困った問題
ブラームス専用の音楽用語辞典は、著者の目から見ても困った問題を抱えている。
一つは、この執筆を通じて何らかの傾向が読み取れたとしても、他の作曲家で同じ分析をしてみない限り、「ブラームスの特質だ」とまで断言は出来ないことである。残念ながら私自身はブラームス以外の作曲家で同じことをトライする気にはなれない。一通り楽譜をそろえるだけで膨大なお金と時間がかかってしまう。時間と金ならばまだ良いほうで、意欲が全く湧かない。それが父や神童や楽聖であってもである。
ニつめは、楽譜の版の問題だ。ブラームスの意思がキッチリと反映した楽譜を参照しながらデータベースを作れるかどうかである。世の中に流布している楽譜がブラームスの意図をキッチリと反映されているとは限らない。我が家にある楽譜は、多分玉石混交だろう。
複数の楽譜を所有している作品についてはそれらをよく比較することにした。出来るのはここまでだ。我が家の楽譜が校訂者の意図で塗り固められていない楽譜であることを祈るばかりである。悲観ばかりしている訳ではない。仮に校訂者の意図が相当量混じった楽譜だった場合、どうなるか?少なくとも校訂者の癖にはたどり着けることになる。よく考えるとそれも重要なことだ。将来、ブラームスの意図と校訂者の意図を見分ける手法の確立に発展する可能性も無いとはいえまい。
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