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カテゴリー「159 カンタータ」の160件の記事

2024年12月 1日 (日)

待降節は巡る

今日が三位一体節後第27日曜日にならないことは既に述べた。クリスマスの4つ前の日曜日は待降節アドヴェントになってしまうから、教会暦はそこでリセットと言うわけだ。本日はその待降節である。

思えば昨年の待降節にブログ「ブラームスの辞書」上の企画として「カンタータでたどる教会暦」を立ち上げた。あれから1年ということだ。

日曜日毎にその日にふさわしいカンタータを取り上げる企画だから、日曜以外はその他の話題もありだと考えていたが、思った以上にネタが膨らんで事実上のバッハ特集となった。

言い古されてはいるが、1年が早い。

2024年11月29日 (金)

BWV140の魔力

カール・リヒター先生についての書物で、共通して論じられているのが、リヒター先生とバッハの出会いのエピソードだ。

少年時代にはじめて接して感動した作品が名指しされている。BWV140「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」だ。とりわけ第4曲のテノールのアリアだ。独唱に先立つヴァイオリンとヴィオラのユニゾンの部分に心酔したことがバッハの傾倒のきっかけだったと回想されている。

同曲のリヒター先生の演奏は群を抜く。ピリオド楽器含め様々な音源があふれた現代、それらを手元において自在に聴き比べもできるのだが、リヒター先生のその場所の聞かせ方は最高だ。同じフレーズが2小節後に確保される場所の、ピアニシモに打ちひしがれるかの美音は、どんな解釈も吹き飛ぶ。ピリオド楽器がどれほど「バッハ時代の忠実な再現」と力説しても私の心が動かない原因の一つとまで断言できる。

2024年11月28日 (木)

カンタータ楽曲ランキング

昨日カンタータの脳内ベスト5を選定したばかりだ。カンタータは複数の楽曲の集まりだ。カンタータ総合では先の5曲でいいのだが、それらを個別の楽曲で見るとまた代わってくる。というわけで楽曲別のベストを選定しておく。交響曲で申すなら楽章別ベストの選定に相当する。

<第1位> 「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」BWV140の第4曲。悩んで悩んでこれ。ヴァイオリンとヴィオラのユニゾンを従えたテノールのアリア。元のコラールの存在をかすませるバッハの技法。

<第2位> 「我は満ち足れり」BWV82の第3曲。バスのアリア。こちらが一位でも申し分ない。バス最高の聞かせどころ。

<第3位> 「我が片足は墓穴に」BWV156第1曲のシンフォニア。声楽なし。オーボエが織りなす可憐なモノローグ。

<第4位> 「我は満ち足れり」BWV82の第5曲。事実上バスとオーボエの二重協奏曲。

<第5位> 「我はいずこに逃れ行こう」BWV5の第3曲テノールのアリア。光の描写としてのヴィオラ独奏が宝物。

<第6位> 「神は固き砦」BWV80の第2曲。バスとソプラノの二重唱。

<第7位> 「満ち足りる安らぎ」BWV170の第1曲。アルトのアリア。

<第8位> 「キリストは死の縄目につながれたり」BWV4の第6曲バスのアリア。

<第9位> 「いかにはかなき、いかにむなしき」BWV26の第5曲バスのアリア。

<第10位> 「我は喜びて十字架を背負う」BWV56第3曲バスのアリア。

切りが無い。切り口がバスとオーボエに偏ってしまうのはご愛敬だ。

 

 

2024年11月27日 (水)

マイカンタータ

リヒター先生の録音を頼りに、バッハのカンタータで巡る教会暦の企画がコンプリートした。めでたしめでたし。この辺で大好きなカンタータをランキングしておく。あくまでも今日の時点の評価だ。

<第1位> 「我は満ち足れり」BWV82

不動の位置。ディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ先生最高の聴かせどころ。5曲全てに出番がある。クレメント先生のオーボエとの二重協奏曲という側面も見逃せない。

<第2位> 「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」BWV140

三位一体節後第27日曜日用つまり教会暦の年末どん詰まりで、年によっては存在しないレア祝日用。第4曲のテノールのアリアを頂点にしみじみ、ほのぼのではあるのだが、キレッキレのオーボエも聴ける。

<第3位> 「神は堅き砦」BWV80

宗教改革記念日用のカンタータ。ソプラノとバスの二重唱にユニゾンの弦が絡む第3曲を頂点にルター作のコラールをかみ砕く。

<第4位> 「我はいずこに逃れ行こう」BWV5

第5曲バスのアリアにおけるディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ先生の剣幕が山場ではあるのだが、第3曲のテノールのアリアを可憐に縁取る独奏ヴィオラが秀逸。

