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2005年9月18日 (日)

のだめの中のブラームス⑦

第七巻。90ページをご参照願いたい。上半分に堂々たるブラームス第一交響曲の楽譜が配されている。「R☆Sオケ」デビュウ演奏会メインプログラムの決定のシーンである。「Sオケでシュトレーゼマンに途中で取り上げられた曲」という説明が何やらふさいだ表情の千秋にかぶっている。がしかし、続く91ページで木村君がこのチョイスに同意している。同意の理由には「バランスがいい」「千秋くんらしい」という2点を挙げている。それにしても木村君は13巻でヴァイオリンのエキストラに変装した千秋くんと確かに似ている。メガネとポマード程度で似てしまうのだから、この2人の顔の造作の基礎が似ているであろう。また94ページで佐久間さんがこのチョイスを「メジャーどころできたね」「千秋君て自信家だね」「楽しみだな君たちのブラームス」と評価している。これらを総合すると「ブラームス第一交響曲が千秋には相応しい」と評価されているようだ。肝心の千秋は91ページの中段右端で「オレらしい?!」と反応している。

「のだめカンタービレ」のここ以前の筋立てを見た限りでは「千秋がブラ1に相応しいこと」を仄めかす箇所は無かったと思われる。むしろ「勉強不足」を指摘されたり痛い目を見た点で目立っていた。描かれていない裏側で、千秋の知人たちがそう考えるだけの根拠があるのだろう。つまりそれは「のだめ」の作者様のキャラクター設定上の決め事にたどり着かざるを得まい。

話の枕が長くなった。本番はこれからだ。問題の第七巻90ページの中段右端にブラームスの第一交響曲を評して「完成まで20年を費やした」と記されている。これは業界の通説である。「のだめ」の作者様やスタッフの皆様がその通説に従ったと見てよいが、はたしてそうだろうか?私の見方は少し違う。「20年間ずっと第一交響曲の作曲に没頭していたわけではない」というのが私の見解だ。作曲自体は他の交響曲と同じ程度、つまり1~2年で済ませていたのが、最後のワンピースの決定に時間がかかったと解釈したい。記録に残る作曲への着手と完成年の差がたまたま21年になっているだけのことである。ベートーヴェンの偉大な交響曲を意識したために遅々として進まなかったという一般的な解釈にはただちには賛成できかねる。

作曲の着手から完成にかけて要した時間の長い順に作品を列挙してみた。

①交響曲第一番      1855年→1876年 21年 ハ短調

②ピアノ四重奏曲第三番 1855年→1875年 20年 ハ短調

③ドイツレクイエム     1854年→1868年 14年 ヘ長調

④弦楽四重奏曲第一番  1865年→1873年 8年 ハ短調

⑤ピアノ四重奏曲第一番 1855年→1861年 6年 ト短調

⑤ピアノ四重奏曲第ニ番 1855年→1861年 6年 イ長調

⑦ピアノ協奏曲第一番  1854年→1858年 4年 ニ短調

⑧ピアノ五重奏曲     1861年→1864年 3年 ヘ短調

⑧ピアノ協奏曲第二番  1878年→1881年 3年 変ロ長調

確かに第一交響曲は目を引く長さである。が、上位にハ短調が集中することや、1854年から55年にかけて着手された作品が多い点注意が必要だ。これを彼の伝記に重ね合わせれば、すぐにシューマンの悲劇との関係が思い起こされよう。単に忙しいから中断していただけの可能性さえ浮上する。20年以上作曲に没頭していたのか、20年以上中断していたのかを厳密に区別する必要があると思われる。単なる中断なら騒ぎすぎはよくない。

この時期のハ短調には恐らく積極的な意味がある。なぜか三曲全て1870年代中盤の完成になっている。このころブラームスの頭脳に何かが起きているのではないだろうか?

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