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カテゴリー「171 ピアノ」の19件の記事

2021年9月 3日 (金)

連弾王

シューベルトを「裏ワルツ王 裏」と認定した勢いで続ける。作品全体を見渡して感じるのはピアノ連弾曲が多い。短い作品が多いが、数が多いのでCD5枚組になるかもしれない。

ブラームスが世に出たきっかけ「ハンガリア舞曲」はピアノ連弾だった。作品39の「ワルツ」もオリジナルは連弾用だ。管弦楽や4重奏以上の室内楽には連弾バージョンが存在するが、シューベルトはもっと多い印象。D番号順にざっと拾っておく。

  1. 幻想曲ト長調 D1
  2. 幻想曲ト短調 D9
  3. 幻想曲ハ短調 D48
  4. 6つのポロネーズ D599
  5. 3つの英雄的行進曲 D602
  6. ロンド ニ長調 D608
  7. ドイツ舞曲と2つのレントラー D618
  8. フランスの歌による8つの変奏曲 D624
  9. 序曲 ト短調 D668
  10. 序曲 ヘ長調 D675
  11. 3つの軍隊行進曲 D733
  12. グランデュオ D812
  13. 自作主題による変奏曲 D813
  14. 4つのレントラー D814
  15. ハンガリー風ディヴェルティスマン D818
  16. 6つの大行進曲 D819
  17. フランス風主題による変奏曲 D823
  18. 6つのポロネーズ D824
  19. 大葬送行進曲 D859
  20. 英雄的大行進曲 D885
  21. 子供の行進曲 D928
  22. ファンタジーヘ短調 D940
  23. アレグロイ短調 D947
  24. ロンドイ長調 D951
  25. アレグロモデラートとアンダンテ D968A
  26. 2つの性格的な行進曲 D968B

すごい量。シューベルトを「連弾王」とひそかに認定する。念のために申し添えると独唱者一人にピアノ連弾の伴奏というケースは一つもない。

 

2021年8月18日 (水)

伴奏は男か

フィッシャーディースカウ先生の著書で話題になった伴奏の大家ジェラルド・ムーア先生は男性だ。またディースカウ先生と組んで録音を残したピアニストの面々もみな男性だった。

どうも世の中のドイツリートのCDで伴奏を務めるのは男性ピアニストが多い気がする。何故だろう。室内楽の中のピアノパートには、山ほど女流ピアニストが出て来るし、ソリストだって同様だ。コンクールの入賞者あるいは音大のピアノ科の男女比を見れば女性優位ではないかとも思える。

ヘルムートドイチュ先生もご著書「伴奏の芸術」の中でこの点に疑問を提示しており、いくつか仮説も示しておられるが決定的ではない。ディースカウ先生は、この点については沈黙している。我が家のCDコレクションの中で女性が伴奏を務めるケースはたった1枚だ。店頭で歌曲のCDを選ぶとき、作曲家、演奏家をキーにする。伴奏者の性別は気にもしていない。それなのに結果として集まったCDに女性伴奏がほぼないのは、私のコレクションの偏向とは言えまい。録音でだけの現象なのだろうか。実際のリサイタルでは女性伴奏者も多いのだろうか。男性歌手も女性歌手も 伴奏者に男性を選ぶという現象が起きていると考えていいのだろうか。

世はなべて女子の時代だというのに不可解なことだ。

 

2021年8月17日 (火)

華麗なる伴奏者

ご自身の著書「シューベルトの歌曲をたどって」の中で、伴奏者ジェラルド・ムーアを絶賛している一方、実際の録音を見てみると、ジュラルド・ムーア先生ばかりでもないとすぐわかる。我が家にあるCDだけでも以下の通りだ。

  1. アルフレート・ブレンデル
  2. イエルク・デムス
  3. ウォルフガング・サヴァリッシュ
  4. カール・エンゲル
  5. クリストフ・エッシェンバッハ
  6. ダニエル・バレンボイム

ピアノソリストばかりか指揮者としても有名な人、いわゆる大物が惜しげもなく並ぶ。これはフィッシャーディースカウ先生自身が、超大物であることの反映だ。伴奏を務めることがピアノ奏者としても名誉であると考えられていそうだ。1899年生まれのジェラルド・ムーア先生はディースカウ先生にとっても先輩格だが、これらの面々はむしろ後輩にあたる。大歌手の名声が確立した後も、当代の名手と組むことで研鑽を怠らないということだろう。

 

 

 

2021年8月15日 (日)

ジェラルドムーア

フィッシャーディースカウ先生は大著「シューベルトの歌曲を辿って」の中で、シューベルトへの愛を隠していないが、同等な愛情が伴奏者であるジュラルド・ムーア先生にささげられている。1899年生まれで、1972年に同全集が完成されたときは73歳だったはずだ。彼の記述はわずか5行にとどまっているが、心酔ぶりは明らかだ。「紙幅が許せば、この人の記述に1章をささげるべきだ」「シューベルト歌曲全てについて伴奏経験がある世界で唯一の人物」という感動的な前置きに始まり、その演奏の特質を嬉々として列挙する。

