バッハの6曲
「シュープラーコラール」と通称される一連のオルガン作品がある。BWVで申せば645から650までの6曲を指す。出版譜には次のように書かれている。
「2つの手鍵盤と足鍵盤を持つオルガンで前奏するためのいろいろな種類の6つのコラール」
出版人は「テューリンゲンの森の近くのツェラのヨハン・ゲオルグ・シュプラー」とある。だからこれらが「シュプラーコラール」といわれているということだ。1746年以降という事以外出版年はわかっていない。作曲年は不明だが、6つのうち5曲までが、カンタータの単一楽曲からの編曲になっている。残る1曲BWV646も実は現存しないカンタータからの編曲とする説もある。バッハ在世時にすでに人気が出てきた楽曲を作曲者自身が手際よくオルガン独奏曲に仕上げたとも受け取れる。楽譜の売れ行きを考慮したマーケティングのたまものとするなら、出版人シュープラーはなかなかのやり手ということになる。
さてその6曲は以下の通り。
- BWV645 「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」BWV140の第4曲
- BWV646 「我いずこにのがれゆくべき」原曲不詳
- BWV647 「尊き御神の統べしらすままにまつろい」BWV93の第4曲
- BWV648 「わが心主をあがめ」BWV10の第5曲
- BWV649 「我らとともに留まりたまえ」BWV60の第3曲。
- BWV650 「イエスよ、今ぞ汝御空より降り来たりて」BWV132の第2曲
BWV10は昨日話題にしたばかりだ。原曲の出所が確かな5曲はリヒター先生のカンタータ選集にも全て入っている。バッハ在世当時の「人気楽曲」だとしても不思議ではない。
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