続・伴奏の藝術
ヘルムート・ドイチュ先生の著書「伴奏の藝術」の28ページに背中を押されて、「ブラームスの辞書」が執筆された話は、既に述べた。
ドイチュ先生は歌曲伴奏の泰斗であるが、一方で器楽とのアンサンブルもこなしているという。最近、そうしたCDの一つを入手した。元ウイーンフィルのコンサートマスターであったゲアハルト・ヘッツェルさんと競演したブラームスのヴァイオリンソナタ全集だ。92年にヘッツェルさんが急逝する直前の録音で、これが遺作となったというエピソードつきのCDだ。この後、モーツアルトやベートーヴェンも録音する予定だったと聞く。ウイーンフィル歴代屈指のヴァイオリン奏者が、初のソロCDにと選んだのがブラームスだというのが、感激である。
ヘッツェルさんの最後の録音という切り口もさることながら、私は「伴奏の藝術」の著者が、歌曲でない室内楽のアンサンブルをどのようにするのかとても興味を感じていた。ずっと探し続けていたがやっと入手した。
唐突だが、対馬の海を思い出した。地元の食堂の女将さんが「ここいらは何にもなくてねぇ」と言っていた。その何も無いがどれほど素晴らしいか。景色もさることながら、こんなにキレイな海があるのに「何もない」と言い放ってしまう感覚まで景色のうちだと思った。
具体的な演奏家の名前を挙げない方針の当ブログで、ゴールドベルグ、バルビローリ、ヘルムートドイチュに続いてゲアハルト・ヘッツェルも例外の一人となった。
« リーズルの思い出 | トップページ | ipodの特性 »
<moco様
昨年の10月でした。「秋川の奇跡」です。
サッカーで言えばジーコと写真とったみたいな。
今思い出しても鳥肌ですよ。我ながら度胸あったと・・・。
詳しくは昨年10月8日のブログをご覧になってください。
投稿: アルトのパパ | 2006年5月 2日 (火) 07時50分
<ひふみ様
最初で最後のCDがブラームスとは!
ブラームスの残したままを聴き手に伝えようという、気迫がさり気なく伝わってきます。
生をお聴きになったとは、羨ましい。
投稿: アルトのパパ | 2006年5月 2日 (火) 07時43分
私は、幸いにも、このお二人での生演奏で、この3曲を
東京文化会館小ホールで聴くことが出来ました。
実直で、温かく、本当に素晴らしい演奏でした。
私にとっての、ウイーンフィルのコンサートマスターは、
昔も今もヘッツェルさんただ一人です。
思いもよらぬ早世でしたが、このCDを遺して下さって、
本当に有り難いことだと感謝しています。
投稿: ひふみ | 2006年5月 2日 (火) 00時59分
そういえば、ドイチュ先生とお写真撮っておられましたね。お幸せそうな顔していましたね。羨ましい。。。
投稿: moco | 2006年5月 1日 (月) 22時40分