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2006年1月11日 (水)

ほとんど「業務分担」

昨日の記事「ドイツ語表示の声楽集中」と併せてお読みいただきたい。

独唱歌曲の楽譜上には、「声楽にはドイツ語、ピアノにはイタリア語で、同じ意味のニュアンスを指示しているケース」が多く、この現象を「ブラームスの辞書」では「伊独辞典状表記」と命名していることは、既に何回か述べてきた。この現象には名前を付ける甲斐があるほど頻発していると思っていただきたい。

しかし、同様にドイツ語とイタリア語を同時に記しながら、それらが同じ意味になっていないケースも存在する。たとえば「ティークのマゲローネのロマンス」op33-13の冒頭を見るといい。声の側にはドイツ語で「Zart, heimlich」(やさしく、ひそやかに)と記される一方、ピアノ側にはイタリア語で「Vivace」(活発に)と記されている。声の側にはニュアンスを示し、ピアノにはテンポを示したと解したい。もはや「業務分担」と称すべきである。この類の業務分担は、数は少ないものの、要所を締めている印象だ。

「伊独辞典状表記」が多勢を占めている中、「業務分担型表記」も混在していて油断が出来ない。相手のパートに記された表記を確認する癖をつけておきたいところである。

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