譜例
音楽関連の書物において論説を展開する上で、あるいはその論説についての読者の理解を深める上で不可欠なツール。これの充実した書物は読んでいて楽しい。もちろん紙幅の都合が付いてまわるだけに、いつも総譜をそのままベッタリ転写しているわけではない。読者が話題の場所を効率よく想起出来ることが目的だから、必要に応じて省略されている。この省略のしかたにセンスが感じられるケースも多い。
ひるがえって「ブラームスの辞書」に目をむけると、まさにこの譜例がアキレス腱になっている。ご予算の都合というよくあるパターンで、十分な数の譜例を盛り込むことが出来なかった。元よりオタク寄りに偏ったネタの集成本だから、譜例無しは読者にはちと辛かろう。「ブラームスの辞書」は読者が既に楽譜を持っていて、必要に応じて参照しながら読まれることをアテにしている書物なのである。
それでも173箇所の譜例がある。項目数が約1170なので全体の15%程度だ。市販の楽譜作成ソフトを使って自ら譜例を作成し、なんと切り貼りをした。幸い出来上がった本には、切り貼りの痕跡は跡形もないことが救いである。入れたいだけ入れていたら、1000ページにだって届いていたと思う。泣く泣くカットになった譜例に心の中で詫びている。
昨年の今頃譜例を選定していた。
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<moco様
いつもありがとうございます。
粗雑に弾いてしまったときはもちろんですが、譜面の読み込みが甘いときも、一喝が必要そうですね。
投稿: アルトのパパ | 2006年5月 4日 (木) 18時42分
>泣く泣くカットになった譜例に心の中で詫びている。
譜に詫びるっていい言葉ですね。
ケースは違いますが、粗雑に曲を扱ったり弾いたりしたときは、「冒涜しなで。。。」と生徒を一喝します。「作曲者にお詫びしなさい」っというのも、いいかもしれないですね(笑)
投稿: moco | 2006年5月 4日 (木) 17時34分