ニ短調の「Maestoso」
年末の奇妙な風習に第九交響曲ラッシュがある。第九とはベートーヴェンの最後の交響曲である。小噺を一つ。
ご隠居「おい、与太郎。年末はベートーヴェンだぞ」
与太郎「へい。判ってます」
ご隠居「わかってるとな。ベートーヴェンはいくつ交響曲を書いたか知ってるかい」
与太郎「なんだご隠居。簡単過ぎますよ」
ご隠居「じゃあ答えてみろ」
与太郎「4曲でしょ」
ご隠居「何だって4曲なんだい」
与太郎「英雄と運命と田園と第九でしょ」
ネコも杓子も与太郎も第九、第九、第九の年末である。
定説によれば御大ブラームスもベートーヴェン様の第九には一目置いていたらしい。何しろ第一交響曲第四楽章の主題は、第九第四楽章の主題に瓜二つと言われているくらいである。
ブラームスが第九と同じニ短調を用いて書いた初の管弦楽はピアノ協奏曲第一番だ。第一楽章冒頭の指定は「Maestoso」だ。第九第一楽章の冒頭「Allegro ma non troppo,un poco maestoso」を意識してたりしないだろうか?「目黒のサンマ」ではないが、「Maestosoはニ短調に限る」などということはあるまいな。
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