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2006年8月13日 (日)

わずかに歩みを速めよ

至高のインテルメッツォ作品118-2イ長調の38小節目と106小節目に出現する「crescendo un poco animato」の後段「un poco animato」をこう呼んでいる。両者は提示部と再現部に割れた同一の楽想と思っていい。

何故この場所でわずかなテンポアップをせねばと思いつくのだろう。16小節目や84小節目では、テンポアップを指図しないで38と106の両小節でテンポアップが要るのだろう。へぼな解釈の入る余地など全く無い説得力である。このテンポアップには言いようの無いセンスを感じる。夕闇迫る中、家路を急ぐかのようなニュアンスを感じる。巧みな終末感の演出だと思われる。それも「テンポを上げよ」という類の直接的であからさまな表現にはなっていない。「animato」が「un poco」によって制御されている。最終的な判断は演奏者に委ねられているところがいかにもブラームスらしい。

誰にでも書ける音楽ではあるまい。

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