真夜中の部室
1979年1月7日。千葉大学管弦楽団第44回定期演奏会で演奏されたブラームス第二交響曲が私の大学オーケストラデビュウだった。
このときのオープニングだったかサブプログラムだったかにハープを使う曲があった。ハープは賛助出演に頼っていたのだが、楽器も賛助出演者の持込だった。輸送中に万一のことがあってはと保険に入るのが恒例になっていた。保険料を安くするために、保管中はハープに付き添いが義務付けられていた。もちろん夜中もである。部室前にとめておくトラックの中に置いておくのだが、このとき誰かが部室で番をせねばならない。本番何日か前の練習の前日だったと記憶しているが、一年生の私がそれに当たった。寒い部室でストーブをたいて、ブラームスの練習でもしようと思っていた。
22時を過ぎるころから、上級生が一人二人と集まってきた。10人は集まったと思う。名目はハープの番をするハズの私の陣中見舞いである。その割にはみんな楽器を持っている。誰かがブラームス第二交響曲を弾き始めた。狭い部室で真夜中のブラ2だ。一年生が手分けして近所の先輩の下宿に足りないパートを呼びに走った。
結局この日は徹夜。ブラームス第二交響曲のほかにベートーヴェンやシューベルト、モーツアルトついでにブラームス第一交響曲まで演奏した。ストーブは消えていたがちっとも寒くなかった。
一晩トラックの荷台で放っておかれたハープはなんとか無事だった。
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素晴らしいお話ですね♪
みんな何て音楽が好きなんでしょ!
若くて元気があって、何より迸る情熱があったのでしょうね。
羨ましいくらい素敵なお話をありがとう。
<ひふみ様
いえいえ、単なる無鉄砲ですよ。
投稿: ひふみ | 2006年1月 7日 (土) 16時49分