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2006年7月14日 (金)

最短のpoco f

「poco f」を字義通り「少し強く」と機械的に解するばかりでは、ブラームスの本質を見失いかねないというのが、「ブラームスの辞書」の主たる主張の一つであることは、既に何度か述べてきた。

その「poco f」の全ての用法の中で持続時間の最短がピアノソナタ第一番に出現する。第四楽章178小節目の最後の8分音符に付与された「poco f」の持続時間は僅かに8分音符一個分だ。前後も同じく8分音符なのだが、この音符一個だけを「poco f」で弾けと読める。「allegro con fuoco」で駆け抜けながらである。正確を期すために付け加えると、ヘンレ版では「pf」と略記されている一方で、国内版では「poco f」と書かれている。

「poco f」を「pf」と略記するというのは、ブラームスの癖ではないようだ。これは難解である。略記するしないの基準がさっぱりつかめない。出版社の気紛れということもあり得るのでほぼ、お手上げだ。学生時代ブラームスに目覚めた頃、この「pf」は「弱くだたちに強く」の意味だと思い込んでいた。つまり「fp」の意味からの類推である。実際のところ鳴らされる音楽が「弱くただちに強く」という先入観と矛盾していなかったことも重なってずっと「弱くただちに強く」だと思い込んでいた。

天下のヘンレ様に対して大変申し訳ないのだが、もしかするとこの「pf」は「fp」の誤りではないだろうか?「allegro con fuoco」で駆け抜けながらここを「poco f」で弾けとは、現実的ではないと思う。ヘンレ版が「pf」になっている一方で、もし国内版が「fp」になっていたら勝ち点3を差し上げていたところだ。ご丁寧に判り易くしたつもりの「poco f」が踊っていては、つける薬が無い。なかよく勝ち点1ずつだ。

「fp」と「pf」の混乱には実例がある。作品86-1「テレーゼ」という歌曲の冒頭だ。ドーヴァー版では「pf」になっている一方でマッコークルでは「fp」になっている。

何が目的かは断じかねるが「poco f」を「pf」と略記することはリスクが伴うと思っていたほうがいい。

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コメント

目から鱗が落ちそうです。

<しずく様

お目に止まって光栄です。
誉め過ぎにはご注意くださいませ。付け上がりますゆえ。
ほんの戯言でござりまする。

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