ピアノ伴奏はいかが
記事「やっぱりアメリンク」でアンナマグダレーナバッハの音楽帳にBWV82「Ich habe Genug」の第2曲第3曲が収められているとまくしたてた。実は愛聴盤がもう一種ある。ジェイムズマドックスというピアニストが入れていて、ソプラノはイングッド・シュミットヒュッテン。そりゃあアメリンクには一歩譲るけれど、家庭でポロリポロリと弾いている感じがしておさまりがいい。
さらにこちらは2枚組で、同音楽帳の全曲が入っている。ドライブや在宅勤務のおともに好適。
記事「やっぱりアメリンク」でアンナマグダレーナバッハの音楽帳にBWV82「Ich habe Genug」の第2曲第3曲が収められているとまくしたてた。実は愛聴盤がもう一種ある。ジェイムズマドックスというピアニストが入れていて、ソプラノはイングッド・シュミットヒュッテン。そりゃあアメリンクには一歩譲るけれど、家庭でポロリポロリと弾いている感じがしておさまりがいい。
さらにこちらは2枚組で、同音楽帳の全曲が入っている。ドライブや在宅勤務のおともに好適。
たとえば以下のリストをご覧いただく。
私のためにベートーヴェンのピアノソナタを弾いてくれているピアニストの一覧だ。一応は歳の順。この人たちのCDを今持っているということだ。中学時代に買ったLPで演奏者のわからぬものはこのリストにない。LP時代が去ってCD時代になって以降、CDを買い求めた人たちということになる。ベートーヴェンに限ってのリストであることは再度強調しておきたい。
ドイツオーストリア系に極端に偏る。それも古い人ばかり。当時の音楽雑誌の刷り込みがいかに強烈だったかわかる。女子は6番のアニーフィッシャーだけだ。当時誰が好きだったかあまり覚えていない。ロシア楽派が不当に冷遇されているが、もちろん政治的意図はない。
お断りしておくと、今はやりの13人なのは偶然だ。
一流のアスリートに対し、メーカーが用具を無償提供するケースがある。一流選手が使用しているということ自体が、巨大な広告と同じだから、メーカー側に十分なメリットがある。
ウィーン進出以降、ブラームスは瞬く間に楽壇における地位を上げていった。彼が演奏会で弾くピアノには注目も集まろう。メーカーはそこに目を付ける。シュトライヒャーというウィーンのメーカーが、カールスガッセの自宅用にとピアノを1台貸与する。
1872年のことだ。カールスガッセへの転居と同時に貸与されたと解されよう。そしてそれは、ウィーン楽友協会の芸術監督に就任した時期とも一致するのだ。
そのピアノはブラームスが没するまでその部屋にあった。つまり終身貸与である。これが有償だったか無償だったか定かではないが、心証としては「そりゃ無償に決まってンだろ」という感じである。
レーゼル先生のピアノサロンの続き。90分の中、話がブラームスに及んだ瞬間が1度あった。
モスクワ音楽院での修行からドイツに戻った当時、先生はロシア物の弾き手と思われていた。そんな中、共産圏特有の国策レコード会社ドイツシャルプラッテンからドイツ物のオファーが来たという。これまた国策でドイツ作曲家の作品を片っ端から録音するというプロジェクトを進めるためにレーゼル先生に白羽の矢が立ったということだ。そこそこ弾けて若いということが決め手だったとご本人が謙遜気味におっしゃっていた。
そうしたプロジェクトの中にブラームスがあって、それらは一部LPもあったがCDとして80年代には日本にも輸入されていた。共産圏の国策としての外貨獲得の側面もあったに違いない。
19歳でブラームスに目覚め、片っ端からブラームス作品を聴くためにCDを物色ていた私の目に留まるのも当然だ。何しろ当時ブラームスのピアノ作品全てがCDで入手可能なピアニストはまれだった。当然私はレーゼル盤を取り揃えたが、先生20代のその録音は長く私のスタンダードとなった。思うに「最高のブラームス弾き」であると。
今回のサロンコンサートはそのレーゼル先生を生で見ることが出来る機会となった。最後の来日ともいわれていてつくづく貴重だ。ブラームスは先生の広大なレパートリーの一角に過ぎないこともわかった。
あの夜のモーツアルトのソナタをきっと一生忘れない。言葉にしたら壊れてしまう思い出としてそっととっておく。
泣きたい。最後だなんておっしゃらないでくれ。
10月11日に都内紀尾井ホールに行ってきた。ペーター・レーゼル先生のトークショウを聞くためだ。通訳を交えての90分。緊急事態宣言明け間も無いこのタイミングで一生の思い出のためにと予約しておいた。
進行役と通訳を兼ねた松本和子先生とレーゼル先生が2人ステージに並んで座る。後ろにはスタインウエイが鎮座する。ラフな服装の上にマスクをかけておられるせいかグッと身近に感じられる。つい最近の地震の話、昨今のコロナの話に始まって、次第に音楽の話題に移ってゆく。あらかじめ列席者から寄せられた質問を交えながら滑らかに話題が展開する。
