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2006年8月 1日 (火)

Risoluto

「きっぱりと」「決然と」と解される。ブラームスではトップ系で2箇所の用例がある。作品113の「13のカノン」の8番では「Risoluto」が単独使用されている。もう一つはブラームス最後のピアノ作品となった作品119-4の「ラプソディー」に「Allegro risoluto」として現れる。

ブラームス本人にこの「ラプソディー」が最後のピアノ作品になるという意識があったかどうか定かではないが、「Allegro risoluto」という表示は聴き手に「最後だからよく聴くように」あるいは「よく弾くように」と語りかけているように思われる。「risoluto」には何かを決意したような踏ん切り感がある。

後期のピアノ小品の中ではもっとも規模の大きいこの作品は、248小節目以降、三連符の連発によって事実上8分の6拍子に変化していたり、ソの音に付与されるフラットによって事実上変ホ短調として終結することから、ブラームス最古のピアノ作品である「スケルツォ」変ホ短調作品4に接近してるような気がする。初めてのシューマン家訪問の際にピアノソナタ第一番とともにシューマン夫妻の眼前で演奏した思いで深いスケルツォを、自らの最後の作品でなぞろうとした可能性はなかっただろうか?出版の都合で作品4を背負っているが実際の作曲年代は恐らく一番古い。

最古の歌曲「愛のまこと」作品3-1は、これまた変ホ短調だし、最後のインテルメッツォではないが作品118のラストは、やはり変ホ短調だ。

ブラームスは「きっぱりと」それを言おうとしたのではないだろうか。

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