ゲルマン魂
あれは、私が中学3年の頃だった。1974年ワールドカップ西ドイツ大会の決勝が日本で生中継された。ワールドカップの決勝が日本で生中継されたのはこれが最初だったと思う。眠い目をこすって西ドイツ対オランダのこの試合を見た。クラスメートたちは皆口をそろえてオランダの優勝を予想していた。
私はといえば、クラスの中で四面楚歌になりながらも断固西ドイツの優勝を唱えた。このときのオランダは主将のヨハン・クライフに率いられてトータル・フットボールを標榜する未来のチームだった。前回王者のブラジルを準決勝で軽々と退けていた。それでも私は断固西ドイツを支持した。単なる天邪鬼だけではなかった。ワールドカップでは、「強いチーム」「面白いチーム」「優勝チーム」が一致しないことのほうが多いのだ。「面白くもないのに、負けないチーム」がしばしば勝ち進むのだ。ましてやドイツには「ゲルマン魂」がある。大きな試合での土壇場のしぶとさにおいてドイツは群を抜いている。
イングランドの名フォワードのゲーリー・リネカーが発したかと思うが、「フットボールは単純なスポーツだが、最後はいつもドイツ人が勝つ」という名言も大袈裟ではないのだ。
結果はご存知の通り、2対1で西ドイツの優勝だ。このときのドイツの主将はフランツ・ベッケンバウアーだ。もちろん今でもこのときの西ドイツチームのスタメンをそらんじている。翌日の教室では大威張りであった。
何のことは無い。オランダのサッカーを読みきったわけではないのだ。単なるドイツ贔屓だったに過ぎない。当時の私はガチガチのベートーヴェン少年だったこともドイツ贔屓に拍車をかけた。小学生のころプラモデルのお気に入りは、飛行機ではゼロ戦とメッサーシュミットだったし、戦車ならロンメルだった。そうした傾向は今も続いている。ベートーヴェンがブラームスに入れ替わっただけで、音楽のドイツ贔屓は磐石だ。もちろん愛用のヴィオラはドイツ製だ。自動車もドイツ車が好きだし、ワインもドイツ産がいい。大好きな洋食は何と言ってもハンバーグである。君が代の次に好きな国歌は、ドイツの「皇帝讃歌」だったりもする。
ふと気がつくと本日の記事は、どう粘ってみてもブラームスにはこじつけられない。
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<ひふみ様
まだドイツが強いのか弱いのかさっぱりわかりません。
ザルで水を掬うようなサッカーにならなきゃいいンですが。
投稿: アルトのパパ | 2006年6月11日 (日) 00時21分
ワールドカップ開幕戦、早々とドイツが勝利を挙げましたね。
今年は何としてもドイツに優勝してほしいと願っております。
オランダの監督が、ファンバステンなのもちょっとは後ろ髪ひかれますが・・・
投稿: ひふみ | 2006年6月11日 (日) 00時14分