエットのテンポで」と指定しているに過ぎない。「ご存知の通りのメヌエットです」というニュアンスだ。

「16のワルツ」op39では、冒頭に「im Landler tenpo」と明記する。「ワルツ」というタイトルを掲げながら、テンポはレントラーなのだから、この指示は当たり前だ。

ブラームスにとっては「メヌエット」も「レントラー」も説明不要のテンポだということだ。

ところが私のブログアクセスへのキーワードを眺めている限り、現代日本では「メヌエット」のテンポが説明不要ではないようだ。ブラームスが想定した楽譜の読者層と違っているということかもしれない。

チェロソナタ第1番第二楽章に「Allegretto quasi Menuetto」と書かれている。

2007年12月29日 (土)

メヌエットクライシス

来年早々にヴァイオリンのお弾き初め会がある。娘たちと3人で演奏することは既に10月22日の記事「ベートーヴェンのメヌエット」で述べた。ところが案の定、長女の部活の大会と重なってしまった。楽しみにしていたアンサンブル存亡の危機である。練習なら休ませるのだが、大会は優先させてやると約束していたから仕方が無い。

次女は仕上がっているので先生と相談したところ、長女のパートを先生が弾いてくださることになった。

本日のレッスンで、初めて合わせてみた。何だかちゃんと聴こえるので嬉しくなった。いいところを見せねばならないので、実は密かに練習していた。小規模の作品とはいえ、娘とのアンサンブルは格別である。合わせてみて明らかになったいくつかの課題を正月休み中に修正しましょうということになった。

私の音程がクライシスにならないよう、仕上げねばならない。

2007年10月20日 (土)

ベートーヴェンのメヌエット

お正月恒例のお弾き初め会の曲目選びが始まった。

それぞれ独奏の曲を1曲ずつとアンサンブル1曲と決めているが、このほどアンサンブル曲について先生から提案があった。お弾き初めは元々発表会よりは気軽に弾くことが主眼なので、子供たちと一緒に親の出番も設けるらしい。

先生が探してくださったのが「ベートーヴェンのメヌエット」だ。1795年に作曲された「6つのメヌエット」WoO10の2番ト長調である。元々は管弦楽用だったらしいが、ピアノ編曲版しか伝えれていない。ヴァイオリンとピアノ用にも編曲されているおかげでピアノやヴァイオリンの発表会の常連である。

その曲がヴァイオリン2本とヴィオラ用にアレンジされた楽譜があるので、お父さんも一緒にどうぞというのが先生の提案だった。テクニック的に余裕のある曲で楽しみましょうという狙いだ。

ヴァイオリン2本とヴィオラとはまるで我が家用みたいで嬉しい。娘の意向なんぞ聞かずに即刻了承した。しばらく楽しめそうだ。

2007年1月 2日 (火)

メヌエット

正月休みに入ったのをいいことに、のんびりとヴィオラを練習している。もちろん相変わらずバッハの無伴奏ヴィオラ組曲だ。「組曲」という言葉に素朴な疑問を感じていた。「パルティータ」との区別はどうなっているのだろうということだ。

名高いシャコンヌニ短調が入っているのは「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」で、今私がのめりこんでいるのが「無伴奏チェロのための組曲」だ。両方とも古典舞曲の集合体であることに変わりはないのに何故使い分けられているのだろう。

いろいろ調べていて面白いことが判ってきた。バッハは几帳面な性格で言葉の使い分けには厳格だったことが本日の話の大前提になる。たとえば組曲にもパルティータにも頻繁に現れる「クーラント」は当時フランス風とイタリア風とがあった。バッハはフランス風の時は「クーラント」とする一方で、イタリア風の時には「コレンテ」と表記した。例外の一切無い厳密さだという。

さてさて「組曲」(Suit)と「パルティータ」の区別の話に戻る。どちらも古典舞曲の集合体なのだが、その選曲や配列、あるいは個々の舞曲の形式が必ずしも厳密にルールを守っていないものを「パルティータ」と言い、それら全てにおいて厳密にルールが遵守されている場合を「組曲」と呼んだらしい。

個々の舞曲の形式がルール内かどうかについてもバッハの判定は厳密であったという。メヌエットとて単に典雅で高貴な4分の3拍子という曖昧な基準ばかりでもなかったようだ。厳密なメヌエットとは呼べないが、テンポだけはメヌエットと同じという曲も数多くあったのだが、そういう場合は「メヌエット」という断定を避け、「Tempo di menuetto」という表現を用いているという。数学的物理的なテンポという意味では「Moderato」でも事足りるのに、「ホラ皆さんもご存じのあのメヌエットのテンポですよ」というニュアンスが「Tempo di menuetto」には込められている。また当時のメヌエットはいわゆる中間部に「Trio」というタイトルが掲げられずに「Menuetto Ⅱ」と記されている。形式的には事実上のトリオとして機能していても「Trio」とは標記されないということだ。

やっと本題に入れる。ブラームスは今述べたようなバッハの厳密さを知っていた。ブラームスとて「Menuetto」という語を楽譜上に記すことはあったが、管弦楽のためのセレナーデ第1番の第4楽章を除いて、「Menuetto」と断言することを避けている。「Allegretto quasi menuetto」「Tempo di menuetto」という具合である。私の著書「ブラームスの辞書」では「Menuetto」と断言しないこれらの癖に言及して、「単にメヌエットのテンポを借りただけというブラームスからのメッセージ」という解釈を提案しているが、この姿勢はバッハの厳密さと一脈通じるものがある。「形式としてはメヌエットとは言えないが、テンポはまさにメヌエットなんです」という状態だ。「Moderato」と記すよりも誤解の発生する余地は数段低いと思われる。

さらにだ。唯一「Menuetto」と断言している管弦楽のためのセレナーデ第1番の第4楽章では、「MenuettoⅠ」と「MenuettoⅡ」という標記が見られる。「Trio」と書かずに「menuettoⅡ」という書き方を採用しているのだ。

ブラームスのバッハへの傾倒はよく知られている。ブラームスが意図的にバッハへの接近を図った事例だと考えている。

正月気分を吹き飛ばすガチンコ記事である。気分満載だった昨日の記事との落差が我ながら心地よい。

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