あの娘のもとへ
ipod購入から約2ケ月が過ぎた。毎日の通勤時間にブラームスを聴きまくっている。
特に聴きたい曲が無い場合には、適当に再生して楽しんでいる。そうした聴き方をしている途中に、突然ある曲に惹き付けられることがある。今日の話題の曲もそうだった。何気ない瞬間にふと入りこんできたのだ。低いロ音のアウフタクトから深くえぐり込んで立ち上がる旋律が心に突き刺さった。「Der Gang zum Liebchen」(あの娘のもとへ)作品48-1だ。
ABABの単純な二部形式で二分にも満たない曲だ。恋人のもとに急ぐ男の心情を歌った歌詞を持つ。深い深い闇の底から汲み上げられるようなロ音のアウフタクトがピアノ無しのむき出しで立ち上がる。ブラームス歌曲中最高級の人気を誇る「永遠の愛」作品43-1にも引けを取らない。聴き方によってはワルツないしは極上のレントラーとも受け取れる。
これ以上言葉を費やすのは無駄というものだ。ふとしたはずみで耳に飛び込んできたことが目覚めのキッカケになった曲は、心に深く沁み込む。作品118-2や117-2のインテルメッツォがそうだった。この曲もきっと一生の宝物になるのだろう。今まで見つけてあげられずに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
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