アルトをどうする
話せば長い。カール・リヒター先生のバッハ・カンタータ選集全75曲を聴いていると、起用する独唱歌手の序列が鮮明に浮かび上がる。バスのディースカウ先生を筆頭に、テノールはペーター・シュライヤー先生だし、ソプラノはエディット・マティス先生だ。これら3名は出番の数で同声種の他の歌手たちを圧倒する数になっているし、有名作品には必ずありつけている。
ところがアルトは事情が違う。
- ヘルタ・テッパー
- アンナ・レイノルズ
- トゥルネリーゼ・シュミット
- ユリア・ハマリ
上記4名だ。出番の数でいうならアンナ・レイノルズが最多ではあるのだが、私の好みはユリア・ハマリだったりする。どうしたものかと思案するうちにこまったのが昨日話題にしたBWV170だ。大好きな作品なのだが三位一体節後第6日曜日用にリヒター先生が採用したのはBWV9であって、このBWV170は落選している。実はこれがアルト独唱カンタータとして脳内最高位にある。リヒター先生がこの曲の独唱に誰を起用するかで、序列がわかるのだが、選集から落選しているために煙に巻かれている。
代わりに愛聴するのがグッドマン盤。ハノーヴァーバンドの演奏でアルト独唱はナタリー・シュトゥッツマンだ。さすがの一言。
まさかとは思うがリヒター先生、適役がいなかったからBWV170の収録を見送ったなどいうことはあるまいな。もし収録されていれば、冒頭のオーボエダモーレはマンフレート・クレメント先生が吹いていたに決まっている。
もはや拷問。
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