先生の経歴にモスクワ音楽院での研鑽があり、共産圏特有の事情も色濃く反映するエピソード満載だった。謙虚で冷静な印象は片時も崩れなかった。賞賛を強調し批判は超遠回しに最小限という感じ。一番印象に残ったのは、最近のピアニスト評だ。「テクニック的にはみな申し分ない」とおっしゃる一方で、昨今の録音ソースの過剰さが気になると。名演の録音ばかりを聞いてそれが上手に転写されただけのコピーが氾濫すると嘆いておられた。演奏に際しては楽譜から読み取ることが第一で、録音を聞いてばかりではその録音のコピーが仕上がるだけになる。作曲家の思いを正確に読み取ることが大切と。
実演はラフマニノフの楽興の時から1曲と、最後にモーツアルトのイ長調のソナタ。結局全楽章聞かせてもらえた。第一楽章の変奏曲が始まった時震えた。慣れ親しんだ「トルコ行進曲付」だというのに、そりゃあもう凄い。言葉になんかならない。
言葉にしないとブログにならないのだが、どうにも言葉は無力。どうにもならん。
90分がアッという間。二人が舞台袖に立ち去りそうになった時、レーゼル先生が何か言いた気に立ち止まる。「本日のこの貴重な時間は通訳の素晴らしい進行のおかげです」と。照れくさそうに通訳する松本先生に拍手を向けさせるという振る舞い。そう、こうした人柄通りのモーツアルトだった。
シューベルトを「裏ワルツ王 裏」と認定した勢いで続ける。作品全体を見渡して感じるのはピアノ連弾曲が多い。短い作品が多いが、数が多いのでCD5枚組になるかもしれない。
ブラームスが世に出たきっかけ「ハンガリア舞曲」はピアノ連弾だった。作品39の「ワルツ」もオリジナルは連弾用だ。管弦楽や4重奏以上の室内楽には連弾バージョンが存在するが、シューベルトはもっと多い印象。D番号順にざっと拾っておく。
すごい量。シューベルトを「連弾王」とひそかに認定する。念のために申し添えると独唱者一人にピアノ連弾の伴奏というケースは一つもない。
フィッシャーディースカウ先生の著書で話題になった伴奏の大家ジェラルド・ムーア先生は男性だ。またディースカウ先生と組んで録音を残したピアニストの面々もみな男性だった。
どうも世の中のドイツリートのCDで伴奏を務めるのは男性ピアニストが多い気がする。何故だろう。室内楽の中のピアノパートには、山ほど女流ピアニストが出て来るし、ソリストだって同様だ。コンクールの入賞者あるいは音大のピアノ科の男女比を見れば女性優位ではないかとも思える。
ヘルムートドイチュ先生もご著書「伴奏の芸術」の中でこの点に疑問を提示しており、いくつか仮説も示しておられるが決定的ではない。ディースカウ先生は、この点については沈黙している。我が家のCDコレクションの中で女性が伴奏を務めるケースはたった1枚だ。店頭で歌曲のCDを選ぶとき、作曲家、演奏家をキーにする。伴奏者の性別は気にもしていない。それなのに結果として集まったCDに女性伴奏がほぼないのは、私のコレクションの偏向とは言えまい。録音でだけの現象なのだろうか。実際のリサイタルでは女性伴奏者も多いのだろうか。男性歌手も女性歌手も 伴奏者に男性を選ぶという現象が起きていると考えていいのだろうか。
世はなべて女子の時代だというのに不可解なことだ。
ご自身の著書「シューベルトの歌曲をたどって」の中で、伴奏者ジェラルド・ムーアを絶賛している一方、実際の録音を見てみると、ジュラルド・ムーア先生ばかりでもないとすぐわかる。我が家にあるCDだけでも以下の通りだ。
ピアノソリストばかりか指揮者としても有名な人、いわゆる大物が惜しげもなく並ぶ。これはフィッシャーディースカウ先生自身が、超大物であることの反映だ。伴奏を務めることがピアノ奏者としても名誉であると考えられていそうだ。1899年生まれのジェラルド・ムーア先生はディースカウ先生にとっても先輩格だが、これらの面々はむしろ後輩にあたる。大歌手の名声が確立した後も、当代の名手と組むことで研鑽を怠らないということだろう。
フィッシャーディースカウ先生は大著「シューベルトの歌曲を辿って」の中で、シューベルトへの愛を隠していないが、同等な愛情が伴奏者であるジュラルド・ムーア先生にささげられている。1899年生まれで、1972年に同全集が完成されたときは73歳だったはずだ。彼の記述はわずか5行にとどまっているが、心酔ぶりは明らかだ。「紙幅が許せば、この人の記述に1章をささげるべきだ」「シューベルト歌曲全てについて伴奏経験がある世界で唯一の人物」という感動的な前置きに始まり、その演奏の特質を嬉々として列挙する。
ジェラルド・ムーア先生の伴奏は我が家のささやかなCDのコレクションの中にあっても膨大な量で、相棒の歌手はディースカウ先生にとどまるものではない。
