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2005年8月25日 (木)

夏合宿

8月の最終週になると夏合宿を思い出す。大学オーケストラの恒例行事だった。

一年生の弦楽器の初心者にとって、冬のデビュウ演奏会に向けたスタートラインとなる。夏休みに入る前にパート譜が配られる。夏合宿までにキチンと個人練習をしておかねばならない。配られたのは、ブラームスの第二交響曲の楽譜だ。何せあのころは時間があった。毎日3時間は練習できた。夏休みの部室でひたすら個人練習だ。パート譜はすぐに指番号だらけになる。スコアを買い求めてレコードを聴いて全体の感じをつかむのも重要な練習である。

それで夏合宿に突入となる。1978年8月場所は群馬県の北軽井沢だった。6泊7日の合宿だ。6時起床で朝練。朝食後は昼飯まで練習。午後は14時から17時まで練習。夕食&入浴タイムを挟んで19時から21時まで練習。そこからコンパだ。初日と最終日にオフィシャル大コンパがある。ほぼ毎日この繰り返しとなる。練習の内容はパート練習だったり、弦楽器の練習だったり、全体練習だったりさまざまだ。最終日の午後に室内楽演奏会があったりもする。一年生の初心者の弦楽器奏者ばかり集めたアンサンブルは恒例になっている。私のときはヘンデルのハープ協奏曲だった。

大抵の初心者は楽器を始めて3ケ月という状態である。私の場合この合宿中に初めて左手の人差し指の指先が切れた。弦を押える部分である。毎日7時間は楽器に触っている。

この一週間、OBやトレーナーの先生や、他のパートの先輩ととことんコミュニケーションを深めることが出来る。そして何より一週間ブラームス漬けになるのだ。そしてヴィオラの仲間とはほぼ寝食をともにする状態が続く。つまり「ブラームスの辞書」のエッセンスが図らずも凝縮されていたことになる。4年間で4回経験する夏合宿は、それぞれの学年で意味が違う。1年には1年の、4年には4年の意味合いがある。自分を定点観測するポイントでさえあるのだ。

忘れてはならないのは、友情だ。現在もなお交友が続く仲間とこのとき真に打ち解けることが出来た。そして当時もっともっと大事だったのは、恋だ。これには個人差がある。でも少なくとも私ら男にとっては、大きな声じゃいえない目的の一つだ。

あの夏から全てが始まった。

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