マーケットサイズ再考
6月21日の「マーケットサイズ」というタイトルの中で、「ブラームスの辞書」で想定すべきマーケットサイズに言及している。A5判400ページにブラームスねたテンコ盛のオタク本だ。「ブラームス大好き」という層をぼんやりと10000人とイメージし、1%の手元に渡れば100部だから、総発行部数300と、だいたいシンクロする。まったく無邪気な想定だ。この度これに再考を加えたいと思う。一種のマーケティングごっこだ。
ちょうど一週間前だ。知人の勧めで「MIXI」に加入した。詳細は割愛するが今ブレーク中のコミュニケーションサイトだ。8月1日現在ユーザーが100万人を突破したらしい。サイトの中にはコミュ」と呼ばれる同好会が無数に存在する。「ブラームス」というキーでヒットするコミュのうち最大の会員数を誇るコミュの会員は約600名である。つまり18歳以上の成年100万人に対して600名の会員と言うことになる。600ppmである。喫煙動向調査によれば日本の成年人口はざっと1億だから、この600ppmは60000人ということになる。この際、死ぬほどブラームスが好きなのにコミュには加入していない人々を、本当は大して好きではないのに加入している人々が相殺すると仮定しよう。
さて600名のコミュメンバーのうち各人の自己紹介欄に「ブラームス」や「Brahms」という文言を一回でも使用しているユーザーは意外に少ない。楽観的に見て3人に一人だ。約3分の2の400名は「ブラームスも聴く」というスタンスだと覚悟せねばならない。「ブラームスが一番」という層はざっとみて希望込みで10人に一人と言う感触だ。つまり60ppmだ。
厄介だが、重要な視点がもう一つ。ブラームス愛好家は2つに大別できる。「演奏家論の題材にブラームスも使っている人」とそうでない人だ。「フルトベングラーを語るのにブラームス避けて通れんでしょ」という類の人々をイメージすればいい。「ブラームス大好き」を想像させる自己紹介を書いている人の半分以上は、お勧めCDのレビュウが充実している。ブラームスの本質論より演奏家論に寄っていることをうかがわせる。その比率恐らく6対4だ。「ブラームスの辞書」は400ページのボリュウムながら演奏家論は一切現れない。つまり6対4の「4」の側なのだ。これで60ppmが24ppmに落ちる。これに成年人口の1億を乗じて2400人という数値が得られる。6月21日の推計の4分の1だ。
なんだか微妙でリアルな数字である。手元の在庫は現在280冊だから約10%強に届ければ完売となる。幸い「お勧めCDネタ」は扱っていないので10年後も記事の鮮度が落ちない賞味期限の長さは好材料だ。
「ブラームスの辞書」のメインターゲットは「ブラームスを演奏する人」である。この要素を折り込んだ場合、その24ppmが上下どちらに振れるのか断言出来ないが、10倍、10分の1のオーダーではブレないだろう。精魂込めて寝る間も惜しんで実行したシュミレーション値と、仮置き値まみれの、直感で求めた数値が結果として近似してしまうことは珍しくない。
当面のマーケティング目標を「ブラームス大好き層を探すこと」に設定する。
はい、ど~も!
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