ブラームス歌曲の伴奏においても図抜けた存在だ。ディースカウ先生の掲げた上記の特質は、何もシューベルト演奏に限ったものではなく、ブラームスにおいても威力を発揮していると見るのが自然だ。
今更グールドの話なんぞ、ネット上には溢れ返っている。グールドのCDは我が家にはかなり揃っている。バッハ中心にいろいろだ。作品解説の冊子には「グールド本人の歌やうなり声がはいっていますがご了承ください」という趣旨の注意書きがほぼ必ず添えられている。
001 用語解説 002 ドイツ旅行① 003 ドイツ旅行② 004 ドイツ旅行③ 050 空席状況 051 お知らせ 052 総集編 053 アラビアンナイト計画 054 セバスチャン 055 令和百人一首 056 拾葉百首 060 ブラームス神社 061 縁起 063 賽銭 070 ドイツ分室 071 地名辞書 072 地名探検 073 地名語尾辞典 074 地名語尾 075 ドイツ語 076 ドイツ方言 077 ドイツ史 078 ハプスブルク 079 人名辞典 080 イベント 081 謝恩クイズ 082 かるた 083 のだめ 084 お盆 085 中国出張 086 英国研修 087 ブログ出版 088 意訳委員会 089 ドヴォルザークイヤー総集編 090 ドヴォルザーク作品一覧 091 平均律与太話 092 暦 093 バロック 094 ドイツバロック 095 イタリアンバロック 100 作曲 101 編曲 102 楽譜 103 音符 104 楽語 105 テンポ 106 音強 107 拍子 108 調性 109 奏法 110 演奏 111 旋律 112 音型 113 リズム 114 和声 115 対位法 116 形式 117 編成 118 ヘミオラ 119 テキスト 120 ベースライン 121 再現部 122 微調整語 123 語彙 124 表情 125 伴奏 126 ジプシー音楽 140 ソナタ 141 変奏曲 142 フーガ 143 ロンド 144 コラール 145 間奏曲 146 スケルツォ 147 ワルツ 148 レントラー 149 緩徐楽章 150 セレナーデ 153 カプリチオ 154 トリオ 155 序奏 156 シャコンヌ 157 メヌエット 158 舞曲 159 カンタータ 160 ブラームス節 161 分布 162 引用 170 楽器 171 ピアノ 172 ヴァイオリン 173 ヴィオラ 174 チェロ 175 コントラバス 177 オーボエ 178 クラリネット 179 ファゴット 180 ホルン 181 トランペット 182 トロンボーン 183 チューバ 184 ティンパニ 185 トライアングル 186 チェンバロ 187 オルガン 190 鍵盤楽器 191 弦楽器 192 木管楽器 193 金管楽器 194 打楽器 195 メゾソプラノ 196 アルト 200 作品 201 ピアノ曲 202 歌曲 203 器楽 204 室内楽 205 交響曲 206 協奏曲 207 管弦楽曲 208 合唱 209 重唱 210 民謡 211 オルガン 212 オペラ 213 カノン 214 連弾 215 練習曲 216 学生歌 230 ドイツレクイエム 231 交響曲第1番 232 交響曲第2番 233 交響曲第3番 234 交響曲第4番 235 大学祝典序曲 236 ヴァイオリン協奏曲 237 ピアノ協奏曲第1番 238 ピアノ協奏曲第2番 239 二重協奏曲 248 弦楽六重奏曲第1番 249 弦楽六重奏曲第2番 250 ピアノ五重奏曲 251 クラリネット五重奏曲 252 弦楽五重奏曲第1番 253 弦楽五重奏曲第2番 254 弦楽四重奏曲第1番 255 弦楽四重奏曲第2番 256 弦楽四重奏曲第3番 257 ピアノ四重奏曲第1番 258 ピアノ四重奏曲第2番 259 ピアノ四重奏曲第3番 260 ピアノ三重奏曲第1番 261 ピアノ三重奏曲第2番 262 ピアノ三重奏曲第3番 263 ホルン三重奏曲 264 クラリネット三重奏曲 265 ヴァイオリンソナタ第1番雨の歌 266 ヴァイオリンソナタ第2番 267 ヴァイオリンソナタ第3番 268 チェロソナタ第1番 269 チェロソナタ第2番 270 クラリネットソナタ第1番 271 クラリネットソナタ第2場 272 FAEソナタ 300 作曲家 301 バッハ 302 シェーンベルク 303 ドヴォルザーク 304 ベートーヴェン 305 シューマン 306 メンデルスゾーン 307 モーツアルト 308 ショパン 309 シューベルト 310 ワーグナー 311 マーラー 312 