クラリネット五重奏曲
大学生活最後の室内楽がブラームスのクラリネット五重奏曲だった。1982年2月21日に大学オーケストラの室内楽演奏会があった。そこで仲間と第一楽章を演奏した。メンバー5人は全員男性。口の悪い仲間からは「こんなメンツで室内楽なんて何が楽しみでやってんだ?」といわれた。無理も無い。メンバーの中では、大学四年の私が早生まれのせいもあって一番年下だった。私以外は医学部だったり大学院生だったり、大学院行きが内定していたりという具合で、4月以降も学生生活が続くメンバーだった。一番年下の私だけが就職するという奇妙な現象がおきていた。
そりゃ練習の後のお話や、お茶が目当てで、女性をメンバーにという室内楽もなかったわけではない。「接待弦楽六重奏団」などというそれ系のメンバーでブラームスの六重奏に挑んだことあったが、この時は違った。クラリネットを吹いた友達との約束を果たすためだった。3年でモーツアルトに挑み、4年でブラームスはいわば規定の路線だったのだ。3年のときは第一ヴァイオリンが女性だったが、今回は男だけで渋く決めるみたいなおかしな意地があった。
このときのブラームスは良かった。練習も本番も満足できた。24小節目のヘミオラに生まれて初めて心が震えた。第一ヴァイオリンとのリズム的な衝突が、腹の底に響いた。
あれから24年がたつ。
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