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カテゴリー「186 チェンバロ」の7件の記事

2022年5月31日 (火)

パルティータの初期稿

バッハのクラヴィーア作品パルティータ6曲のうちイ短調BWV827とホ短調BWV830には、「アンナマグダレーナバッハの音楽帖」の中に初期稿が存在する。

まずはイ短調BWV827だ。

<BWV827>

  1. Fantsia
  2. Allemande
  3. Corrente
  4. Sarabanda
  5. Burleska
  6. Scherzo
  7. Gigue

<初期稿>

  1. Preludo
  2. Allemande
  3. Corrente
  4. Sarabanda
  5. Menuetto
  6. Gigue

第一曲がファンタジアに差し替えられ、スケルツォやブルレスケが付加されている。しかしながら「アルンマンデ」「クーラント」「サラバンド」がこの順に連続し、かつ「ジーク」がフィナーレに来るという「フローベルガーの定義」はどちらも満たしている。

次にホ短調BWV830。

<BWV830>

  1. Toccata
  2. Allemande
  3. Corrente
  4. Air
  5. Sarabanda
  6. Tempo di Gavotta
  7. Gigue

<初期稿>

  1. Prelude
  2. Allemande
  3. Corrente
  4. Sarabande
  5. Tempo di Gavotta
  6. Gigue

初期稿になかった「Air」が「コレンテ」と「サラバンド」の間に挿入されたものだから、「フローベルガーの定義」から逸脱してしまっている。本ブログでの統計はBWV830を逸脱扱いでカウントしているけれど、元々は定義を遵守していたということだ。

 

 

 

 

2019年9月18日 (水)

とんとご無沙汰

準備期間を含めておよそ3年バロック音楽にどっぷりとつかってきた。だからだと思う。このところピアノ音楽から遠ざかっている。ことバロック音楽に的を絞る限りいたしかたない。

ロマン派作曲家たちによるバロック作品のピアノ編曲くらいしか接点がない。

クララ特集はピアノてんこもりなので、気持ちの切り替えが必要だ。

 

 

2019年8月12日 (月)

ニ短調ソナタBWV964

チェンバロ用のソナタだがこれは編曲物だ。オリジナルは無伴奏ヴァイオリンのためのソナタイ短調BWV1003である。編曲にあたり5度低いニ短調に移調されている。BWVナンバーが付与されてはいるもののバッハ本人の編曲ではないとする説もあるらしい。

まあでも楽しい。興味深いことに第二楽章のフーガにはオリジナルにないオブリガートが付加されているように聞こえる。ロマン派時代の編曲に比べて違和感なくしっとりと入り込んでくる。

2019年7月 6日 (土)

アンドレアス・シュタイアー

ドイツのチェンバリスト。素晴らしいCDに巡り合って感謝するばかりである。

バッハの作品番号BWV960番台には興味深い作品が並んでいる。一言で申せば編曲ソナタとでも称すべき他の作曲家の作品をバッハがチェンバロ用に編曲した作品群だ。コンチェルトは970番台になっている。BWV971のイタリア協奏曲の知名度に及ばぬものの、侮れぬ作品が並ぶシュタイアーさんのCDは、かゆいところに手が届く選曲になっている。

ラインケンの「音楽の園」から11曲をバッハがチェンバロ用に編曲したBWV954、965、966が本当に貴重だ。キリリキビキビの爽快感が素晴らしい。けしてメジャーとは言えないラインケンの室内楽が無理なくしみ込んでくる。オリジナルを聴きたくなる。

メインはBWV964なのだろう。これは無伴奏ヴァイオリンのためのソナタイ短調BWV1003のバッハ本人によるチェンバロ編曲だ。無伴奏ヴァイオリン版とは全く別の趣きながらしみじみとした味わいがある。ヴァイオリンで聴く時の超絶技巧感は影を潜める。ヴァイオリンが3音以上の重音を鳴らそうと試みる際不可欠な間が発生しない分、音楽の流れがピュアになる感じがする。特に第3曲のしみじみとした味わいは特筆ものだ。極上のインテルメッツォを聴かされている気になる。

