animatoの謎
通例「いきいきと」と解されるメジャーな音楽用語。トップ系には現れにくい。
実演奏上の処理としては「その場からいくらかのテンポアップ」とされることが多い。元来はテンポアップそのものが目的ではなかったと見られる。曲の内容によって「切実に」「切迫して」のようにニュアンスを変えることは言うまでも無い。
テンポが変わった後、元のテンポに復する指図としてブラームスは「a tempo」「in tempo」の2つを使い分けている。使い分けの基準自体が謎で、用例の分析だけでは傾向がつかめない。テンポリセットの元となっているテンポの変動の引き金を引くのは「accelerando」「stringendo」だったり「ritardando」「sostenuto」だったりさまざまだが、不思議と「animato」は無い。「animato」で速まったテンポを復旧する意味の「a tempo」「in tempo」が見つからないのだ。元々テンポアップを直接志向する指図ではないからなのだろうが、それなら「stringendo」や「sostenuto」だって同じようなものだと思うが、「animato」の特別扱いが妙に気になる。
op46でぱったりと使用が途絶える「accelerando」と入れ替わりに、つまりop43あたりから使用の頻度が増加するのも見逃せない。
ディープな話題である。
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