寿室内管弦楽団
今は亡き妻との結婚式の二次会は、今思い返しても、イベントであった。
通常の披露宴から会場を移して行われたのは、演奏会だったのだ。新郎はヴィオラ弾きだし、新婦は第二ヴァイオリンだった。2つのヴァイオリンを左右両翼に配置したため、ヴィオラのトップ奏者と第二ヴァイオリンのトップサイドは隣り合わせに弾いたのだ。小さなホールのステージを埋め尽くすばかりに並んでいるのは、寿室内管弦楽団と称された寄せ集めのオーケストラだ。新郎新婦の友人たちによって結成された70名である。このときの演目はたった一曲だ。すなわちブラームスの第四交響曲である。新郎であった私がステージから媒酌人と両親を紹介して、曲の経緯を述べたあと、アッという間にブラームスが始まり約45分で終わる。入場無料の二次会も珍しいし、45分も珍しい。
今日、そのとき指揮をしてくれた友人に「ブラームスの辞書」を一冊差し上げてきた。学校の先生をしているが、指揮も只者ではない。あのときのブラームスは、いまだに我が家では宝物である。所望に答えてopus73つまり第二交響曲を差し上げた。彼もまたはずせない献呈先である。
あのときのメンバーは千葉大学管弦楽団OBの名手たちが駆けつけてくれたものだ。マニアもそこそこ混じっていた。結婚式の二次会にブラームスの交響曲やっちゃったりしないでしょ、ふつう。あのときは音楽の三要素がキッチリそろっていた。「メンツ」「曲」「気合」である。「旋律」「リズム」「和音」ではないのであしからず。1990年11月25日ルーテル市谷センターであった。私にとってはクライバーもフルトベングラーもかなわない宝物である。
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