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2006年1月18日 (水)

協奏曲の心得

協奏曲には独奏楽器がある。独奏者にそれなりのテクニックがあれば、独奏楽器が総奏に埋没せずに、自己主張が出来るような配慮を施しているものである。周囲の楽器が全て休符だったら、独奏楽器は聴こえて当たり前である。だからそうした配慮は、周囲の楽器が何らかの音を鳴らしている時に発動される。

ブラームスとてそのあたりは心得ていた。いやむしろそのあたりの配慮が手厚いことにおいては屈指の存在だった。今日はその実例を話題にする。

唐突で恐縮だが「fp marcato」がブラームスの楽曲において何箇所で用いられているかお判りだろうか?「強くただちに弱く、はっきりと」と解されるこの用語は、ブラームスの作品番号付きの作品中6箇所現れる。ヴァイオリン協奏曲とピアノ協奏曲第二番に3箇所ずつの合計6箇所である。(この他にあったらゴメン)ヴァイオリン協奏曲は3箇所とも第一楽章、ピアノ協奏曲の方は第一楽章二箇所と第四楽章だ。どこにあるかは内緒です。

さてその6箇所は全て低い音を出す弦楽器に限られる。上のほうで華麗なアクションを見せる独奏楽器を縁の下でガッチリとささえる役目だ。フレーズの冒頭で一瞬だけ「f」を聴かせた後、ただちに「p」に退却するが、「はっきりと」していなければならない。「もちろんソロの邪魔は困るが、あんたたちはベースラインなンだから、聴こえてくれなくちゃ」というブラームスの明快な意図と思われる。独奏楽器が際立つことへの配慮がベースラインを台無しにしないための工夫と思われる。このあたりとてもブラームスらしい。

「fp marcato」の中期の協奏曲の低弦パートへの集中は、校訂者の仕業とは考えにくい。知識経験様々の校訂者が他の楽曲にうっかり「fp marcato」を書き加えなかったことは、奇跡とさえ呼べるだろう。よって私は、この現象がブラームスの意図を反映していると考えている。

昨日の今日の話題である。

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