コントラバスの楔
中学時代にのめりこんだ運命交響曲の話。
聴きこみ始めてしばらくは第1楽章が興味の中心だった。やがて第4楽章の壮麗な勝利の賛歌にはまるというあるあるの手順を踏みはした。高校に入るくらいから、第2楽章にひかれた。大学に入ってヴィオラを弾くようになってそれは決定的になった。「出番がおいしい」という一点だ。スコアを参照しながらの鑑賞が日常になり、はじめは第一ヴァイオリンばかり目で追っていたものが、やがてスコアの下の方、つまりヴィオラを含む低弦の動きに引き込まれた。
本日はそれを象徴する場所。運命交響曲の第2楽章の31小節の2拍目という悠長な説明では、歯がゆいので画像で。
楽章中初めてフォルテシモが現れた直後、チェロとコントラバスのユニゾンだ。1拍目で全楽器がハ長調の主和音を鳴らした後に、チェロバスが楔を打ち込む。これをソロと言っていいのかわからぬが、やけにかっこいいと思った。
運命動機よりもこちらの方がベートーヴェンという感じ。
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