レチタティーヴォ
「Recitativo」と綴るイタリア語。「朗唱風に」「叙唱風に」と解される。オペラではセリフを旋律に載せずに発すること。簡単な和音が付与される場合を「レチタティーヴォ・セッコ」と呼んでいるそうな。
オペラを一曲も残さなかったブラームスには縁のない言葉と思うこと勿れ。実はたった二度だけ「Recitativo」が使われている。厳密には「Recit..」と略記されている。「エーオルスのハープに寄せて」作品19-5の冒頭と74小節目だ。この作品以外には出現しない。ピアノパートが和音の移ろいだけを示す中、詠嘆調の歌詞が歌われて行く。正確にいうと歌には旋律があるので、「厳密な意味でのレチタティーヴォ」とは言えない。あくまでも「レチタティーヴォ風に」という意味である。
ピアノ左手に3連符が現れ、ハープのイメージを仄めかすところでレチタティーヴォ状態も解消される。やがて終盤74小節目でまたレチタティーヴォが回帰する。この曲をもって作品19は幕を閉じる。ということはつまり作品3から始まったブラームスの初期歌曲のラストを飾っていることになる。相応しいと思う。
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