シュトゥッツマン
コントラルト歌手ナタリー・シュトゥッツマンにはまっている。はまっていると言っても、彼女の歌ったブラームスの歌曲のCDが一枚あるだけである。生で演奏を聴いたことがあるわけではない。一昨年「ブラームスの辞書」の執筆をしながら流すBGMとして購入して以来、聴くことが多いCDの一つになっている。
ブログ「ブラームスの辞書」には「お奨めCD」や「お気に入り演奏家」を説明する目的はない。純粋にはまってしまっているだけである。ヴァイオリニストのシモン・ゴールドベルグ、ゲアハルト・ヘッツェル。指揮者サー・ジョン・バルビローリ、ピアニストのヘルムート・ドイチュに次ぐ例外に加えざるを得なくなったというわけだ。
彼女の魅力なんぞを、第三者にわかるように説明する筆力は到底望めないので、彼女のCDを聴いて目から鱗が落ちたことを列挙してそれに代えたい。
- コントラルトと単なるアルトの違いを身に沁みて実感した。
- ブラームスの歌曲「あの娘のもとへ」作品48-1、「落胆」作品72-4の2曲の素晴らしさの扉をこじ開けてくれた。
- 同じく「永遠の愛」作品43-1の歌いだしの低いロ音を聴いて鳥肌が立った。
- 「四つの厳粛な歌」は男性に限るという先入観を打ち砕いた。特に第三曲の底光り具合は尋常でない。
- スウェーデンの女性ピアニスト、インゲル・ゼーデルグレンを知ることが出来た。
彼女のCDはお店にいってもそうそう目立つわけではない。オペラの棚では絶対に見当たらない。シューマン、シューベルト、フランス歌曲のやや狭い範囲に棲息しているだけなのだ。アルト・ラプソディやアルトのためのヴィオラ伴奏付き歌曲作品91の2曲を彼女の演奏で聴いてみたいものだ。
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