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2005年7月 6日 (水)

標題機能

ブラームスの発想記号が持つ機能の一つ。一部のダイナミクス指示語にも認められる。本人の預かり知るところではない可能性も多々ある。私の仮説に基づく用語。

絶対音楽と標題音楽の対置は、ブラームス関連の書物の中にしばしば登場する。いわく「ブラームスは絶対音楽側の首領で」云々の記述がにぎやかである。つまり名目上ブラームスの音楽は標題音楽の対極にある存在とされているのだ。一般的な意味の標題音楽からみればその通りなのだと思うが、しばし待って欲しいというのが私の立場である。

自作の内容を文学的手段によって訴えることをしなかったブラームスではあるが、作品の冒頭に付与された発想記号の多彩さ繊細さは、群を抜いている。しばしばそれらの発想記号が雄弁に作品のニュアンスを縁取っていると思われる。用いられた単語それ自体は珍しいというわけではないが、微調整語を縦横に駆使して醸し出される微妙さはブラームスならではの世界であろう。提示と再現では微妙に色合いを変えるニュアンスの翳りまで鑑賞の対象であるかのようだ。

ブラームスの楽語は、事実上標題機能を獲得しているのではないか?交響詩に代表される標題音楽が隆盛を極める中、空前の方法で事実上標題音楽を志向していたのではなかろうか?生涯に一度きりという発想記号にしばしば行き当たる時、ブラームスのそうした意図を感じざるを得ない。

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