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2006年4月21日 (金)

「comodo」意訳委員会

意訳委員会シリーズ第三弾である。

「comodo」は音楽用語。一般には「気楽に」「飾らずに」「心地よく」「のんびりとした」という意味と解される。ブラームスは、その「comodo」という単語を下記の通り生涯で3度使っている。全て楽曲の冒頭になっている。

  1. 弦楽四重奏曲第一番op51-1第三楽章「Allegretto molto moderato e comodo」
  2. ピアノ四重奏曲第三番op60第四楽章「Allegro comodo」
  3. 歌曲「歎き2」op69-2「Comodo」

1番と2番が1873年、3番が1879年の完成だ。非常に近い時期に、「Comodo」を使用した曲が集中しているということが出来る。

次に3曲に共通する短調であるということだ。1から順にヘ短調、ハ短調、イ短調だ。この点だけで冒頭に列挙した「気楽に」「飾らずに」等の訳語が浮いた感じになる。訳語としての座りが悪いのだ。特にピアノ四重奏曲第三番は「ウエルテル四重奏曲」の異名を取る作品だ。「頭にピストルを突きつけている男のイメージ」とブラームス自ら語ったというエピソードがあるくらいの曲なのだ。その曲のフィナーレの発想記号を「速く、気楽に」と解釈するのは無神経が過ぎるというものだ。

残る二曲にも奇妙な共通点がある。楽譜があるならば参照して欲しい。まずは「歎き2」の拍子が4分の2拍子である。これに対してカルテットの方は8分の4拍子になっている。1小節に8分音符が4つという枠組みが共通である。そしてどちらも8分音符一個がアウフタクトとして第一小節の前に飛び出している。その押し出されたアウフタクトにアクセントとスフォルツァンドが付与されているのだ。どちらの曲も8分音符一個分だけ強拍が前にズレている。ブラームスによくある記譜と拍節感のズレが生じているのだ。まどろっこしい説明は後だ。「歎き2」のピアノの左手と、カルテットのヴィオラパートを見比べて欲しい。フレージングが瓜二つだ。

やはり、曲想や拍節のズレという現象から見ても「気楽に」という解釈は具合が悪い。「気楽に」「飾らずに」「心地よく」「のんびりとした」では、なんだか悩みが無さ過ぎる。この3曲の曲想に照らして、もっと真面目でストイックなニュアンスが必要である。

「comodo」はブラームスに限って「粛々と」と解する提案をしたい。

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