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2006年5月19日 (金)

民謡風

実は一昨日5月17日の記事は、本日の記事のイントロであった。

ブラームスの作品解説の中で割と見かける用語。字義通り「民謡っぽく」と解すると思われるが、書き手が定義を明らかにしていないケースも目に付く。同一書物の中で民謡についての言及がしばしば行われているならともかく、何の断りもなく「民謡風」といわれても困るが、「民謡風」と言われて判った気になっている受け手も少なくないことでうまくバランスが取れていると思われる。「民謡風」が「素朴な」の同義語として使われているにしろ、その「素朴な」の定義が甘いことには変わりがない。

そこでブログ「ブラームスの辞書」なりにブラームス作品の解説に使われる「民謡風」とはどういうことなのか考察を試みる。「民謡」とは「Volkslied」の邦訳とみることに異論はないと思われる。ここに異論があると以下の議論が台無しということになる。考察のツールとしてブラームスの「49のドイツ民謡」WoO33、「子供のためのドイツ民謡」WoO31、「28のドイツ民謡」WoO32の合計92曲とブラームスの独唱歌曲204曲を比較してみた。

<イントロ>5月17日の記事「イントロ」でも考察したが、ブラームスの独唱歌曲は65.2%がイントロを持っている。1小節未満の短いイントロはカウントしていない数値だ。これが民謡全92曲では驚いたことに5曲だけになる。わずか5.4%だ。

<アウフタクト>歌のパートがアウフタクトで始まる作品は、歌曲では134曲65.7%なのに対して民謡では77曲83.7%になる。さらにだ。ピアノのイントロがなく、いきなりアウフタクトで始まる曲となると歌曲は28曲13.7%に過ぎないのに対して、民謡では67曲72.8%に達する。アウフタクトに押し出されている音符は1個というケースが目立つ。そこにあてがわれている単語は「冠詞」または「代名詞」が多い。注意が必要なのは「ジプシーの歌」作品103だ。8曲全てアウフタクトなしになっている。これはもしかすると「ジプシー音楽」のイディオムかもしれない。

<シンプルな拍子>歌曲では14通りの拍子が採用されているのに対し、民謡では7通りに過ぎない。2/2、4/2、5/4、9/4、9/8の他混合拍子2種が民謡側では姿を消す。複雑な拍子はスポイルされていると思われる。

<拍子の出現頻度>歌曲では、3/4と4/4がともに25%で全体の半数に達する。三番手の2/4は16%強に過ぎない。以下4位が6/8となる。民謡においても4位までの顔ぶれは変わらないが、2/4が36回39.1%を占め、第二位の3/4のほぼ倍に達する。民謡においては2/4が特別の位置にあると考えていい。

<長短比率>ブラームス作品全体では約54%が長調だった。歌曲では55.4%が長調になっている。民謡では58.7%という具合に僅かに長調の比率が高まるが、誤差の範囲の可能性もある。ベートーヴェン、モーツアルトと時代が遡ると長調比率が上がることとの関連は今後の課題だ。

<長調>歌曲では13種類の調が採用されている。第1位はイ長調16曲7.8%だ。第1位にしてわずか7.8%だということが特徴だろう。第10位の変ロ長調が5曲2.5%だから5%差の中に10種がひしめいているということだ。むしろ満遍なく分布していると捉えたい。民謡では、7種類の調だけになる。フラット側2個の変ロ長調からシャープ側5個のロ長調までの狭い間に分布する。民謡側最大の特徴はト長調への集中だ。なんと23曲25%がト長調だ。歌曲側では7曲3.4%に過ぎないのだから驚異的な集中度だ。

<短調>歌曲では10種の短調が使われているうち、イ短調が14回6.9%で1位だ。長調と同様に満遍なく分布している。民謡側では8種類の短調が使われている。シャープ2個のロ短調からフラット4個のヘ短調に分布するフラット側に手厚い分布になっている。シャープ側に手厚かった長調と逆の分布である。最大のサプライズは、19曲20.7%がイ短調に集中するということだ。

上記の分析から「イントロなしのアウフタクトで立ち上がる4分の2拍子のト長調またはイ短調」という輪郭を想定できる。長調も短調もピアノの黒鍵で始まる調がほとんどないことも特徴だ。

これらの状況を総合すると「民謡風」ないしは「素朴な」という単語のニュアンスが、おぼろげながら確認できた。本日の記事は、相当おバカな記事だと我ながら思う。

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コメント

<けいまま様

いらっしゃいませ。
よくもまあこんなに古い記事を掘り当てていただきありがとうございます。

「ジプシーの歌」にアウフタクトが無いという点、実はドヴォルザーク特集でも取り上げようと思っています。プランを見透かされてしまったようで驚きました。

アルトのパパ様
はじめまして いつも楽しみに読ませていただいています。
ジプシーの歌がアウフタクト無しで入るので、前にとるブレスで伴奏と息を合わせる事により曲全体の素朴な表情を作る[間]が生まれるんじゃないかと思っています

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