チャイコフスキー 313 Rシュトラウス 314 リスト 315 ヘンデル 316 ヴィヴァルディ 317 ヴェルディ 318 ヨハン・シュトラウスⅡ 319 ビゼー 320 ブルックナー 321 ハイドン 322 レーガー 323 ショスタコーヴィチ 324 テレマン 325 ブクステフーデ 326 パッヘルベル 327 シュメルツァー 328 フローベルガー 330 プレトリウス 331 シュッツ 350 演奏家 351 クララ 352 ヨアヒム 353 ミュールフェルト 354 アマーリエ 356 ビューロー 357 クライスラー 358 ヘンシェル 362 シュットクハウゼン 400 人物 401 ファミリー 402 マルクゼン 403 ジムロック 404 シュピッタ 405 ビルロート 407 ビスマルク 408 ハンスリック 409 フェリクス 411 マンディ 412 ヴィトマン 416 カルベック 417 ガイリンガー 418 エルク 419 グリム兄弟 420 森鴎外 421 ルター 422 源実朝 431 アガーテ 432 リーズル 433 マリエ 434 ユーリエ 435 オイゲーニエ 436 ベルタ 437 リースヒェン 438 オティーリエ 439 シュピース 440 トゥルクサ 441 バルビ 442 シシィ 443 メルケル 500 逸話 501 生い立ち 502 性格 503 学習 504 死 505 葬儀 506 職務 507 マネー 508 報酬 509 寄付 510 顕彰 511 信仰 512 友情 513 恋 514 噂 515 別れ 516 こだわり 517 癖 518 読書 519 リゾート 520 旅行 521 鉄道 522 散歩 523 食事 524 ワイン 525 タバコ 526 コーヒー 527 趣味 528 手紙 529 ジョーク 530 習慣 531 住居 532 恩人 533 指揮者 534 教師 535 暗譜 536 美術 537 ビール 550 楽友協会 551 ジンクアカデミー 552 ハンブルク女声合唱団 553 赤いハリネズミ 554 論争 555 出版社 556 初版 557 献呈 558 伝記 559 初演 560 校訂 571 ウィーン 572 ハンブルク 573 イシュル 574 トゥーン 575 デトモルト 576 ペルチャッハ 577 ライプチヒ 578 デュッセルドルフ 579 フランクフルト 580 ベルリン 581 アイゼナハ 582 リューベック 583 ニュルンベルク 590 イタリア 591 イギリス 592 チェコ 600 ブログMng 601 運営方針 602 自主規制 603 アクセス 604 検索 605 カテゴリー 606 記事備蓄 607 創立記念日 608 ブログパーツ 609 舞台裏 610 取材メモ 611 マッコークル 612 シュミーダー 613 一覧表 614 課題 615 カレンダリング 616 ゴール 617 キリ番アクセス 618 キリ番記事 630 記念 631 誕生日 632 命日 633 演奏会 634 正月 635 ヴァレンタイン 636 クリスマス 637 ブラームス忌 638 ブラスマス 639 クララ忌 641 愛鳥週間 642 ランキング 699 仮置き 700 思い 701 仮説 702 疑問 703 お叱り覚悟 704 発見 705 奇遇 706 区切り 707 モチベーション 708 演奏会 709 感謝 710 よろこび 711 譜読み 712 音楽史 720 日本史 721 日本人 722 日本語 723 短歌俳句 724 漢詩 725 三国志 727 映画 728 写譜 730 写真 731 数学 732 レッスン 733 ビートルズ 740 昔話 741 仲間 742 大学オケ 743 高校オケ 760 家族 761 父 762 母 763 妻 764 長男 765 長女 766 次女 767 恩師 768 孫 780 スポーツ 781 野球 782 駅伝 783 バスケットボール 784 サッカー 785 アントラーズ 786 バドミントン 790 コレクション 791 CD 792 ipod 793 楽譜 794 書籍 795 グッズ 796 愛器 797 職場のオケ 800 執筆の周辺 801 執筆の方針 802 ブラダス 803 校正 804 譜例 807 パソコン 808 ネット 809 ドボダス 810 ミンダス 820 出版の周辺 821 パートナー 822 契約 823 装丁 825 刊行記念日 840 販売の周辺 841 お買上げ 842 名刺 860 献本 861 ドイツ国立図書館
最近のコメント