  1. リズムの弾み
  2. レガート奏法の技術
  3. テキストへの感情移入

ジェラルド・ムーア先生の伴奏は我が家のささやかなCDのコレクションの中にあっても膨大な量で、相棒の歌手はディースカウ先生にとどまるものではない。

ブラームス歌曲の伴奏においても図抜けた存在だ。ディースカウ先生の掲げた上記の特質は、何もシューベルト演奏に限ったものではなく、ブラームスにおいても威力を発揮していると見るのが自然だ。

 

 

 

2020年9月27日 (日)

ハミング癖

今更グールドの話なんぞ、ネット上には溢れ返っている。グールドのCDは我が家にはかなり揃っている。バッハ中心にいろいろだ。作品解説の冊子には「グールド本人の歌やうなり声がはいっていますがご了承ください」という趣旨の注意書きがほぼ必ず添えられている。

確かに確かに、歌詞が無いから歌とは言うまいが、聞こえる。批判されることもあったが、どうにも止まらなかったらしい。最早名物の域だ。彼の演奏は素人の私に真似ることは出来ないが、ハミングのほうは何とか真似ることが出来るかもしれない。
ハミングの中で気に入っているのは「フーガの技法」だ。聞いてみると意外とと申してはなんだが美声だ。音程もはずれていない。ピアノの楽譜を見ながらこれを完全にまねて歌えたらそれなりに受けが取れるかもと練習している。よく聴くと、ときどき左右どちらの手も弾いていない旋律を歌っているようにも聞こえる。

 

 

2020年8月21日 (金)

インテルメッツォ組曲BACH

今度はピアノ独奏曲だ。それもインテルメッツォ縛りという制約付きである。ブラームスのピアノ小品インテルメッツォから主音が「BACH」なっているもの4つを選ぶというお遊び。

  • B インテルメッツォ変ロ短調op117-2
  • A インテルメッツォイ長調op118-2
  • C インテルメッツオハ長調op119-3
  • H インテルメッツォロ短調op119-1

我ながら完璧だ。長短2曲ずつ。Bが変ロ長調でなくて短調なところに意外性がある。Aは文句なしのテネラメンテだ。Cは「ソラソミ」のたき火。そしてHは「灰色の真珠」である。私的ベスト3がみな入っている。

 

2019年12月 9日 (月)

スクエアピアノ

18世紀から19世紀にかけて製造されたピアノ。床に平行な長方形を想像して欲しい。その一辺に鍵盤が据え付けられたようなものだ。現在のグランドピアノのような曲線の美しさは望むべくもないが、大きさは多少コンパクトになっている。

ある日切れ者が、鍵盤を除いた長方形部分を、床に垂直にすることを思いついた。つまりアップライトピアノだ。空間の効率がさらに高められたことにより、スクエアピアノは市場から姿を消した。

ブラームスはハンブルク時代に、ハンブルクのメーカーのスクエアピアノに接していた。1854年には、その響きが気に入っている旨の手紙をクララに送ったこともある。時期的にはギリギリの辻褄だ。19世紀半ばにはスクエアピアノはほぼその流行を追えたと評価されているからだ。

2019年11月29日 (金)

BWV540

1862年11月29日ウィーン。ブラームスが本格的にウィーンに進出して最初のリサイタルのあった日。初めてウィーンの聴衆に聴かせるためにブラームスはバッハを選択する。それがオルガンのためのトッカータとフーガヘ長調BWV540より前奏曲だ。もちろんブラームスはピアノを弾いた。自らがピアノ独奏用に編曲した。楽譜をお持ちの人は是ご覧いただきたい。この作品冒頭から55小節間、主音「F」が低いところで鳴り続ける。オルガンで言うところの「ペダル音」だ。その上に右手を左手が2小節遅れて追いかけるカノンになっている。オルガンならばペダル踏みっぱしで済むのだが、それをピアノに編曲するとどうなるのだろうと、大きなお世話をしたくなる。

困ったことに、この編曲、現存していない。

2019年9月18日 (水)

とんとご無沙汰

準備期間を含めておよそ3年バロック音楽にどっぷりとつかってきた。だからだと思う。このところピアノ音楽から遠ざかっている。ことバロック音楽に的を絞る限りいたしかたない。

ロマン派作曲家たちによるバロック作品のピアノ編曲くらいしか接点がない。

クララ特集はピアノてんこもりなので、気持ちの切り替えが必要だ。

 

 

2018年6月23日 (土)

予期せぬ到来

ゴールドベルク変奏曲や、平均律クラヴィーア曲集はバッハさんのクラヴィーア作品の中での格別な位置づけにある。両者の冒頭はあまりにも名高い。演奏会にしろCDにしろ、これらを聴こうとすると最初に耳に飛び込んでくる旋律には、とりわけ心が研ぎ澄まされる。ゴールドベルク変奏曲なら「アリア」、平均律クラヴィーア曲集なら「ハ長調プレリュード」だ。

ところが、ところが、アンナ・マグダレーナバッハの音楽帖にもこの2曲は収載されている。CDで再生する場合、先頭には来ない。小曲がさんざん演奏された後、不意にアリアやプレリュードが流れ出す。

虚を突かれた感じで、新鮮だ。成立の順序を思うとき、今ではあまりに有名な両曲も、音楽帖に収められている他の小品と同じ位置づけから始まったのだと思う。

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