<第5位> 「満ち足れる安らぎ」BWV170

アルト用アリアの最高峰。リヒタ-先生の選集に収録がないが特別にランクイン。

 

2024年11月25日 (月)

目覚めよと呼ぶ声が聞こえ

昨日は三位一体節後第26日曜日だった。だから来週の日曜日が「三位一体節後第27日曜日」かというとそうは参らぬ。来週の日曜日はクリスマスの4つ前の日曜日になるので、待降節になってしまう。

だからその三位一体節後第27日曜日用の「Wacht auf,ruft uns die Stimme」BWV140を本日取り上げる次第。三位一体節後第27日曜日は希にしか現れないから、この作品もなかなか上演の機会がなかった。

けれども脳内カンタータランキングでは上位の常連だ。第1曲冒頭の付点リズムの連なりを聞くと「年の瀬感」が脳内に充満する。特徴的なのは2重唱のアリアで、その第2曲や第6曲にあるオーボエの出番もマンフレート・クレメント先生の極上の見せ場だ。

がなんと言って第4曲だろう。ヴァイオリンとヴィオラのユニゾン変ホ調。この旋律は私の結婚披露宴の来賓入場のBGMだった。その披露宴は11月25日で、本カンタータの初演日という小細工を楽しんだ。

で、あまたある同曲のCDの中でもリヒター盤が脳内最高位に長年君臨する。第4曲冒頭の弦楽器の4分音符1個の「B音」の響かせ方が他に類を見ない。

2024年11月24日 (日)

目を覚まして祈れ

「Wacht betet,seid Bereit Allezeit」BWV70は2部構成の大規模カンタータ。バッハ特有のパロディだ。もともと待降節後第2日曜日用にとワイマール時代に書いた作品をもとに、ライプチヒ着任後に三位一体節後第26日曜日用に改作したもの。

第1曲は当日の説法に合わせて、神の裁きを前にした人々の心を描写する。トランペットの大ファンファーレが先導する。第3曲アルトのアリアに独奏チェロが付き従うのもうれしい。

紆余曲折あるけれど第10曲のバスのアリアが「この紋所が目に入らぬか」調で締めくくる。ディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ先生お得意のパターン。

2024年11月17日 (日)

汝平和の君イエスキリスト

三位一体節後第25日曜日用「Du Friedefurst,Herr Jesu Christ」BWV116だ。

クレメント先生のオーボエダモーレを筆頭に聞き所が多い。とりわけ第4曲の三重唱だ。ディースカウ先生とペーター・シュライヤー先生、エディット・マティス先生の競演が聴ける。

三位一体節自体が移動祝日で、そこを起点に何番目とカウントするから、三位一体節が遅い年は、このあたりで教会暦の年末になってしまうことも出てくる。第26日曜日や第27日曜日が存在しない年もおおいということだ。

いよいよ押し詰まった感じになってくる。

2024年11月11日 (月)

いかにはかなき、いかに空しき

三位一体節後第24日曜日用「Ach wie fluchtig,ach wie nichtig」BWV26だ。リヒター先生の選集には同日曜日用にはBWV60も採用されているが、ディースカウ先生の出番があるのはこちらだけなので、ついこちらを聴きがちだ。

特にだ。

第4曲バスのアリアは大のお気に入り。ディースカウ先生が世俗の宝なんぞ無用の誘惑に過ぎないと熱唱するのだが、、それに先立って3本のオーボエが無情の雰囲気を決定的にする。マンフレート・クレメント先生の屈指の出番でもある。

バスの出番とてもオーボエの出番としても最高級だ。

 

2024年11月10日 (日)

おお永遠そは雷の言葉

三位一体節後第24日曜日用「O Eigkeit,du Donnerwort」BWV60だ。亡くなった娘をよみがえらせたりの奇跡譚だ。

BWV60はアルト、テノール、バスの3名の独唱を伴う。それぞれ「恐れ」「希望」「キリスト」を演ずるオペラテイストになってはいるのだが、残念なことにディースカウ先生もシュライヤー先生も降り番だ。

恐れと希望の言い争いの仲裁役がキリストという位置付けか。

 

 

2024年11月 3日 (日)

幸いなるかなおのが御神に

三位一体節後第23日曜日用「Wohl dem,der sich auf seinen Gott 」BWV139だ。皇帝の税金という身近な説法だが、作品中に税金の痕跡はない。

第4曲バスのアリアがききどころ。ディースカウ先生の出番は当然として、オーボエダモーレのクレメント先生とのアンサンブルが美しい。オーボエダモーレとは「愛のオーボエ」だ。実際にはオーボエより低いヴィオラっぽい位置付け。しっとりとしていい感じだ。

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