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2006年8月16日 (水)

シェーンベルグの熱意

5連休を利用して、ピアノ四重奏曲第1番ト短調op25の管弦楽版をブラダスに取り込んだ。暑い中だったので、ちょうど2年前に「ブラームスの辞書」執筆の準備をしていたことを思い出した。

原曲はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノの4つのパートで全1334小節の間に398個の音楽用語が散りばめられていた。3小節に一回何らかの文字が書いてある計算になる。シェーンベルグは同じ曲を管弦楽に移植するのに圧倒的に高い頻度で音楽用語を設置していた。第3楽章にダカーポを用いている関係で総小節数は1218小節に減っているが、そこにばら撒かれた音楽用語の総数は1304個だ。全小節数より多いのだ。ブラダスへの取り込みも原曲の4倍くらい時間がかかった。連休中少しずつ進めて今日取り込みが終わった。

参加する楽器の数には、圧倒される。20世紀初頭の平均的な規模なのだろうが、ブラームス愛用の規模よりは相当大きい。木管楽器ではピッコロ、ソプラノクラリネット、バスクラリネット、イングリッシュホルン、コントラファゴットが皆顔をそろえる。特にソプラノクラリネットは主役扱いだ。金管楽器はホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバ1だ。これだけでブラームスのどの管弦楽作品よりも規模が大きい。打楽器たるやさらに多彩だ。ティンパニは当然として、大太鼓、シンバル、トライアングル、グロッケンシュピール、タンバリン、シロフォンが揃い踏みだ。それに加えて弦楽器が盛んにディヴィジされる。3プルトだけとか、トップ奏者だけとか、2人だけのような繊細な弾かせ方である。このような楽器編成や用法を指して「ブラームス的でない」と言って批判するのは早計だろう。どっちみち誰もブラームス足り得ぬのだから。

むしろこの編曲をしようと思いつき、実際にやり遂げてしまうシェーンベルグの熱意を心から評価したい。ブラダスへの取り込みをやってみて、それを痛感した。原曲ではヴァイオリン、ヴィオラ、チェロにピアノで五線譜面5段で事足りるのだが、単純に5線の段数でいうなら27段を要する大管弦楽なのだ。1個1個のパートの入りに丁寧に音楽用語を当てはめているから総小節数が同じでも約3倍になってしまわざるを得ないということになのだ。実のところ一つ一つの用語の配置には十分に吟味され熟考された痕跡が見られる。原曲のニュアンスをイメージ通りの音に転写するための苦労が透けて見える。実に丁寧である。原曲のスコアをどれほど見つめたかがよくわかる。ブラームスの管弦楽曲で顕著な「金管打抑制」もちゃんと守られている。同じ場所で複数の楽器に違うダイナミクスが指定されているケースが大変多いのは、原曲のニュアンスを何とか伝えようとした工夫の現われだろう。

シェーンベルグはブラームスの作曲技法を称賛していたことがいくつかの書物に書かれている。ブラームスを尊敬し研究していた様子がうかがえるが、それ以上にブラームスが好きだったことは確実である。他の作曲家の室内楽作品を大管弦楽に編曲するなど並みの熱意では説明がつかない。夏休みの課題でブラダスに取り込む作業をしながらそのことが、身に沁みて理解出来た。

ブラダスへの取り込みの完成で、今後原曲とシェーンベルグ編の比較をした記事を順次掲載したいと考えているが、初回はブラームスに対するシェーンベルグの熱意に言及するだけに終わってしまいそうだ。10本近い記事が書けそうである。

シェーンベルグのブラームスへの熱意に敬意を表して8月12日の記事「夏休みの課題」に遡ってカテゴリー「シェーンベルグ」をスタートする。今後、研究の成果はこのカテゴリーを中心に紹介してゆくことになる。

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コメント

<temple様

お久しぶりです。

私だって原曲の方がいいと思っています。そりゃあ基本です。
だけど、それを管弦楽に編曲しようと思いつくことと、実際にやり遂げてしまうことは凄いと思います。

お久しぶりです。
いまさらですが、今日初めてシェーンベルグのこの曲を聴きました。(会社の有線でかかっていた)
聴き慣れないせいか?オリジナルの方がいいかな・・・・。
原曲のすっきりとしたドライブ感を愛しているもので。
(でもシェーンベルグは好きです。)

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