楽章の数
話を室内楽24曲と、交響曲4つ、それからピアノソナタ3つ、つまり「ソナタ」に絞ってみる。
- チェロソナタ第一番ホ短調op38
- ヴァイオリンソナタ第一番ト長調op78
- 弦楽五重奏曲第一番ト長調op88
- ヴァイオリンソナタ第二番イ長調op100
- ヴィオラソナタ第二番変ホ長調op120-2
このリストが何のリストか判るだろうか?これは三楽章制のソナタのリストだ。これ以外は全部4楽章制だ。(と思いきやたった一つ例外がある。ピアノソナタ第三番は五楽章制だった。)ブラームスにおいてはソナタの楽章数は概ね3か4である。3と4を分かつ基準はどこにあるのだろう。何がどうなると3になり、どうなると4になるのだろう。数の上から判断する限りブラームスは四楽章を主、三楽章を従と考えていたと思われる。
本来的な4楽章制から緩徐楽章が省かれたものは、チェロソナタ第一番とヴィオラソナタ第二番だ。ただしヴィオラソナタ第二番は第三楽章が終楽章としては異例の「andante」で立ち上がっており、この終楽章に緩徐楽章とフィナーレの機能を兼備させている。
舞曲楽章が省かれたものは、残る3つである。ピアノ協奏曲第二番をのぞく3つの協奏曲もこの形と思われる。このうちヴァイオリンソナタ第一番以外の2曲で、緩徐楽章の中間部でテンポアップが図られている。この部分が舞曲楽章の脱落を補う雰囲気を漂わさせていると思われる。緩徐楽章に舞曲楽章の機能の一部を移管していると見ることが出来る。
こうして見てくると純粋に三楽章制を志しているのは、チェロソナタ第一番とヴァイオリンソナタ第一番だけのように思えてくる。(ヴァイオリンソナタ第一番第二楽章の「piu andante」は舞曲機能とは認めにくい。)
困ったものだ。これ以上は謎である。
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