ドイツレクイエム
1868年4月10日、つまり138年前の今日、ドイツ・ブレーメンにてドイツレクイエムが初演された。ブラームスの作曲家としての名声を確立させた出来事である。
レクイエムは一般に日本語で「鎮魂曲」と表記される。本来は「死者のためのミサ曲」なのだが、ラテン語の歌詞の歌い出しの部分がそのまま通称になって定着したものだ。モーツアルト、ヴェルディ、シューマン、ドボルザークなどみんなそのノリでレクイエムを書いている。大切なのは「死者のための」という部分だ。要は死者のための曲なのだ。最後の審判に恐れを抱く死者の魂を開放するために、生きている者たちが歌うのがレクイエムなのだ。日本風に言うと「成仏しろよ」くらいの位置づけなのだろう。
翻ってブラームスの「ドイツレクイエム」は通常のレクイエムの形態を一応なぞってみせてはいるものの、歌詞はラテン語ではなくドイツ語だし、内容もレクイエムの独訳とは程遠いものになっている。ブラームスのドイツレクイエムは既にそうした基本の部分で異例のスタンスをとっている。作品の目的が実は大きく違うのだ。「死によって残された側」の救済が目的あるとさえ思われる。
大切な人と死別したとき、心のリセットのために聴いてみるといい。そのことが腹の底から実感出来る。
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