そしてBWV968だ。これも無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番ハ長調をバッハ本人がチェンバロに編曲したものなのだが、なんと第1曲だけが編曲の対象だ。他の楽章が残されていない原因は不明だが、そりゃ殺生だ。拷問に近い。シュタイアーさんはその空気を読んで第2曲以降をみずから編曲して演奏してくれている。全く違和感のない出来映えで感心する。

2019年4月10日 (水)

テレマン鍵盤楽器作品全集

折角ブラームスがオルガン用コラール前奏曲を残してくれたのだから、それらをバロックの先輩作曲家たちの作品と比較したくてCDを集めている。

作曲家兼オルガン奏者という位置づけにある人たち、バッハ、パッヘルベル、ブクステフーデとオルガン作品全集が集まり、ブックレットから情報を吸い上げている。このほどテレマンにありついた。ご承知の通りテレマンは多作家で、ありとあらゆる楽器を用いて膨大な数の作品を残しているのだが、世の中に流布するCDとしては、相対的にオルガンやチェンバロ用の独奏作品は手薄だが、鍵盤楽器独奏作品全集を入手した。チェンバロとオルガン用独奏作品が網羅されて5枚組だ。

20180126_113328

特にオルガンだ。音色の使い方がバッハとは違う。リコーダーが入ってるかと思ったりトランペット風だと感じたりいろいろ多彩だ。オルガン特有の壮大感、音圧という部分はあまり強調されない。その点、バッハ、パッヘルベル、ブクステフーデなどの教会専属のオルガニストたちとはまた感じが違う。テレマン独特のタッチとでも申すべきなのだがちっとも伝わるまい。コラールベースの作品の場合、コラールの旋律を中音域ではっきりと示す一方で、細かで特徴ある音形リズムパターンで主旋律を刺しゅうするかのようだ。フーガなどオルガン自由曲は、文字通り相当自由で、1曲の短さが目立つ。

久々のよい買い物。

 

 

2018年6月23日 (土)

予期せぬ到来

ゴールドベルク変奏曲や、平均律クラヴィーア曲集はバッハさんのクラヴィーア作品の中での格別な位置づけにある。両者の冒頭はあまりにも名高い。演奏会にしろCDにしろ、これらを聴こうとすると最初に耳に飛び込んでくる旋律には、とりわけ心が研ぎ澄まされる。ゴールドベルク変奏曲なら「アリア」、平均律クラヴィーア曲集なら「ハ長調プレリュード」だ。

ところが、ところが、アンナ・マグダレーナバッハの音楽帖にもこの2曲は収載されている。CDで再生する場合、先頭には来ない。小曲がさんざん演奏された後、不意にアリアやプレリュードが流れ出す。

虚を突かれた感じで、新鮮だ。成立の順序を思うとき、今ではあまりに有名な両曲も、音楽帖に収められている他の小品と同じ位置づけから始まったのだと思う。

2018年6月20日 (水)

それらしい楽譜

「アンアマグダレーナの楽譜帖」のCDについて昨日述べた。楽譜を見ながら聴きたい性分の私は楽譜も持っている。ピアノ初心者用に、国内の出版社刊行の見やすくて体裁のいい楽譜が安価で出てはいるのだが、私の愛用は下記ペーター版。

20180328_121140
そこはやはり表紙に、デコッた感じのドイツ語が踊っている方が感じが出る。しかも横長なので「音楽帖」っぽい。

開くともっと楽しいのはCDと同じだ。

20180328_121200
パルティータやフランス組曲などと重複する作品は、「そっちを見てね」とばかりに収載を見送っている。だから、楽譜をめくると最初にいきなり「3」になる。ぎょっとするのだが、理由がわかるとかえって好感がもてる。

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