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2006年5月 8日 (月)

Sehr langsam und ausdrucksvoll

「非常にゆっくりと表情豊かに」と解される。まことに旬な話題だ。それというのもこの語句が、生涯に一度だけ出現するのが作品43-2「五月の夜」の冒頭であるからだ。イタリア語で「Adagio molto ed espressivo」とせずにドイツ語があてられているところが、また奥ゆかしくも美しい。年に32回しかない5月の夜をじっくりと堪能したいものである。

昨今歌曲に目覚め、次から次への魅力ある作品の虜になっている私だが、その扉を開いてくれたのが「五月の夜」だと断言出来る。シンプルさ、歌詞との融合、品格の三拍子が高い水準で揃っている。男性女性どちらに歌われようとも、効果は変わらない。

ここに歌われている夜は、あまり膚寒くはないのだろう。そして銀色の月が煌々とあたりを照らすお陰で、闇夜のイメージは完全に払拭されている。季節は違うがここを聴くといつも李白の「静夜思」という絶唱を思い出す。「床前月光を見る/疑うらくは之地上の霜かと/頭を上げて山月を望み/頭を垂れて故郷を思う」

根は恋の切なさなのだろうが、どうも切った貼ったを超越している。特に15小節目ダブルバーでシャープ5個のロ長調に転じるところ、鳥肌物である。フラットしたソとファのシャープを回転軸にクルリと情景をすり替えて見せるところや、E♭とD♯の読み替えが、わかっていてもやられるという感覚で心地よい。たっぷりとした長調がかえって孤独感を高みへと押し上げている感じだ。

歌曲としてパーフェクトだと思う。

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