嬰ヘ長調
昨日に続いてシューマン関連ネタだ。シューマンネタと言っても、ブラームスに全く関係ないネタというわけにはいかない。そのあたりのこだわりが大切である。
本日のタイトルは「嬰ヘ短調」ではない。「嬰へ長調」である。文字にすると何ということはないのだが、これを調号で表すと厄介である。何とシャープが6個付くのだ。シャープの洗礼が届かないのはシだけである。鍵盤楽器の事情には疎いが、少なくともアマチュアの弦楽器弾きにとってはあまりありがたくない調である。
さすがにそのあたりを思いやってか、弦楽器が加わる作品には出現しない。冒頭にシャープ6個の調号が踊るのは3つだけだ。作品58-4「おお、心地よい夏の午後よ」、作品63-5「我が恋は緑」、作品86-5「沈潜」である。すぐにわかることは、この3つ全部独唱歌曲であることだ。さてさて、このどこがシューマンネタなんだろう。
ブラームスの全作品中、嬰へ長調という調性は3個だけであるからそのレア度は相当なものである。その3個が全部独唱歌曲だという点だけでも何だか意味ありげなのだが、その3つのうちの2つ、作品63-5「我が恋は緑」、作品86-5「沈潜」は、シューマン夫妻の末っ子フェリックスの詩によるものだ。ブラームスがフェリックスの詩につけた作品は3つだが、残る一つは残念ながらニ長調なのだけれど。ブラームス自身が嬰ヘ長調を頻発する作曲家とは言えないだけに、フェリックスの詩への付曲にあたっての調性の選択には神秘的なものを感じる。
同主調の嬰へ短調も実は、クララ・シューマンに関係がある。作品番号を持つ作品に限定すると、ブラームスが同一人物に2曲を献呈しているのは2人だけだ。ヨーゼフ・ヨアヒムとクララ・シューマンである。ちなみに作品番号の無い作品までに広げるとクララには3曲が加わる。左手のためのシャコンヌ、作品18の主題による変奏曲、グルックのガボットである。クララ・シューマンに捧げられた2つとはピアノソナタ第二番作品2とシューマンの主題による変奏曲作品9だ。この2つどちらも嬰へ短調になっている。
「嬰ヘ」は何かとシューマン一家にかかわりが深い。
« クララのテーマ | トップページ | 「poco tenuto」 »
はっはぁ~!
分かりました。
音楽を言葉にすると難しい。
投稿: temple | 2006年5月25日 (木) 00時25分
<temple様
「Cの裏側」とは「真裏」くらいの意味です。話を判り易くするために「ハ」を例に取ります。たとえば嬰ハはシャープ系でいうと7個で、相当遠く見えますが、「変ニ」と思うとフラット5個になるので、少し近づきます。ところが「ハ」に対する「嬰ヘ」は仮に「変ト」と読み替えても「フラット6個」が必要です。だからシャープ系、フラット系どちらから見ても6個の場所にあるので、「真裏」の意味で「裏側」と申しました。
投稿: アルトのパパ | 2006年5月24日 (水) 17時19分
Cの裏側??
ちなみに件の譜読み方法をする人は私の周りにはいないようです。
ピアノ弾くときに、変ホ長調とホ長調を間違えて弾いている事もよくありました。さすがに合奏ではないけど・・・。
投稿: temple | 2006年5月24日 (水) 12時02分
<temple様
相対音感も危ない、ド素人の言うことなど、まともに受け取らないでくださいませ。
嬰ヘ(変ト)はCの裏側ですかね。シャープで辿ってもフラットで辿っても6個ですから。
投稿: アルトのパパ | 2006年5月23日 (火) 06時43分
現代音楽みたいなのは合っているかどうかが分かりにくいかも・・・。
ほとんど演奏した事ないけど。
もちろん、何小節か演奏すれば音楽の輪郭は見えてきます。
ちなみに、今練習してるアリアは変ト長調!フラット6個ですよ。
投稿: temple | 2006年5月23日 (火) 01時02分
<temple様
おおお。おっしゃる通りですね。音感ちゃんとした人はそれでOKでしょう。
でも変なのに気がつかない人は困ったりして。
それから元々の音程が悪いと、正しい音出したつもりが変に聞こえたりしませんか?
投稿: アルトのパパ | 2006年5月22日 (月) 06時01分
調号の多いのは、簡単ですよ。
取りあえず全部につけて、変なのは外せばいいんです!
消去法???
あっはっは~^^;
これで初見を乗り切ってました。(吹奏楽部だったもんで)
投稿: temple | 2006年5月21日 (日) 23時26分