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カテゴリー「190 鍵盤楽器」の15件の記事

2020年9月15日 (火)

トッカータ

即興的な小品を意味する「トッカータ」は、バッハの初期鍵盤作品として知られている。BWV番号で申せば910から916までの7曲である。何かにつけ例外のト長調BWV916を除いて、序奏→フーガ→間奏→フーガという枠組みになっている。音楽之友社刊行の作曲家別名曲解説ライブラリー「バッハ」には、これら7曲は収録されていない。嬰へ短調BWV910以外には、自筆譜が残っておらず、他者の写譜が頼りの危うさが名曲扱いされていない原因なのかもと勘繰るばかりだが、どうしてどうしてこれが相当楽しめる。

  1. BWV910 嬰へ短調
  2. BWV911 ハ短調
  3. BWV912 ニ長調
  4. BWV913 ニ短調
  5. BWV914 ホ短調
  6. BWV915 ト短調
  7. BWV916 ト長調
最後の7番ト長調だけが3楽章制を採る。写本によっては「コンチェルト」とタイトリングされているものもあり、様式的にも浮いた存在になっているらしい。
諸賢はお気づきだろう。この7番を何かの拍子に紛れ込んだ異端だとするなら、真のトッカータは6曲になる。偶然と笑い飛ばす度量は持ち合わせていない。バッハにとっての常用調、インヴェンションとシンフォニアを構成する15の調に含まれない嬰へ短調が一際目を引く。、

 

 

2020年8月31日 (月)

オーボエもあり

バッハのチェンバロ協奏曲は、何らかの独奏楽器のための協奏曲を元にバッハ自身が独奏楽器をチェンバロとして編曲したもの。編曲元のコンチェルトにおいて、何が独奏楽器だったかは議論の対象になってきた。

チェンバロ協奏曲ヘ短調BWV1056は、チェンバロのほかピアノ、ヴァイオリンを独奏楽器とするCDを持っていたが、このほどオーボエ盤にありついた。

いやはやこれがあたりだった。特に恋するガリアで名高い第2楽章はオーボエで演奏されてみると絶品である。

 

 

 

 

2020年8月30日 (日)

恋するガリア

1966年のフランス映画のタイトル。作中バッハのチェンバロ協奏曲第5番ヘ短調BWV1056の第2楽章が用いられる。映画音楽に凝っていた父のレコードで聴いたのが中学生のころだった。今、しみじみと思い返すと生まれて最初のバッハ体験なのだと思う。えらい曲から入ったものだ。

つくづくロマン的だと思う。忘れられていたバッハの復興そのものがロマン派真っただ中の19世紀後半だから、ロマン的解釈のバッハなど珍しくもなく、ましてや当時まだ古楽ブームの到来前だから、そう感じるのも無理からぬ話ではある。

今でも複数のCDが手元にある。演奏年、ソリスト、独奏楽器の順に列挙する。

  1. 1958年 グレン・グールド/pf
  2. 1985年 サルヴァトーレ・アッカルド/Vn
  3. 1989年 アンドラーシュ・シフ/pf
  4. 1995年 ヴィクトリア・ムローヴァ/Vn
  5. 1999年 ファビオ・ビオンディ/Vn
  6. 2002年 シュテファニー・ヘーゲレ/Ob
  7. 2010年 ラモン・オルテガ・クエーロ/Ob
  8. 2013年 アンドリウス・プスクニギス/Ob
  9. 2013年 ジュリアーノ・カルミニョーラ/Vn
  10. 2016年 ジャン・ロンドー/Cem

BWV1056は、バッハ本人による何らかの楽器のための協奏曲を、自分でチェンバロ独奏のコンチェルトに編曲した作品だ。オリジナルはヴァイオリン協奏曲だったとする説が有力だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年8月29日 (土)

奇跡のラルゴ

グールド御免の記事連発。今度は協奏曲第5番ヘ短調の話題。例によってまたまた緩徐楽章。

バッハのピアノ協奏曲は元々あった何等かの楽器による協奏曲の焼き直しだということは何度も申し上げてきた。この5番もそうだ。ところが5番は嬉しい例外だ。原曲ト短調ヴァイオリン協奏曲をチェンバロ協奏曲に転写するにあたり、第二楽章だけはオリジナルが破棄され、差し替えられたといわれている。唯一のチェンバロ独奏オリジナルだ。
変イ長調ラルゴが新たに添えられた。ごくごく最後以外、伴奏に回る弦楽器たちはピチカートで控えめに刻む中、あり得ぬほど繊細な旋律が流される。グールド最高という瞬間が連続する。わずか21小節の至福のときだ。この楽章にハミングを入れないのもまた1つの見識だろう。

2020年8月28日 (金)

