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2006年8月21日 (月)

Traumerisch

断るまでも無くドイツ語だ。「夢見るように」と解される。意味において疑問の余地は無いが、実演奏上の処理はなかなか難しい。「ホームランを打て」のサインにも匹敵するのではあるまいか。本当は「a」の文字がウムラウトであることをお断りしておく。

ブラームスにおける実例は2例。出版された最初の歌曲1853年の「愛のまこと」作品3-1の5小節目に「pp traumerisch」として出現する。この作品のテキストは母と娘の対話形式になっている。「諌める母と夢見る娘」という感じだ。「あなたのためを思っているのよ、あんな男とは別れなさい」と諭す母。一方の娘は「彼には私が必要」くらいのノリだ。ウエストサイドストーリーの終幕近く、アニタとマリアの二重唱と似ている。こちらはアニタが折れて「I have a love」となり、いよいよ悲劇が加速するのだが、ブラームスの作品のテキスト中では最後までラチがあかない。

問題の「pp traumerisch」は母と娘の対話3イニングのうちの1回の裏の娘の攻撃の場面に置かれているのだ。やたらと不安を煽る母に対して、「私は平気」という娘の気持ちを描写している。つまり娘は既に「夢見心地」なのだ。こういうときは反対されればされるほどイケイケになるものかもしれない。2回3回とイニングが進むにつれて母の言い草はエスカレートするが、娘の態度は一貫している。開き直っているとも受け取れる。ここいらの雰囲気をブラームスの音楽は過不足無く描ききっている。若いのにさすがである。

さて最初の歌曲で「traumerisch」が現れた。もう一回はどこかと探すと、なかなか見つからない。33年後の「霜が置いて」作品106-3冒頭にトップ系として出現する。実際にテキストの中に「Traum」という単語が使用されている。内容は夢見る若者を描写しているが、報われないことを暗示する余韻で終わる。非常に抑制された表現だ。

生涯に2度の「traumerisch」の使用が初期と後期に割れているのが興味深い。

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コメント

<麻由子様

どっちも「Traum」が語源かもしれませんね。

「トロイメライ」と「トラウマ」を連想してしまいました・・。

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