変ロ長調の牝牛
ブラームスが「変ロ長調の牝牛からミルクを絞り過ぎないように注意せねばなるまい」という主旨のことを友人に漏らしたことが、ちょっと詳しい伝記に載っている。
ブラームスに没頭し始めて間もない頃は、単に「なるほど」と納得していた。弦楽六重奏曲第一番、ピアノ協奏曲第二番、弦楽四重奏曲第三番が変ロ長調だというだけで、妙に説得力があった。
昨日の記事をご覧頂きたい。変ロ長調という調性を冒頭に掲げている作品は、数の上では、とりわけ多いというような位置付けにはない。長調の中では第6位で、長短総合では、第12位をヘ短調と分け合っているに過ぎない。主音別でも「B」は第9位にとどまる。
先のブラームスの発言は、その言葉をブラームス本人が、あるタイミングで発したことは動かし難い事実であっても、ブラームス自身の「変ロ長調への傾倒」を意味してはいない点、留意すべきであろう。もちろん変ロ長調で書かれた作品の輝きには、何等影響はない。
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