ハミング最高峰

またまたグールド。

バッハのピアノ協奏曲第4番イ長調の第二楽章のことだ。嬰へ短調8分の12拍子の緩徐楽章なのだが、グールド名物のハミングが貴重だ。彼のハミングの中では、タイミング、節回し、必然性が高い次元で揃っている。グールドの中でハミングするしないの脳内基準があったはずだが、おそらく無意識なのだろう。

2020年8月27日 (木)

チェンバロあらためピアノ

時折「バッハがピアノのために作った作品はない」などという指摘が見られる。今普通に接しているピアノが出現するのは19世紀だから、バッハはすでにこの世にいなかったからだ。バッハの時代の鍵盤楽器はチェンバロだ。クラヴィコードもあった。でも断じてピアノはない。

だからというわけではないが、我が家のCDコレクションはチェンバロが多い。特にブランデンブルク協奏曲の5番などはピアノで弾かれたら感じが出ないと思っていた。そうした認識の例外がグールドだ。
何故かグールドだけはすっと入ってきた。独奏曲はもちろんヴァイオリンやガンバとのアンサンブルだってなんだかなじめた。
とりわけピアノ協奏曲だ。原曲は何らかの独奏楽器による協奏曲をチェンバロ用に編曲したものだ。ヴァイオリン協奏曲ホ長調からの転写3番ニ長調、同イ短調からの7番ト短調は、ヴァイオリン協奏曲の形で何度も聴いているから、ピアノ独奏への転写っぷりが楽しみの一つになっている。ヴァイオリン1本の独奏では聞こえてこなかったオブリガートが鮮明に浮きあがることが珍しくない。

 

2019年8月14日 (水)

チェンバロでシャコンヌ

バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番のフィナーレに置かれたシャコンヌは、ヴァイオリニスト以外の演奏家の心を揺さぶるのか、ヴァイオリン以外の楽器で演奏されたCDも数多く見かける。チェロ版、ヴィオラ版などの弦楽器はもちろんだが、ピアノ版や管弦楽版だってポピュラーだ。バッハが後期バロックつまりチェンバロの全盛期を過ごした巨匠であることを思うときチェンバロ版にはそこはかとない説得力を感じている。我が家所有のチェンバロ版シャコンヌのCDを録音年順に列挙する。

  1. 1975年 グスタフ・レオンハルト 
  2. 1993年 スキップ・ゼンペ
  3. 2004年 曽根麻矢子
  4. 2014年 ジャン・ロンドー
バランスよく年代がばらけている。レオンハルトだけがト短調に移調されている。またレオンハルトはパルティータ全曲が収録さている。バッハのオリジナルにはところどころ、和音だけが記載されてアルペジオの形態は演奏者に負かされている部分がある。そこでは演奏者はつまり編曲者になる。聞き比べは大変興味深い。ましてや最新のロンドーはブラームス編曲版を弾いてくれている貴重版だ。

 

2019年8月13日 (火)

いやはや貴重

ブラームスがバッハのシャコンヌを左手ピアノ用に編曲してクララに捧げた話はよく知られている。CDも数多く出回っていて、そのうち5種類ほど持っているのだが、バッハが後期バロックのチェンバロ全盛期の作曲家であることを考えると、チェンバロ版も悪くないと思っていたこのほどめでたく入手した。

ジャンロンドーという演奏家が2014年に録音していた。
我が家所有のチェンバロ版3種と比較するとありがたみが身にしみる。バッハは時に和音だけを楽譜上に記して、アルペジオへの転写は演奏家任せとする場合がある。そこでは演奏者はつまり編曲者になる。ブラームス版はそうしたアルペジオ解釈もろとも楽譜に記されているから、演奏家はそれを音にするだけだ。
左手使用にこだわり右手の参加を封じたブラームス版最大の特徴は、原曲と同じニ短調を踏襲しながら、左手用にとばかりに音域をオクターブ下げている。最初の和音が打ち鳴らされた瞬間、その音の低さが腹の底に響く。ライナーノートには必要に応じて右手も使っていると断りが入れてある。正直というか良心的というか、好感が持てる。聞いていてもどこで右手を使っているかはさっぱり判らないとだけ告白しておく。

 

 

 

2019年3月 8日 (金)

アポロンの六弦琴

オリジナルは「Hexachordum Apollinis」と綴るパッヘルベルのチェンバロ作品の代表作。ただただ可憐だ。

とくに第6番がいい。

なんと、この作品はブクステフーデに捧げられている。

2018年6月22日 (金)

furとder

アンナマグダレーナの音楽帖の愛聴盤を紹介した。

20180327_091258

「Notenbuechlein der Anna Magdarena Bach」となっている。変だ。

愛用の楽譜と比較する。

20180328_121140_2

「Notenbuechlein fuer Anna Magdarena Bach」となっている。ウィキは「fuer」だ。これだと「のための」と訳したくなる。バッハが愛妻のためにという雰囲気を邪魔しない。「der」だと「軽い所有」のイメージ。筆写者ないし作者がマグダレーナである感じがしてくる。単なる誤植とは思いたくないのだが。

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