のだめの中のブラームス⑯
久々に第七巻ネタ行きます。
20ページをご覧ください。後に「R☆Sオケ」となるオケがまだ「名無しのオーケストラ」だったころのお話だ。ニナルッツ音楽祭のメンバーが約70名、「慕零蕗」(多分読み方はボレロ)に集まって新しいオケ結成の飲み会。曲決めとしゃれ込んだという設定だ。22ページに千秋の独白。「Sオケと違ってみんな落ち着いていて大人・・・」とある。最下段のコマに「いいな、おちつくな」という具合にひたすらしっとり系だ。
しかし、しっとり大人のムードも30分で一変する。23ページではおのおののメンバーが言いたい放題になる。23ページだけで5名の作曲家の名前が叫ばれている。不思議と曲名は一切明かされずに、作曲家名だけで論争が成立しているのだ。千秋の独白の形で「見慣れた光景」とあるところを見るとこれは「Sオケ状態」であることが推測される。24、25ページでは協奏曲をめぐってメンバーの思惑が交錯する。
その23ページの最初のコマでメンデルスゾーン、チャイコフスキーに混じって「ブラームス」が叫ばれている。右下、にらみ合う男の顔の間に白抜きの手書き風の文字で「ブラームス」とある。「ブラームス」を主張する男と反対する男に見える。男たちの名前は一切不明な上に、曲目も明かされない。そう、普通の楽器弾きが70名も集まればブラームスを主張する奴は大抵一人二人はいるものだ。
それにしてもアマチュアオケの曲決めは、見ものである。学生オケならなおのことだ。ゼミの教授が誰になるか以上のインパクトである。私だって、定期演奏会のメインの曲目がキーになって学生時代の出来事が記憶されているのだ。
この後、協奏曲だけは千秋の意向で演奏者・黒木くんで決定するが、その他が決定にいたった形跡は認められない。でいきなり91ページでブラームスの第一交響曲に決定される。オープニングのシューマンに至っては、23から25ページでは名前も出ていなかった。曲目決定のメカニズムは不明である。のだめカンタービレ内でおめにかかるこうした演奏会の曲目配置は、なかなか洗練されている。作者様の見識の賜物と思われる。
のだめは私も好きで全巻もってます。
このシーンは面白いですね。「ショスタコー!タコー!」ってね。
巻は違いますが、「ブラームスは一切無駄な音をつかっていないんですよ」ってミルヒー(シュトレーゼマン)がいいますよね。
この作者は音楽やってたのかなあ。せりふがとてもびんびんくるのですが。
のだめがシューマン練習しているときの千秋(想像の?)の指導とか。
「みえてこないか、この曲の風景が」でしたっけ。
<ぴよ様
お久しぶりです。
のだめの作者様ご本人が音楽に造詣が深いかどうかは、謎ですが、相当なスタッフを抱えていることは確実と思われます。
シュトレーゼマンのその台詞は参考にした書籍も推定できます。
詳しくは8月30日の「のだめの中のブラームス②」をご覧ください。
投稿: ぴよ | 2005年11月21日 (月) 23時32分