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2005年10月11日 (火)

のだめの中のブラームス⑪

上海のホテルで目覚めた。今日から2500kmの彼方、成都を目指すことになる。午後2時過ぎには列車に乗らねばならない。明朝7時半過ぎに九江で下車、つまり初めての車中泊となる。

というわけで早速本題。このところは第七巻ネタから離れていたので久しぶりに復活。第七巻110ページ目。第一楽章冒頭でメンバーの心が一つにならないことが暗示される。冒頭の「C音」連打の奥山クンの「あ」が全てを言い表している。続く111ページ目の最終コマで千秋がスコアの上にタクトを置く。112ページで千秋がコンクール終了までの練習なしを宣言する。

この後、メンバーはそれぞれ苦闘することになる。千秋は風呂場でおぼれそうになるほどブラームス第一交響曲と格闘する。シュトレーゼマンに対するリベンジだ。他、特に黒木、清良にはコンクールでの煮え湯という試練が与えられる。「のだめ」「寝違え」と原因を異にしながらも、彼らは悔しさにまみれることになる。チェロの菊池君、ホルンの片山君が予定通りだったことと際立った対照を見せる。清良の決意は147ページで、千秋のそれは175ページで示される。黒川君の決意は巻を改めた第八巻21ページから語られる。「あのコンクールの無残な敗北のあとでも、千秋君やこのオケのみんなのボクへの信頼は少しも変わらなかった」「ボクはその信頼にこたえて見せる」とある。22ページの右端のコマ千秋と黒木のアイコンタクトは身震いするほど感動的である。黒木、なるほど武士だ。いい男である。

コンクールが悲喜こもごもの結果になった後を受けての千秋の練習には鬼気迫るものがある。第七巻151ページ以下にそれが描かれる。譜例もないので、千秋の発言から場所を特定することが出来ない。とうとう千秋はヴァイオリンを借りて、自らが弾くことでニュアンスを伝えようとする。156ページには疲労困憊のメンバーの会話だ。「休憩無しの5時間ぶっ続けの練習」だったことや、千秋のヴァイオリンが「激ウマ」だったことがこれでわかる。腹にイチモツあるか無いかの差、つまりリベンジを背負っているかどうかの差が描写されていると解したい。その証拠は157ページ中段左コマの清良の表情だ。ペットボトルラッパのみの清良の「フッ」だ。他のメンバーから「千秋のヴァイオリンが清良より」うまいかもと水を向けられても動ずる様子も無い。158ページでは「ああ、面白くなってきた」とある。すぐその直下のコマでは黒木が「普通に演奏出来るくらいじゃだめなんだ」「ボクらはちっともついてってないんだよ」とつぶやいている。「なんでみんな、そんなにのんきなの?」と続けて、周囲は「黒木くん、また武士に」と評される。これが証拠だ。リベンジが腹に座った千秋の猛練習を屁とも思っていないのは、これまたリベンジを背負っている黒木と清良だけなのだ。

ふっきるための猛練習に明け暮れながら千秋の苦悶は続く。ヴィエラ先生まで夢に出演するのだ。173ページは第四楽章の25小節目、続く175ページには、仲間とともに第四楽章431小節目の楽譜が挿入され、「迷いはきっとこのオケで晴らす」と結ばれる。

かくして第八巻36ページから千秋、黒木、清良のリベンジを乗せたブラームス第一交響曲が始まる。「リベンジ」は洋の東西を問わず古来から「モチベーション維持」の良いツールである。38、39ページの清良、黒木の表情を見るがいい。オーボエ協奏曲でリベンジを果たした黒木に続いて清良にも勝利の時が訪れる。第二楽章コンサートマスターのヴァイオリン独奏を終えた清良の満足の表情がそれを物語る。いつもクールで勝気の清良のこの表情、ぐっと来るものがある。44ページ左上のコマだ。どこかで見た覚えがある。長男を出産した直後のベッドの上で見た妻の表情とダブって見えた。それから「明日のジョー」の白木葉子に似ているような気もする。偶然かここでも黒木の時と同じく千秋とのアイコンタクトが小道具として配されている。

もちろん千秋もシュトレーゼマンへのリベンジに事実上成功したと考えてよいと思われるが、千秋くんについては、次回また詳しく論じたい。

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コメント

はじめまして。
のためカンタービレについての解説、
楽しませていただきました。
たまに遊びに来ます。
ブラームスも好きです♪

<テトとポポ様
いらっしゃいませ。「のだめ」ネタお楽しみいただけたとのこと、嬉しく思います。

「ブラームス」と「のだめ」の接点だけを異常にズームした記事ばかりですので、あまり根をつめて読むとおなかをこわすかもしれませんが、またいらしてください。

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