「semplice」意訳委員会
「poco」に続く意訳委員会第二弾である。そもそも意訳委員会の対象になるということ自体、解釈に苦労していることの裏返しである。手許の音楽事典では、「無邪気に」「素朴に」「飾り気なく」とある。英語の「simple」と語源が同じとも書いてある。であるなら訳語としては「シンプルに」で収まるのではないかとも思うのだが、しっくり度が今いちなのだ。
「semplice」の単独使用例は2例。「semplice」を含む語句になると19例を数える。けして一大勢力ではないのだが、用法に規則性が見つからない。声楽にはけっして現れないことと、f系のダイナミクスとは共存しないことが特色といえば特色だ。しいて言えば「tranquillo」に近いとも思われるが、断言は慎みたい。
ためしに一つの提案をする。「淡々と」がそれである。用例の分析を通じてそう感じるだけで根拠を示せないのが残念だ。
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