カバーデザイン
コスト削減のため、完全版下の提供という路線を邁進した私だったが、校正だけはその道のプロフェッショナルに任せたということを以前に書いた。それがとてつもなく賢明な判断だったことも述べた。だが、プロフェッショナルに任せたのは校正だけではなかった。「本の表紙」、「カバーデザイン」、それから表紙を1ページめくったところにある「本扉」この3つのデザインもまたプロフェッショナルの手に委ねた。
元々出版社選びの過程で、まだ原稿も出来上がらぬうちに表紙の案をいくつか提示いただいたことが、出版社決定のファクターの一つになった。こうしたもろもろのデザインは装丁と呼ばれ、独特の領域を形成しているらしい。デザイナー、イラストレーター、画家のどれとも微妙に違う感性が求められるという。本の内容や主張を鋭敏に反映し、題名、著者名、出版社名の記載を必須事項として折込み、書店で目立ち、読者の目に留まり、思わず手に取る欲求を起こさせ、以下きりがないくらいの使命を帯びている。
打ち合わせを繰り返す中、いくつか案の提示を受けた。カバーも表紙も本扉もブラウンが基調にすえられたデザインだった。これには心底驚かされた。実は私は大のブラウン好きなのだ。一番好きな色はブラウンである。自分でネクタイを選ぶといつもブラウン系になってしまう。もっというと個人的にはブラームスのイメージカラーはブラウンだと思っている。本ブログもご覧の通りブラウンだし、作成した名刺もブラウン基調である。しかし、打ち合わせの過程では、こうしたブラウン志向には一切言及しなかったにもかかわらず、いろいろなデザインがブラウン基調というのには恐れ入った。何回かネクタイをして打ち合わせたかもしれないが。。。。
この本の装丁をしてくださったのは、実は出版社の社長だ。出版社の社長でありながら、実は装丁が本職だというのは、後から聞いた話だ。さらにいうとパソコンを使用した絵で個展が開けるくらいのアーティストでもあるのだ。出版社選びの決めては、ご近所の縁とお人柄なのだが、これは嬉しい裏ドラである。決めてしまった後で判った話である。
その個展が今日から銀座の画廊で開かれるという。私の本の装丁の秘密にじかに触れるチャンスなので、訪ねてみたいと思う。
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