献本行脚③
大阪への出張にかこつけて、どうしてもはずせない献本を決行した。
仕事を終えてホテルにチェックインした後、いそいそと向かったのは吹田市文化会館、通称「メイシアター」である。ここの練習室で吹田市交響楽団が練習している。23年前、入社後いきなり転勤となった大阪で、取るものとりあえず飛び込んだ市民オケである。四国へ転勤するまでの3年間を過ごしたオケだ。今回の献本相手はそこのオケの常任指揮者だ。驚くなかれ大阪音楽大学のピアノ科の教授である。もちろん私が所属していた頃は、教授ではなかった。相当なブラームス好きなのだ。
練習場所に乗り込めばきっと会えるという目論見はあたった。練習室の前でいきなり「おお久しぶり」と言って握手を求めてきた。覚えていてくれた。ガッチリ握手だ。20年ぶりだぜ。「今度ブラームスについての本を出しまして」と切り出して「先生に一冊差し上げたい」いうと、どれどれと言ってパラパラとページをめくって内容を確認。「これホンマに書いたの?」と聞き返すしぐさが、昔のまんま。「もちろん、ブラームス好きですから」と応酬。注目の通し番号の希望をお聞きしたところ「op117」というお答え!!!「ピアノのための3つのインテルメッツォ」だ。う~んさすがにお目が高い。「これ20年かかったろ?」は私だけにわかる最高の褒め言葉である。
そうこうしているうちに20年前の仲間が何人か集まってきた。「お~」の連発である。いやいや懐かしい。青春の1ページである。しばし昔話に花が咲いた。
音楽大学のピアノ科の教授なんぞにチョクで話が出来るなんて夢みたいだ。でも彼は気さくだ。20年前とまったく変わらない。再会をこころから喜んでくれた。調子に乗ってもう一つお願いをしてしまった。大阪音楽大学の図書館に納本が出来ないだろうか?先生からこれを図書館に寄贈できないだろうか?と。。。なんとOKという即答だ。図書館用に別番号を振った本をもう一冊取り出してお渡しした。「いいよ僕が届けておくよ。この本凄いからな。」さっきパラパラとめくっただけなのに、何で凄いと判るのだろう。このノリ、このテンポ、昔のままである。
ありがとう、米山先生。ありがとう、吹田市交響楽団。
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